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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
240/621

episode 240 「決死」

メイザースの理解不能な攻撃がヴィクトルたちを襲う。指先から放たれた閃光はヴィクトルのすぐ横を通りすぎ、壁を貫く。


「あ、危なかったのだ……」


だらだらと冷や汗を流すヴィクトル。的にならないように動き続ける。


「一体いくつ加護を受けてるんすかね」


絶望に満ちた表情のシェイク。メイザースに戦いを仕掛けたことに早くも後悔をしているようだ。



「ちょこまかと逃げるんじゃない」


メイザースがまるで蚊でも追いかけるように三人に攻撃を続ける。


「そういえば君たちは四大の加護を受けていたね。早く使ったらどうだ」


メイザースはまるで攻撃をして来いと言わんばかりに無防備な姿を晒す。



四大。

その名の通り地水火風、四つの力を指す。この加護を受けた者たちは非常に戦闘能力か高く、軍人としてとても重宝される。




「どうするんすか、リーダー。加護を受けているっていっても大司祭には到底敵わないっすよ!?」


シェイクがヴィクトルの耳元で呟く。


「わかっているのだ。倒す必要はない、ただ隙をつくる。その隙にレイアさんを助け出すのだ!」


そう言ってヴィクトルはメイザースに突っ込んでいく。


「うおぉぉぉぉ!」

「威勢だけでは勝てないぞ?」


ヴィクトルの体が熱を帯始める。


「そうだった。お前は火だ」


余裕ぶるメイザースに抱きつくヴィクトル。メイザースの体に火が引火し、ものすごい勢いで燃え始める。


「あがががががが!」


苦しむメイザース。どうやら攻撃しているヴィクトル本人にもダメージがあるようで、皮膚がただれ始めている。


「シェイク、ドエフ! 今なのだ!」


叫び出したいほどの苦しみの中、二人に指示を出すヴィクトル。二人は指示を出される前から動き出していた。


ドエフは床に手を当てる。すると床がまるで生き物のようにうねりだし、レイアの方へと向かっていく。そのうねりは祭壇を破壊し、レイアを空高く打ち上げる。


「ドエフ、よくやったっす!」


シェイクは両手を前に出す。すると風が渦巻き、レイアの体をやさしくとらえる。が、重さに耐えきれずすぐに地面に落ちてしまう。


「あ! しまったっす!」


急いで追いかけるシェイクだが、間に合いそうにない。このまま落ちればただではすまないだろう。


「ふん!!」

「ドエフ、ナイスっす!」


落下するレイアをキャッチするドエフ。燃え付きそうなメイザースからヴィクトルを引き剥がし、急いで部屋の外へ向かっていく。



「リーダー! 生きてるっすか!? やったっすよ! 取り戻したっす!」


大火傷をするヴィクトルに話しかけるシェイク。ヴィクトルも言葉を発することはできないほどダメージを受けていたが、笑顔で返す。


あと少し、あと少しで神殿を抜けられる。そんな時、突如レイアを抱えたドエフが立ち止まる。


「何してるっすか! 早く逃げ、ないと……」


ドエフの方を振り返るも、言葉を失うシェイク。



「やあ、よくもやってくれたね。正直言って驚いた」



そこにいたのは先ほどまで炭になっていたメイザースだった。もちろんそんな痕跡はどこにもない。


「ど、ドエフをどこにやったっすか!」


取り乱し、叫び出すシェイクの隣に猛スピードで何かが落下してくる。落下の衝撃でそれは弾け飛び、中身を撒き散らす。


「ひぃ!」


それは紛れもなくドエフだった。シェイクはその場に倒れこみ、嘔吐する。


「また仲間を失ってしまったな」


メイザースは見下した目でシェイクを睨み付ける。


「次は誰を失いたいか?」


メイザースは完全に戦意を失ったシェイクからレイアを奪い取る。そして自ら作り出した謎の空間に入り込む。


シェイクは血の中で絶望に打ちひしがれていた。







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