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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
239/621

episode 239 「始まりの鼓動」

「む……」

「あ、リーダー! 無事っすか!?」


メイザースによって吹き飛ばされたヴィクトルが目を覚ます。


「シェイク、お主にはこれが無事なように見えるのか……」


ヴィクトルは額から大量の血を流していた。



「レイアさんは……メイザース大司祭様はどうしたのだ?」


ヴィクトルの質問には誰も答えない。嫌な予感が彼の頭をよぎる。


「連れ去られたのだな」


ヴィクトルは重たい体を無理矢理起こす。またしても大量の血が流れる。


「だ、ダメっすよリーダー! 動いたら血が……」


よろけるヴィクトルの体を支えるシェイクとドエフ。


「駄目なのだ……レイアさんを助けなければ……このままではレイアさんまで我々と同じ目に……」


ヴィクトルはふらふらしながらメイザースが消えた扉の方へと歩いていく。


「リーダー! 冷静になってくださいっす! 大司祭には敵わないっすよ! たとえあいつ以外の全然信者が束になったとしてもっす!」


シェイクは必死になってヴィクトルを止める。ドエフも無理矢理ヴィクトルを持ち上げ、動きを止めさせる。



「今……あの兵士は居ないのだ。彼女の助けになってあげられるのは、我々しか居ないのだ!」



ヴィクトルは大声で叫ぶ。


「リーダー……」


ヴィクトルの真剣な目を見つめるシェイク。いつもは頼りないリーダーが、今ならなんだかやってくれそうな目をしている。


「わかったっす! レイアさんを取り戻すっす!」


覚悟を決めるシェイク。ドエフも頷いている。


「お前たち……」


ヴィクトルは顔を赤らめ、涙を浮かべる。


「よし! 行くのだ! そしてレイアさんを妃にするのだ!」




メイザースはレイアを祭壇に横たわらせていた。


レイアの体は祭壇から発せられた光に包まれていく。その光景にうっとりと見とれるメイザース。



「ああ、やっぱりママのいった通りだ。人って素晴らしい。どんな困難でも打ち砕く力を持っている。そしてとてつもなく無知で、愚かで、それ故に可愛らしい」



メイザースは両手を大きく広げる。


「さあ、新たな戦士の誕生だ! 盛大に盛り上げよう! 神……いや神様もどきに一撃を与えるため、私とともに進もうではないか! ハハハハハ!」



メイザースのかん高い笑い声が狭い部屋に響き渡る。



「待つのだ!」



メイザースの笑い声をかき消すように扉が開く。


「ヴィクトル・エドガー。馬鹿は死なねば治らないと言うが、どうやらそれはあながち間違いでもないらしい。勉強になったよ」


ヴィクトルたちの方へ振り向くメイザース。


「レイアさんを返すのだ!」










「この気配は……」


十闘神アテナ。テノンを創ったとされる神。その神がある気配に気をとられていた。


「間違いない……メイザースだ。懲りずにまた兵隊を作り上げたというわけか」


アテナは剣を握りしめる。


「スサノオの話ではカグラにはマリンが出現したらしい。今になって動き始めたのか? 忌々しき血族どもが」


得たいの知れない力がアテナの周りで渦巻く。その力は鎧となってアテナの体にまとわりつく。


「摘むか。世界のために」


彼女の中に、久しく抱かなかった戦いの鼓動が鳴り響く。








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