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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
210/621

episode 210 「最終地点」

島に残された人々は皆剣を収め、ゼロとレイアは互いに見つめあっていた。


「レイア、済まない。次会うときは組織を壊滅させた後と決めていたのに」


申し訳なさそうな顔をするゼロ。


「わたくしは再びあなたにあえて嬉しいです」


今すぐ二人でここから逃げ出したいのを必死にこらえるレイア。精一杯の笑顔をゼロに向ける。



ケイトはジャックとクイーンの存在に警戒していた。


「ん? お前ケイトか。お前もゼロたちと行動してんのか? そういやイバルがお前の話してたっけな。ようやく繋がったぜ」

「気づくの遅すぎ。ケイトを助けるだの何だの言ってたじゃない。ゼロが協力するってことはケイトも仲間って事でしょ?」

「ははは、そうだな!」


ジャックとクイーンが近づいてくる。敵意は感じられないが、組織の人間を前にして冷静に待つことも出来ないケイト。思わずロープを握りしめる。


「ケイト。安心しろ。あいつらは敵じゃねぇ」


近くにいたフェンリーがケイトの強ばった肩に手をのせる。


「大丈夫。わかってる」


そう答えるが、体はそう思ってはいなかった。レミィたちが現れてから、ケイトは様々な人たちの悪意に触れてきた。元々の仲間であるレミィたち、そして同じ境遇のシアンたち。彼らの心の闇を見てきた。ケイトは非常に疑り深くなっていた。


(なんであいつらが、仲間になるの? 何か、騙されているんじゃないの?)


そんな警戒をものともせず近づいてくるジャックとクイーン。ロープを握る手にも力が入る。ケイトの様子がおかしいことに気が付くクイーン。


「ちょっとジャック、あんたがむやみに話しかけるからあの子怖がってるじゃない」

「しらねぇーよ! お前の顔が怖いんじゃねーの?」

「な、何ですって! もう一度言ってみなさいよ!」


立ち止まってにらみ合うジャックとクイーン。ケイトの事など忘れて悪口を言い合っている。


ポカンとするケイト。自然とロープを握る手も緩くなる。


「はっはっは。な? バカっぽいだろ?」


ケイトの頭をポンっと叩き、ジャックたちを止めにいくフェンリー。



「一応まだ戦場なんだけれど」


すっかり気の抜けた空気に気が抜けるジャンヌ。逆にガイアは気を引き締めていた。突然現れたゼロたち。そして彼らの実力は先程のヴァベルと比べても引けをとらない。中でもゼロは自分と比べても遜色ないと感じていたガイア。


(いくらマークの知り合いだからと言って我々の味方とは限らない。帝国に敵対する者はすべて排除する。それが俺の役目……)


ガイアの部下であるロナンもゼロたちを警戒していた。


(血の臭いが強すぎる。今までどれだけの人間を殺してきたんだ)


ロナンの目に敵意が宿る。そのロナンの前に立ちふさがるワルター。


「なんだ裏切り者」

「酷い言い様だね、ロナン大佐。俺は国を裏切ったつもりはないよ。だから元帥殿にも生かされた」


舌打ちをするロナン。


「気にくわない。なぜお前ごときが元帥殿に目をかけてもらっているのか。妙な気は起こすなよ。こちらにはガイア准将とジャンヌ中将が居る。貴様らなど直ぐに地面の染みになる」


そう言い残し、負傷した兵たちの手当にはいるロナン。


「まいったね、どうも」


頭をかきながら呟くワルター。




島は一つの戦いを終え、静まり返っていた。本当に無人島のようである。だがここには確かに組織の本部がある。


「ったく。さ、そろそろ行きましょ。早く終わらせてサンのを迎えに行かなくちゃ」


そそくさと歩いていくクイーン。ゼロたちはそれに続く。警戒しつつも、行くあてなくさ迷うよりもクイーンに付いていくことにした兵士たち。



「中将、彼らを信用するのですか? おびき寄せられている可能性もあるのでは?」


進みながらジャンヌに告げるガイア。


「考えていても仕方がないわ。その時はその時。全員倒せば済む話じゃない?」


ガイアに笑って答えるジャンヌ。その目は笑っていない。



歩いて十分ほど経ったころ、クイーンが立ち止まり草を掻き分ける。


「ここよ」


掻き分けられた草の下から鉄板が現れる。



(待っていろアーノルト、エクシル。ここですべてを終わらせてやる)


ゼロはレイアの手を強く握りしめ、心に誓った。




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