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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
209/621

episode 209 「見送り」

(回避不可能! 受けきれるか!?)


体勢を崩したゼロは銃の背でジャンヌの剣を受けようとするが、受けきれるイメージがわかない。


(無理だ! 確実に破壊される、武器を失うわけには……ならば左腕を犠牲にし、反撃を)


考えを巡らせるゼロ。


(しかし、やけに頭が冴える。このような状況で。走馬灯……ふ、またこの姉妹に殺されるのか)


口元が緩む。レイアが叫んでいるが、ジャンヌもゼロも耳に入っていない。



「何諦めているんだい? レイアの前だろう?」



ジャンヌの剣を雷撃が阻む。レイアの声が聞こえないほどゼロとの戦いに集中していたジャンヌは突然の雷撃に驚き、後ろに飛び退く。


「何!?」


雷撃が来た先にはよく見知った顔があった。妹、ローズの同期であるワルターの顔が。


「あらワルター大佐じゃない。危ないわ、きちんと狙ってくれないとね」

「狙い通りですよ、中将。周りをよく見てください」

「?」


ワルターの言葉でようやく我にかえるジャンヌ。部下たちもガイアもすでに剣を収めていた。


「え? どうしたのかしらみんな」


状況がつかめないジャンヌの前を通りすぎてゼロに抱きつくレイア。


「ゼロさん! よかった無事で、怪我はありませんか?」

「レイア……よかった。お前にまたお前に会うことができて」


レイアを抱き寄せるゼロ。ケイトもゼロのもとにやって来る。


「ゼロ、来てくれたんだ」

「ケイト、お前も無事でよかった。だがなぜ二人ともここにいる? セシルはどうした?」


ゼロに説明するケイト。


「……危険すぎる。すぐに屋敷に戻れ。組織は俺たちで何とかする」

「嫌です! わたくしは覚悟を決めてここに来ました! ケイトちゃんだってそうです、もう引き返しません!」


話を聞いてすぐにレイアたちをここから遠ざけようとするゼロだったが、レイアは言うことを聞かない。


「危険だと言っている。ここは敵の本拠地だぞ!」


思わずレイアを怒鳴ってしまうゼロ。ビクッと震えるレイアの姿を見て後悔する。


「済まない……だが……」


後ろから再びジャンヌが近づいてくることを察知して、言葉が止まるゼロ。


「大丈夫よ。一応私が付いているもの。あなたが付いているより安心できるでしょ? ゼロ君」


ジャンヌは剣を収めて握手を求めてくる。


「あなたがゼロ君でしょ? 私はジャンヌ。ローズの姉と言った方が分かりやすい? ごめんなさいね、殺そうとして。でも一応あなたから仕掛けてきたのよ?」


にっこり笑いかけてくるジャンヌの笑顔に嫌悪感を覚えるゼロ。すぐさまジャンヌから顔を反らし、無視をする。


「あら、残念。フラれちゃった」


そう言うとジャンヌはゼロの前から姿を消し、ガイアの方へと歩んでいく。ジャンヌが近づいてきたことで金縛りに合ったように動けなくなるイバルたち。


「中将、どうするおつもりか?」


ガイアを無視し、ロナンとボンズからアンの腕を回収するジャンヌ。それをアンの足元に投げつけ、フェンリーの氷の壁を剣で粉々に砕く。


「はい、ガイア」

「あ、ありがとうございます」


氷に埋もれていたダインスレイヴを拾い上げ、ガイアに渡すジャンヌ。


「あなたたちは仲間なんでしょ? そのゾンビっ子連れてどこか行きなさい」


そうイバルに伝えるジャンヌ。自分たちに敵意が無いことがわかると、イバルたちの金縛りはようやく解け、四人がかりでアンの足元に体を支える。


「……ゼロ」


ゼロに目で訴えかけるイバル。


「いい、行け」

「済まない……」


ジャンヌの言うとおり立ち去ろうとするイバル。


「あ、それ拾ってくださいよ!」


アンが落ちている自分の腕を顎で指す。


「おいおいアン、ありゃもうだめだろ」


バルトが諦めるようにアンに答える。素人目から見ても細切れにされた腕がくっつくとは思えない。


「いいから!」


それでもなおいい続けるアン。仕方なくレミィとバルトが細切れの肉片を拾い上げる。


「うえぇ」


吐き気を催しながらもなんとかすべて回収し、一刻も早くこの場を去ろうとするバルト。いつジャンヌが考えを改めるかわからない。



「ケイト、済まなかったな。達者でやれ」



ケイトに背を向けたまま話すイバル。答えを待つでもなく、四人はアンを抱えて消えていった。


「イバル、レミィ、バルト、スパーダ、アン」


ケイトは手を振るでもなく、五人を見送った。




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