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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
198/621

episode 198 「刺激的」

ヴァルキリア邸。セシルはマークとシオンによって運ばれてきたリザベルトを心配そうに眺める。気絶しているようだが、命に別状は無さそうだ。


「ひとまず心配は無いだろう。あとは安静にしていれば大丈夫だ」


治療にあたった先生が笑顔を浮かべてマークに伝える。


「そうですか。ありがとうございます」


マークは先生に頭を下げる。リザベルトを使用人たちに任せ、三人は応接間に集まる。



「それで、君はリザベルトの友人なのか?」


マークが気まずそうなセシルに声をかける。


「え、ええ。わたくしはセシル・アルバート。ハウエリス出身ですわ」

「アルバート、なるほどな。それでここにいるわけか」


マークはアルバートの名前を聞いてピンと来たようだが、シオンはきょとんとしている。


「どういうこと?」

「……シオン。君はもう少し教養を養うべきだ」


マークはシオンに四大貴族の話をする。


「ヴァルキリア、スチュワート、メル、そしてアルバート。リザベルトとセシルは幼い頃から交流があったということだろう」


実際はセシルとリザベルトはそれほど交流はなかったが、話がややこしくなりそうなので黙っていることにしたセシル。


「えー! リズちゃんて貴族だったんだ! どうりでおうちが大きいわけね!」

「……」


本気で驚くシオンに頭を抱えるマーク。


「とにかくリザベルトが目覚めるまでは俺たちでこの屋敷を警護する。セシル、君のことも守る」

「あ、ありがとう」


マークの言葉に安心するセシル。


「でも元帥さんの命令はいいの? ローズ大佐の後を追うんでしょ?」


心配そうにシオンが尋ねる。


「だが彼女らをこのままにしておくわけにはいかない。それに俺たちとて万全の状態とはいえない。シオン、君の傷はいいのか?」


血だらけのシオンの軍服を見ながら話すマーク。マークはそれほどダメージを受けていないが、シオンはリラとの戦いで多くの傷を受けていた。


「大丈夫。私こう見えても体力には自信あるんだ。でもちょっとベタついて気持ち悪い……」


汗と血で汚れた体に不快感を覚えるシオン。


「それでしたらシャワーでも浴びてきたらどうかしら? わたくしの家ではないですが…」

「そうする!」


セシルのすすめですぐさま部屋を飛び出すシオン。


マークとセシルだけの部屋に気まずい空気が流れる。


「お茶、飲むか?」

「え、ええ」


互いにそれほど社交的ではないため、会話も弾まない。平然な顔をし、剣の手入れをして時間を潰すマーク。しかし心の中は不安でいっぱいだ。



(シオン! 早く帰ってきてくれ!)



十五分後、ようやくシオンが戻ってきた。


「ふーさっぱり!」

「遅いぞシオン……ぶ!」


戻ってきたシオンの姿をみて鼻血を噴き出すマーク。


髪は濡れ、透き通るような白い肌にはほのかに赤みがかかっている。


「ど、どうしたのマーク!」

「な、な、な、なんだその服は!」


シオンはピチピチの服を身に纏っていた。


「リズちゃんの服を借りたんだけど、何だか私には小さかったみたい。特にここが」


ぼたんが弾け飛びそうなほど、ぱつんぱつんの胸を押さえるシオン。マークに再び血を噴かせるのには充分な刺激だった。


「ちょっとマーク!」

「ムッツリですわね」


それを冷ややかな目で見るセシル。今度はリザベルトではなく、マークの看病をすることになってしまった。





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