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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
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episode 192 「帝国の守護者」

帝都モルガントのヴァルキリア邸では、セシルが退屈そうに皆の帰りを待っていた。退屈なだけならまだ我慢すれば良い。もどかしさややるせなさ、情けなさにも悩まされる。


立場的にはレイアも同じだ。だがレイアは付いていった。しかも行き先は戦場だ。自分が付いていっても邪魔になるだけ、そう言い聞かせなければ自分が嫌いになってしまいそうだった。



誰もいない広い部屋。嫌でも自分の屋敷を思い出す。両親の顔が頭に浮かぶ。


「お父様、お母様……」


しまっていたはずの涙がこぼれる。


「この戦いが終わったら必ずもう一度会いに行きます。もちろんオイゲンと一緒に」





帝都モルガントの門前。何やら怪しげな三人の男女の姿があった。


「大きいな。でも警備は手薄だな。なめているのかそれともバカなだけなのか」


長身の男が自分の頭をコツコツつつきながらしゃべる。


「俺はここが嫌いだ。だから潰す。」


騎士風の男が苦痛と怒りの表情を見せながら呟く。


「集中。いくら手薄とはいえ、ここは兵士たちの本拠地。無駄な戦いは避けて目的を果たすわよ」


短髪の女性が門へと向かう。



「そこで止まれ。身分証を見せろ 」


異様な気配を感じた門番が三人を止める。


「止まれんな。やることがある」


長身の男は一瞬で門番を殺害し、門をたたく。


「それで、目的の名は?」


騎士風の男が女性に尋ねる。


「マーク・レオグールとリザベルト・ヴァルキリア。話を聞いてなかったの? だから兵士になれなかったんじゃないの?」

「チッ。エクシルめ、嫌な任務を」


女性の回答に舌打ちをする騎士風の男。



帝都内に侵入した三人。中には大量の兵士たちが待機していた。


「警告はしない。侵入者は殺せと言われている」


兵士たちの先頭にいた男が剣を抜く。



「この中にマークとリザベルトはいる?」


女性が尋ねるが、回答はない。


「そ、じゃあ殺し合いましょう」


女性のポケットから直径三センチほどの針のようなものがふわふわと浮かび上がる。



「加護だ! 来るぞ!」



その光景を見た兵士たちは身構える。次の瞬間、その針が先頭の兵士に向かって猛スピードで飛んでくる。


「フン!」


兵士はそれをまっぷたつに切り伏せる。盛り上がる兵士たち。


「俺はアンダー中尉! 貴様らを葬る兵士の名だ! 地獄へ持って……」


アンダーは途中で言葉を失う。女性の背中から百を越える大量の針が浮かび上がったからだ。



「で? あなたの名前なんだっけ?」



百を越える針がアンダーを襲う。アンダーにできることは死を受け入れることだけだった。目の前で指揮官を惨殺された兵士たちは一気に戦意を消失し、人形のように立ち尽くした。




針のおしりには糸が付いており、兵士たちの死体は一つに纏められ、血と臓物の肉団子と化していた。



「リラ、相変わらずエグいな」


長身の男が足元に転がっている目玉を蹴り飛ばしながら女性に話しかける。


「ふん、いい気味だ」


騎士風の男が満足そうに目玉を踏み潰す。



針を空中に漂わせながら先へと進むリラたち。そのリラたちを突如エネルギーの塊が襲う。


「っ!」


吹き飛ばされる三人。その三人を嘲笑うかのように姿を見せる紫色の髪の男。右耳に十字架、左耳に髑髏をあしらったピアスをつけたその男は堂々とした足取りで三人に近づいてくる。



「はしゃぎすぎだなァ! 死ね!」


六将軍大佐、ゼクス・キラ。死神と呼ばれた男。



「ゼクス。生け捕りとの命令だ」


六将軍中佐、マーク・レオグール。水の加護を受けた七聖剣、ウォーパルンを握りしめる。



「あれがアンの仲間……」


六将軍少佐、シオン・ナルス。いつもの着物を脱ぎ捨て、軍服に身を包む。



「なるほど。確かに強力な力を感じる」


六将軍大尉、ライズ・ヴェイグ。全身をタイツに包み、拳に炎を宿す熱き男。



「気を付けろ。彼らは雑魚ではない」


六将軍中尉、リザベルト・ヴァルキリア。誇りと覚悟を剣に込める。



「俺は大佐に賛成だゼ! 生かしておく必要は無イ!」


ローブに身を包み、両刃の鎌を抱えた男。見た目は死神ゼクス以上に死神だ。




帝国軍六将軍。それは帝国を守護する者たち。六人は組織のエージェント三人の前に立ちはだかった。





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