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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
190/621

episode 190 「ガイアVSヴァベル」

ヴァベルの針のような剣がガイア目掛けて突っ込んでくる。見たこともない形状の剣のため、ガイアは警戒して慎重に距離をとる。


「避けるだけか? 受けないのか? それとも避けるだけしかできないのか? どうなんだよ兵士さん」


ガイアを煽るヴァベル。だがその程度の煽りでガイアの精神を崩すことなどできはしない。


「安い挑発だ。そんなに受けてほしいのか」



ヴァベルの鋭い突き刺しを交わし続けるガイア。


「いや? 結果は同じさ!」


ガイアが剣を避けた瞬間、ヴァベルは手元のスイッチを押す。すると剣が傘のように開き、ガイアの肉体に食い込む。


「くっ!」


左腕に怪我をしながら、急いでヴァベルから距離をとるガイア。しかしヴァベルの剣がそれを許さない。また別のスイッチを押すと今度は剣が伸び、逃げるガイアを追う。さらに別のスイッチを押すと今度は傘状に広がった刃が回転し、辺りのものを削り取りながらガイアを狙う。


「どうだ! 触れれば最後、あっという間にミンチだ !」


ウサギを追いかける狐のように愉しそうに叫ぶヴァベル。


急に立ち止まると、振り返り、剣を構えるガイア。


「降参か? 命乞いは聞かないぞ。さあ華々しく散ってくれ!」

「まさか」




ガイアはダインスレイブに付いている黒翡翠を取り外す。するとその下から目のような物が現れる。そしてゆっくりとその目が開く。



『五月闇!』



突如辺りが暗闇に包み込まれる。ヴァベルは警戒し、剣を手元に戻す。いつの間にかガイアの姿は消えていた。それだけではない、ゲイリーたちの気配も兵士たちの気配も何一つ感じられない。あるのは静寂と恐怖のみ。


(何だ? 何かの加護であることは間違いない。五感を奪う加護か? だとしたらまずい……)


ヴァベルはなりふり構わず、剣を振り回す。


(あたる感覚は無い。だが、これなら奴も迂闊には近づけないはず)



グサッ



「は?」



ヴァベルは自分の胸に突き刺さった剣を見る。いつの間にか辺りは明るくなり、目の前にはガイアの姿があった。


「去らばだ。名も知らぬ殺し屋よ」

「あ、が……」


ヴァベルは倒れ、そのまま息絶えた。


ガイアは黒翡翠を再びダインスレイブにはめ込み、鞘に収める。


「お怪我はありませんか、准将」


ガイアに駆け寄るロナン。



ケイトは目を疑った。目の前で何が起きたのかまったく理解できなかった。ガイアが剣から何かを取り除いた瞬間、ヴァベルの動きが止まり、棒立ちになったのだ。そしてガイアはそのヴァベルの心臓を一突きして勝負を決めた。



「驚いたか? あれがダインスレイブの力だ」


ボンズがケイトの頭に手を置いてしゃべる。


「どういうこと? 説明して」


不機嫌な顔で尋ねるケイト。


「吸収。それがあの剣の加護さ。敵は精神を吸収されたんだ。精神を失った体はなす統べなくやられたってわけだ。俺は思うね、一対一の戦いにおいて帝国軍最強はジャンヌ中将でも、イシュタル元帥でも、大将がたでもなく、あのガイア・レオグール准将だとな」



ガイアは切られた腕の怪我をロナンに手当てしてもらう。


「さて、先へ進むぞ」

「ま、まて。まだゲイリーたちが……」


オイゲンがガイアに声をかけるが、その声は爆発音によって掻き消される。その音のする方を向くオイゲン。それはジャンヌがゲイリーの最後の一体を破壊する音だった。



「さ、一応片付いたから行きましょ?」


時分が倒すのにあれほど苦労したゲイリーをいとも容易く十体も倒したジャンヌに抱いた感情は悔しさや嫉妬ではなく、圧倒的な憧れと安心感だった。



(ジャンヌとガイア。この二人がいれば本当に組織を滅ぼすことができるのかもしれない……)



そんな期待を胸に抱き、先へと進むオイゲンと兵士たちであった。




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