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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
183/621

episode 183 「案内」

帝国軍の尖鋭たちは案内役としてケイトを連れ、海に出ていた。


「それで? どのくらいで着くんだ?」


マークの兄であるガイアがケイトに尋ねる。


「明日には着く」


ケイトが答える。


「そうか、ならそれまで君のことを聞かせてもらえないか? それから君のことも」


ガイアはケイトとその隣に座るレイアに語りかける。





「絶対にダメだ! 死にたいのか!」

「嫌です! わたくしも一緒に行きます! ケイトちゃんだけ行かせるなんて出来ません!」


ジャンヌたちと一緒に組織本部へと向かおうとするレイア。それを黙って行かせるわけにはいかないジャンヌ。


「ケイトは元組織の人間だ。私たちを案内する責任も意思もある。お前とは違うんだ!」

「たしかにそうですが、わたくしたちは友達なんです!」


意思の固いレイア。もちろんレイアの性格を理解しているローズは自分が何をいってもレイアの意志が揺るがないことはわかっていた。


「わたしだって、お前の友人だ。お前を危険に晒したくないんだ」


目が潤むローズ。いくら姉たちが付いているとはいえ、レイアが無事でいられるという保証はどこにもない。


「ありがとう、ローズ。ですがわたくしは行きます。あなたもどうか無事でいてください」



レイアはケイトと共に組織本部へと向かう船に乗り込む。


「レイア……」


ローズは無理矢理引き留めなかった事を後悔しながら船が見えなくなるまで見送った。




「いつまでしょげてるんですか、大佐」


リースがローズに声をかける。


ここは海の上。ジャンヌたちと別れたあと、ローズは宿へ戻り、リースとリザベルトをつれてシアンたちの探索に出かけた。


「そうですよ姉上、私もガイア准将にお会いしたかったです」


リザベルトまで下を向く。同僚のマークから数々の武勇伝を聞いていたリザベルトはガイアに憧れを抱いていた。


「彼は噂に違わぬ強者の風格を持っていたよ」


ローズの言葉に目を輝かせるリザベルト。


「とにかく大佐、今は任務に集中しましょう。ぶっちゃけ帝都に残すよりジャンヌ中将やガイア准将と一緒の方が安全ですって」

「はは、君にまで言われてしまったな。だが、その通りだ。行こう」


ローズの霧は晴れた。まず目指すはハウエリスだ。





「……また留守番ですのね」


セシルは一人ヴァルキリア邸での待機を余儀なくされた。




「元帥に五本とも指を使わせ、そして自我を取り戻した男か。興味があるな、そのゼロという男。いったいどうやって掌握を解いたんだ?」


興味津々なガイアの問いに顔を赤らめるレイア。


「そ、それは言えません!」

「キス」

「ケイトちゃん!」


あっさりばらしてしまうケイトに慌てて飛びかかるレイア。


「はは、なるほどな。愛するものの口づけか。納得だ」

「ゼロさんは知りませんから! ゼロさんは知りませんから!」


動揺しまくるレイア。そんなレイアに真剣な表情で語りかけるガイア。


「だが、そのゼロは無事なのか? 元帥が退けたとアーノルトという男は元々ゼロたちが追いかけていたのだろう?」


その点にはレイアも引っ掛かっていた。イシュタルはゼロのことについて何も語ってはくれなかった。


「ゼロさんなら心配要りません。だって強いですから!」

「そうか、そうだな。信じるとしよう」



そういいつつもレイアはゼロのことが心配でならなかった。今回同行したのもケイトのことは勿論だが、ゼロについて何か情報が得られるのではないかと思ってのことだった。


(ゼロさん、どうか無事でいてください……)


普段神を信じていないレイアだったが、神にすがらなければならないほど精神をやられていた。ケイトの件、ティーチの件、そしてゼロの件。レイアの心は段々と追い詰められていった。この心を晴らすにはゼロの無事を確認する他に無い。どんな危険を犯してでもレイアは今回の任務に同行するしかなかった。


たとえこの先起こる結果が絶望的なものであったとしても。







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