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スティールスマイル  作者: ガブ
第五章 最後の戦い
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episode 182 「集いし猛者たち」

組織本部。そこには殺し屋たちが集結しつつあった。


最強の殺し屋アーノルト。彼が深手を追って戻ってきた時、組織の人間たちは驚きで言葉を失った。今まで一度も任務に失敗してこなかった男が傷だらけで帰って来たのだ、無理もない。



「敵が来る。襲撃に備えろ」



たった一言だったが、組織全体を動かすのには充分な言葉だった。


「そうか、アーノルトが」


シアンたちを捜索に出ていたエクシルにも直ぐに連絡が入った。


「小僧ども、お前たちのような小物は後回しだ」



エクシルは組織本部に戻るなり全員の前で声をあげる。



「全エージェントを集めろ! アーノルトが仕留めきれなかった相手だ、我々の全勢力で迎え撃て! これは戦争だ!」





ローズは緊張していた。姉と向かい合うだけでも緊張するというのに、帝国軍きってのエリートたちがここに集められているのだ。感動すら覚える。


「ローズ、あなたも一応大佐なんだから胸を張りなさい」

「そうは言いますが姉上……」


ガチガチのローズに長髪の男性が声をかけてくる。


「元気そうだなローズ」

「レオグール准将! お久しぶりです!」


ローズはその男性に深々と頭を下げる。



ガイア・レオグール。帝国軍准将にして帝国軍六将軍、マーク・レオグール中佐の兄である。そしてジャンヌと同じく帝国三剣士の一人に数えられる強者である。


「あらガイア。あなたまで呼ばれるなんて、イシュタルさんもずいぶん必死ね」

「その言葉、そのまま返すよ」


二人は固く握手を交わす。


「ムゲンは呼ばれて無いのかしら? 彼も一応三剣士でしょ?」

「どうだろうな。彼は軍人ではないからな」


ムゲン。ジャンヌ、ガイアと肩を並べる剣の使い手。ただ彼だけは軍人ではなく、さすらいの剣士である。



「ガイア准将、おしゃべりはそのへんにしてください。行きますよ」


軍服を口元まで伸ばし、ハチマキをしている男がガイアに声をかける。


「ああ。わかったよロナン。ジャンヌ、戦場で会おう。ではな、ローズ」


ガイアはロナンと呼ばれた兵士のもとへと歩いていく。軍服には青のラインが入っている。彼も佐官なのだろう。


ロナンはジャンヌとローズに頭を下げてその場を去る。



「しかし組織とはここまで大きな存在なのですか?」


実際にレイリーやアンと対峙していながらも、ジャンヌ一人いれば充分だと感じていた。


「それは仕方がないんじゃない? イシュタルさんの話によると私と同等、もしくはそれ以上の猛者も居るそうよ?」


姉の言葉に冷や汗をかくローズ。


「それが事実ならやり過ぎということはありませんね」

「そうよ、一応イシュタルにさんでも殺しきれなかった相手よ?」


さらに驚くローズ。


「なら私もそちらに向かった方が……」

「それは必要ねぇい!」


大声がローズの言葉を遮る。二メートルはゆうに越える長身に筋骨粒々の肉体、アフロにグラサンという一見兵士とは思えない出で立ち。


「ボンズ大佐……」


マックスハート・ボンズ。帝国軍の大佐である。


「マックスハートさんとよべぇい! まったく何度言えばわかるんだ。だいたいお前は……」

「あら、ローズに何かようかしら? 一応私の妹なのだけれど」


ローズはボンズのテンションが苦手だった。それを知ってかジャンヌがボンズの前に立ちはだかる。


「ジャンヌ中将! あいも変わらず美しい! 今晩お食事でもいかがかな?」

「あら、でも今晩の食事はもう決めてあるの」


ジャンヌから殺気が漏れる。


「いい加減うんざりよ。私の妹たちを傷つけたことを後悔させてあげる」


お手上げといった感じのボンズ。


「やれやれかわいそうな殺し屋どもだ。これじゃ骨も残らない。ともかくローズ、心配は無用だ。なんといっても私たちが向かうのだから!」


ボンズはその場を去る。


「まったく、暑苦しい男。でも彼の言うとおりよ。心配はいらないわ。あなたはあなたの任務をこなしなさい、ローズ」

「はい! 姉上!」


ローズは姉を、姉たちを見送った。確かに彼らなら何の心配も要らないだろう。むしろ自分が向かって歩き足手まといになる可能性を考慮すればこのままの方がずっと安心できる。



「すごい人たちでしたね……」


圧倒されていたレイアが羊膜口を開いた。


「そうだな、彼らは軍の先鋭だ。私の憧れだ」


イシュタルがローズに近づいてくる。



「ならば貴様も任務をこなし、彼らに近づく事だな」

「ハ! 元帥殿!」




帝国軍の佐官将官十二名は組織本部の小島を目指して出発した。




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