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スティールスマイル  作者: ガブ
第四章 激突
155/621

episode 155 「JとQ」

ジャックは一人で林の中から出てきた。彼のコートは血で汚れていた。もちろん彼の血ではない。クイーンのものだ。手にはクイーンの血がベッタリと付着した弓もある。


大切な人を失ったように浮かない顔のジャック。一触即発の雰囲気を醸し出す。愛用の銃とクイーンの弓を大切にしまい、人混みを避けるようにしてトエフを抜け出す。



(じゃあな、クイーン)





クイーンは木にもたれかかるように倒れていた。


(はぁはぁはぁ)


ジャックに撃たれた傷が痛む。


(死んでない……心臓を撃ち抜くことなんてワケないでしょうに)


ジャックの弾丸はクイーンの体を突き抜けていた。臓器には触れもしないで。


(ホント、昔から肝心なところで甘さが出るんだから……)


クイーンはゆっくりと体を起こす。


(とりあえず、身を隠した方が良さそうね……待っててサン。おねぇちゃんが必ず迎えにいくからね)


クイーンは林の奥へと姿を消した。





「で、結局来てるじゃないか」

「黙れ」


ゼロたちはクイーンを追ってトエフへとやって来た。ゼロに突っ込みをいれるワルター。


「早いとこ探そうぜ。時間がもったいねぇ」

「そうだな。だがそもそも関わる必要があるのか疑問だがな」


急ぐフェンリーと乗り気じゃないオイゲン。


「仕方ないでしょ、リーダーがそういうんだから」


ニコルがゼロを横目で見る。


「無駄口を叩くな。クイーンは強い。こちらに引き込めるのならそれに越したことはない。とにかくクイーンとその弟を探すぞ」


ゼロは先頭をきって歩き出す。その時、前方から強烈な殺気を感じとる。ゼロはとっさに銃に手をかける。


「おい、どうしたんだよ。……なっ!」


フェンリーも気が付いたようだ。向こうもこちらに気が付いたようで、殺気と足音が急に消える。


辺りが静まり返る。ゼロは回りを警戒しながら後ろにいる仲間たちに声をかける。


「お前たち、気を付けろ。ただ者ではないぞ。警戒を怠るなよ」


しかし、誰からも返事がない。不審に思い、振り向くゼロ。



「よう、やっぱりゼロじゃないか」

「……ジャック!」



仲間たちはあっけにとられていたのだ。その男の驚異的なスピードに。そして簡単にゼロの後ろをとり、銃を突きつけていることに。



「俺は今むしゃくしゃしてんだ。ちょっと八つ当たりさせろや」



いきなり発砲するジャック。紙一重で避けるゼロ。銃弾はゼロの頬をかすめて傷を残す。


「ゼロ! だいじょぶかよ!」


駆け寄ってくるフェンリーを手で制止するゼロ。


「来るな! こいつは本気だ!」


ギロリとフェンリーたちを睨むジャック。



「そうだぜぇ。手ェなんか出すなよフェンリー。なんだほかにも見た顔があんな。てかあのお嬢ちゃんどうした? ん? 殺しちまったか?」


バン!


ゼロが発砲する。ゼロ同様顔に傷を作るジャック。



「レイアがなんだって?」



目だけで人を殺せそうなその殺気にゾクゾクするジャック。


「いいねぇ、その目。昔と変わってねぇや。本気のお前と戦えるってワケだ。ちょうどいい、射撃大会のリベンジといくぜ」

「お前たちは下がっていろ。こいつは俺が殺す」


殺気と殺気がぶつかり合う。




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