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スティールスマイル  作者: ガブ
第四章 激突
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episode 137 「招かれざる客」

組織のエージェント、ティーチとその部下アンとスパーダ。三人はヴァルキリア邸の扉を叩く。


「反応がないな……」


屋敷の中は静まり返っている。


「留守でしょうか? 鍵がかかっていますね」


お下げ頭のアンが扉を引くもまったく動かない。


「だったら壊せばいいじゃんか」


スパーダは扉を蹴り飛ばす。扉は留め具ごと吹き飛ばされ、屋敷の中へと侵入する三人。


「もう、乱暴なんだからスパーダは!」

「何甘いこといってんだアン。これから人殺しに行くってのに」

「二人とも、ここは敵地だ。騒ぐなら外で待っていろ」


屋敷の中へと中を物色する三人。どこにも人は見当たらない。


「教官、感づかれたのでは?」


アンが不安そうにティーチに尋ねる。


「かもな」


その時、スパーダが何かを見つけ、大声でティーチを呼ぶ。


「教官! こっちこっち!」


スパーダの声がする方へと急ぐティーチとアン。そこには横たわるリザベルトの姿があった。


「うわ! すごい怪我、痛そう……」

「この女剣士はあの時の……逃げられないと悟って置いていかれたか。不憫だな。すぐ楽にしてやる」


ティーチは短剣を抜く。



「そこまでだ!」



ティーチとアンの後ろから女の声がする。振り向くとそこにはスパーダに剣を突き立てる赤毛の女兵士の姿があった。


「きょ、きょうかーん!」

「……誰だ?」


スパーダは刃を突きつけられ、無様に泣きべそをかいている。


「私はリース。帝国軍曹長、リース・フェンサー! お前たちはここで拘束する! さあ、武器を捨てろ!」


リースは人質を手にいれたことで強気に出るが、ティーチにはまったく堪えていない。それどころかアンまで剣を抜き、リースに向かって突き立てる。


「な! 人質が見えないのか!」

「ひ、ひぃ~!」


リースは驚いてより強くスパーダに刃を突き付ける。首に刃が当たり、うっすらと血がにじみ出す。


スパーダの無様な表情に呆れてため息をつくアン。


「はぁ、スパーダ。いい加減にしてよ。目をつぶればいいじゃない」

「あ、そうか」


言われた通りスパーダは目を閉じる。すると今までの震えが嘘のようにおさまるスパーダ。


「いったい、何を……うっ!」


みぞおちに肘鉄をくらい、後ろに倒れ混むリース。そのときの勢いでスパーダの首にも切り傷が残るが、一切気にしていないスパーダ。


「ふぅ。危なかった。まったく、そんな危険なもの向けんなよな! 俺は先端恐怖症なんだ!」


目を開け、拳を構えるスパーダ。



「げほっ!」


なんとか立ち上がるリース。


ティーチはリザベルトの首もとに短剣を当てる。


「さて、立場は逆転だ。そこから動けばこの剣士は殺す。あとは言わなくてもわかるな?」


リースが剣を地面におこうとしたその時、リザベルトが体を起こす。


「そうはさせない!」


起き上がったリザベルトはティーチから短剣を奪い取り、スパーダに向ける。再び悲鳴をあげるスパーダ。


「ひぃ!」

「まだ動けるのか、しかしその足では時間の問題だぞ?」


ティーチの言葉通り、リザベルトの足のダメージは甚大で、支え無しではまともに立つことすらままならない。


「問題ない、私は姉上が戻ってくるまでの時間稼ぎができればそれでいい」

「なるほどな。目当ての姉上とやらはここには居ないのか。なら待っていてやろう」

「何だと?」


まさかの言葉に警戒するリザベルト。その一瞬の隙をつかれ、アンによって短剣を吹き飛ばされる。


「待っていてやる。そして現れたその女にお前たちの死体を突きつけてやろう」


ティーチは椅子に腰かける。


「アン、スパーダ。その二人はお前たちが始末しろ。その程度の者たちに遅れをとるようなら到底エージェントになぞなれないからな」

「はい!」

「わかったぜ!」


アンはリースと、スパーダはリザベルトとそれぞれ向かい合う。



「リースさん、あなたに恨みはありませんが、死んでくれると助かります」

「ふざけないで! 帝国に仇なす不貞な輩はこの私が叩き潰す!」


「は、早くその剣をしまってくれ!」

「な、なんなんだお前は。だが、容赦はしない!」





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