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スティールスマイル  作者: ガブ
第四章 激突
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episode 132 「現れた刺客」

レイアはいつものように目を覚ました。ゼロはもういない。ローズもゼロたちが旅立ったあとすぐに任務へと赴いた。今屋敷には使用人を除けばレイア、ケイト、セシル、リース、任務から帰って来たリザベルトの五人だ。


「おはようございます、セシル。もう起きてたのですね」


まだ寝ぼけているのか、目を擦りながら歩くケイトをつれて広間へと降りてきたレイア。セシルはすでに起きていて、優雅に紅茶を飲んでいた。


「あなたたちが遅いのです。リザベルトも起きていますわ」


セシルの言葉通りリザベルトが人数分のカップをもって現れた。


「二人ともよく眠れたかな?」

「ええ、おかげさまで」

「そうか、では朝食の用意をさせよう」


リザベルトが合図をすると数人の使用人が現れる。


「わたくしも手伝いますわ。居候させてもらってますもの」

「もちろんわたくしも」


セシルとレイアが厨房に向かおうとする。


「こ、困りますっ。お二方にそんなことをさせるわけにはっ」


使用人たちが困惑する。それを見て和やかに笑うリザベルト。ケイトはソファーで再び夢の中へと旅立っていた。




食事を済ませたレイアたちは楽しそうに談笑を始めていた。


「リザベルト、セルフィシー王国はどうでしたか?」


リザベルトはイシュタル元帥との一件以降再び王子の監視の任務についていた。


「心優しい人々で溢れていたよ。復興にはまだまだ時間がかかりそうだがきっとやれる。あの王子なら大丈夫だろう。マーク中佐とシオン少佐もついていることだしな」

「そうですか。その王子様、わたくしも会ってみたかったです。あと、シオンさんにも」

「ああ、ふたりともいいヤツだ」


にっこり笑うリザベルト。


「今日はジャンヌ中将が久しぶりにお戻りになられるんですよね? 今回はどのくらい滞在されるのですか?」


リースがうきうきしてリザベルトに語りかける。


「随分と嬉しそうだな。姉上のことだ、そう長くはないだろう」


リースはジャンヌに会ったことがなかった。帝国軍中将といえばまさに雲の上の存在だ。ましてや憧れのローズ大佐の姉だ。会いたくないわけがない。


「しかし、二人の帰りが遅いな」



ケイトとセシルは町へと買い物に出掛けていた。ケイトに新しい服を着させたいとセシルが言い出したのだ。あまり面識のないリザベルトと一緒にいるのも気まずかったのだろう、リザベルトの護衛を断り二人だけで出掛けた。もう、二時間も前のことだ。


「町にはたくさん兵もいますし、心配要りませんよ。年頃の女の子なんですから、それぐらい時間がかかってもおかしくないです」

「リース、君は時々おばさんのようなことを言うな」

「私はまだ十代です!」


二人のやり取りに笑みがこぼれるレイアだったが、ケイトとセシルのことが心配だった。


「わたくし、ちょっと見てきます」

「そうか、では私も行こう。リース、留守を頼む」

「ハ!」


リザベルトに敬礼をするリース。


(よ、よし! きちんとこのお屋敷を守って、ジャンヌ中将にいいところを見せてやる!)


はりきるリース。



ケイトとセシルはリースの言うとおり服選びに苦戦していた。


「これもいいですわね、ですがこちらも捨てがたい……」

「何でもいい、早くして」

「ダメですわ! 今の手持ちでは買えても二着。慎重に選ばなくては……店員さん! これも試着してよろしいかしら?」

「……つかれた」


セシルはまるで自分の服を選ぶかのように、いやそれ以上に真剣にケイトの服を選ぶ。しかし当の本人はそれほど服に頓着していないのか、それほど乗り気ではない。


カランと店の扉が開く。


「いらっしゃいませ!」


元気よく客を出迎える店員に刃を突き立てる女性。


「あなた、知ってるかしら? レイリーと言う男」

「あ、あああ」


店員は恐怖で声がでない。店員の様子を見て剣をおろす女性。


「そう。よかったわね。知らなくて」


店員は気を失ってしまう。すると女性は今度はセシルとケイトの方へと歩いてくる。


「あ、あなた。何のつもりですの?」


怯えるセシルを睨み付ける女性。


「質問は私がするのよ。知っているの? 知らないの?」

「知りませんわ!」


女性はセシルの目をじっとみる。


「そう。ならいいわ。で、そっちの子は? ……ん? あなたどこかで……」


ケイトを見て動きが止まる女性。


「あなた、まさか……」


女性が何かを言おうとしたその時、またしても店のドアが開く。



「貴様、私の友人たちに何をしている?」

「リザベルト!」


現れたのはリザベルトだった。リザベルトは倒れている店員を確認し、状況を理解する。


「すぐに武器を捨てろ。そして投降するんだ」

「嫌よ。私はやることがあるの」


剣を抜くリザベルト。


「ならば私もやることをやらせてもらおうか!」


ケイトから目を離し、リザベルトを見つめる女性。


「いいの? あなた死ぬわよ?」


女性はリザベルトに刃を向ける。リザベルトに引く様子はない。


「モルガント帝国軍六将軍第五将、リザベルト・ヴァルキリア中尉、参る!」



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