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スティールスマイル  作者: ガブ
第四章 激突
131/621

episode 131 「迫りくる暗殺者」

ハウエリス、グリフィー。組織の殺し屋、炎殺エンヴァーによって焼き払われた町。

町はひどい有り様だったが、犠牲となった人々はゼロたちを含めたトエフの人間たちによって埋葬され、慰霊碑がたてられていた。それを礼拝する人がいる一方、金目のものを狙った盗賊たちも少なくはない。



「チッ! ほとんど燃えちまってるな」


金目の物が見つからず、機嫌が悪くなる盗賊たち。ふと前方に目をやると明らかに礼拝目的ではない身なりの人物が。


「ボス、やっちまいますか?」


したっぱらしき男がボスに声をかける。しかしボスは何の返答も返してこない。それどころか目も虚ろで心ここにあらずといった感じだった。


「ボス?」


したっぱの男が不審に思い、ボスの体を揺らすとポトッとボスの頭部が地面に落ち、血が噴水のように吹き上がる。


「ヒッ……え?」


悲鳴を言い終えるよりも早く彼の頭部も宙を舞う。彼が途切れる意識の中で最後に目撃したのは仲間たちの宙を舞う頭部と、その間を高速ですり抜ける黒い影だった。


前方から歩いてきた男は何事もなかったのように盗賊たちの死体の間を通り、先へと進んでいく。



髪を後ろに流し、三束ほど前に垂らした髪型。体全体を覆うマントを身に纏った奇妙な出で立ち。気配をまったく感じさせない機械のような心。アーノルト・レバー。組織最強の暗殺者。


アーノルトがここを訪れたのはゼロたちが去ってから僅か二日後の事だった。




「あんたも礼拝に来たのかい?」


アーノルトに一人の老人が声をかける。アーノルトは何も答えない。再び声をかけようとする老人だったが、気がつくとそこにアーノルトの姿はなかった。


「ゆ、幽霊じゃ!」


叫んで何処かへ消える老人。


実際アーノルトは消えたわけではない。老人の視界から逸れ、気配を消しただけにすぎなかった。だが素人の老人からしたらまさに消えたように見えたのだろう。



アーノルトはヒエロの屋敷跡地へと向かった。屋敷に近づくにつれて被害は大きくなっており、人の気配どころか獣の気配すらない。ただひとつの殺気を除いては。


突如アーノルトの後方から火柱が襲いかかる。攻撃がくるのを予感していたかのように簡単に避けるアーノルト。姿の見えない殺気に声をかける。


「何のようだ、炎殺」


アーノルトの問いかけに返答はなく、炎だけがやって来る。


「それが答えか」


炎はアーノルトにかすりもしない。姿が見えなくとも攻撃の出所、ヒリヒリとくる殺気によって居場所は丸見えだった。


数秒後、炎の攻撃がやんだ。


両手を切り落とされ、瀕死の状態のエンヴァーにとどめをさすアーノルト。エンヴァーは最後まで抵抗し、反抗の目を絶やさなかった。


人を、しかも同僚を殺した後だというのに感情に何の変化もないアーノルト。


焼け落ちたヒエロの屋敷に到着し、瓦礫の上に腰かける。


「さあこい、ゼロ。俺はここで待とう」



アーノルトが主人を失った屋敷に腰をおろした頃、ゼロの帰りを待つモルガントのレイアにも危機が迫ろうとしていた。



「エクシルの話によればここでレイリーさんが殺されたらしいな」

「ええ。そうみたいね」

「ここで手柄を上げればエージェントになれるチャンスだ。幸いいくつも席は空いているからね」



エージェント育成所。


孤児や捨て子をさらい、物心ついた頃から殺し屋としての技術を叩き込みエージェントへと育て上げるためにエクシルが作り上げた。そこで優秀な成績を納める先鋭五名がモルガントへと送り込まれた。実力はエージェントと比べても遜色ない。


目的はここで殺されたとされる麗殺レイリーの調査、及び殺害相手の殺害もしくは勧誘。


「なんてエクシルさんは言っていたけれど、そんなの殺すに決まってるよね?」

「当然だ」


五人はモルガントの港へと降り立った。




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