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スティールスマイル  作者: ガブ
第三章 もう一人のゼロ
127/621

episode 127 「始動」

エクシルは一件の任務完了報告を受ける。


「ん、おお。遂にサヌスを始末したか! ふむ、ふむ、なるほど。ならお前も直ぐにグリフィーに向かってくれ」


「なに? 既にいる? そうか、ならクイーンの捜索を……なんだと?」






エンヴァーの遺した爪痕は凄まじく、炎は三日三晩町を燃やし続けた。燃やせるものがなくなった三日目、グリフィーはハウエリスの地図から消滅した。


合流した面々は町の住民にトエフから持参した花を手向ける。誰一人口を開かないなか、セシルの涙を拭う音だけが聞こえている。


フェンリーに偉そうな口をききながらも、ゼロの心にも相当な負荷がかかっていた。


そんなゼロたちのもとにクイーンが現れる。



「ゲイリーを倒したのね。次は私の番よ」


クイーンは弓を構える。


「やあ、無事だったんだね!? 良かった。もう怪我はいいのかい?」


ワルターが臨戦体勢のクイーンに話しかける。


「あんた誰よ」

「俺はワルター。君と同じ殺し屋さ」


その言葉を聞いて弓をしまい、指令書を確認するクイーン。


「ワルター、あんたの名前も出てないわね。まったく、何人裏切り者がいるのかしら」


ニコルの方を向くクイーン。


「あら、あなたもエンヴァーを射たじゃない。立派な裏切りよ」

「あれは裏切りじゃないわ、正当な権利の主張よ!」

「そう。組織もそう受け取ってくれるといいわね」

「どういう意味よ」


ピコンとクイーンの持つ端末に通知が入る。それを見て青ざめるクイーン。端末には何十通もエクシルから連絡が来ていた。


「な……あんたたちとの決着は後回しよ!」


そう言ってクイーンはどこかへ去っていく。



「いったい何をしてたんだい?」

「ふふ、秘密よ」


ワルターの質問を受け流すニコル。セシルもクスッと笑っている。




隣町のトエフはグリフィーの事件の噂で持ちきりだった。友人がグリフィーに住んでいる者も多く、グリフィーの様子を確かめようと人々が大勢押し掛ける。そしてその全員が絶望的な状況を目の当たりにして言葉を失う。一行は何もできなかったいたたまれなさでうつ向く。


絶望にうちひしがれた人々は徐々に顔を上げ、誰だか判別のつかない焼死体を埋葬すべく動き出した。互いに互いを励まし合いながら、涙をぬぐい前へ進む人々に心を打たれるフェンリー。


「ゼロ、俺は行くぜ。止めても無駄だ」


人々を手伝おうと駆け出すフェンリーの肩をつかむゼロ。


「おい、無駄だって言ったろ」

「そうじゃない。俺たちも行こう」


驚いた顔を一瞬見せ、にっこり笑うフェンリー。


六人は人々の方へ駆け出した。




組織本部。


「クイーンは何を考えている……なぜ連絡が無い……そしてなぜエンヴァーの邪魔をする」


エクシルがゼロたちの対策に頭を悩ませていると、一人の男が現れる。


「おお! やっと来てくれたか!」



男は全く音を立てずにエクシルに忍び寄る。


「ゼロとオイゲンが現れたそうだな。それは本当か?」


男から放たれる憎悪といかりに身を震わせるエクシル。


「俺も最初は半信半疑だった。だが偵察に向かわせたヤン、ゲイリーが死亡。クイーン、エンヴァーからの連絡がない。これほどのことができるのはやつらの他に居ないだろう」

「そうか。では次は誰が向かう?」


男は椅子に腰かけ、エクシルの言葉を待つ。男から放たれる殺気が怒りのほどを伺わせる。エクシルと男は組織発足当時からの中だが、ここまで彼が感情を露にしたのは今回が初めてのことだった。


「行ってくれるか?」

「当然だ」


その言葉を待っていたかのように男は立ち上がり、その場を後にする。




(ゼロ、随分とエージェントを葬ってくれたが今回でお前たちは終わりだ。以前のお前ならいず知らず、今のお前では到底叶わないだろう)



「フハ、フハハハ!」


エクシルが笑い出す。


「ようやくお前の死に顔を拝める! 頼んだぞ!アーノルト!」



遂に動き出した組織最強の殺し屋、暗殺のアーノルト。果たしてゼロたちは死神の魔の手から逃れることができるのか。



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