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スティールスマイル  作者: ガブ
第三章 もう一人のゼロ
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episode 118 「ゲイリー」

まさに豪傑。国際的に指名手配されているにも関わらず、全く隠れるそぶりを見せず大胆に姿をさらけ出しているゲイリー。その姿を見たのか、後ろから警備員らしき男たちがやってくる。


「ちょっと君、いいかな?」

「ん? ああ構わんぞ」


警備員らしき男がゲイリーに声をかける。ゲイリーは堂々とした態度で答える。


「名前と職業いってもらっていい?」

「ガハハハ! 俺はゲイリー! 殺し屋だ!」


その堂々とした態度に驚く警備員らしき男。


「な! 何をいっているのかわかっているのか!」

「ああ、もちろんだとも!」


そういってゲイリーは男の顔をわしづかみにする。


「が、は、はなせ!」

「ん? 聞こえないぞ?」


ゲイリーはそのまま男の顔を握りつぶす。グチャっと音がして崩れ落ちる男。オイゲンほどではないが凄まじいパワーだ。


「ガーハハハ! 脆すぎるぞ!」


仲間が目の前で殺され、うろたえる男たち。ゲイリーに向かって一斉に銃を構える。


「動くな! お前を逮捕する!」

「ガーハハハ! 動くさ! 勝負といこうか!」


ゲイリーは構わず男たちに向かって前進する。男たちは銃を発砲する。しかし恐怖でなかなか照準が定まらない。


「うわあわあわあわあわ!」

「ちゃんと狙え! つまらんぞ!」


ゲイリーは先ほど殺した男の体を掴み、豪快に振り回す。そしてそしは血を撒き散らしながら男たちを凪ぎ払う。


男たちは地面に叩きつけられる。すでに戦意は喪失し、残された手は震えながら命乞いをすることだけだった。


「た、たすけ……」


にぃーと笑うゲイリー。


「ガーハハハ! 壮大に逝け!」



ゼロがまばたきする暇もなく、辺りは血と臓物の海となる。


「よき! よき! いい運動になったわ!」


人を殺したあととは思えないほど爽快な顔のゲイリー。背筋を伸ばしながら殺戮の余韻に浸っている。



(この男は危険だ……)


残虐性はメル姉弟やサヌスと同等。しかし彼らとは比べ物にならない戦闘力を誇っている。


(すぐに皆に知らせなければ……)


その場を立ち去ろうとするゼロを激しい殺気が襲う。



「で、そこでこそこそ隠れているのは誰だ?」


ゲイリーの鋭い視線が姿の見えないはずのゼロを突き刺す。すぐさま振り向き銃を撃つゼロ。弾はゲイリーの足元で砂を巻き上げる。


「威嚇射撃? 下らんな、狙うならここだ。心の臓!」


自らの心臓を指差すゲイリー。


「ん? ガーハハハ! ゼロ! ゼロじゃないか! 久しいな!」

「ゲイリー、貴様ここで何をしている」


ゼロに気づいたゲイリーが豪快に笑い飛ばす。




「エクシルに呼ばれてな! お前たちをぶっ殺せって!」



そういうなりゲイリーはゼロに向かって突き進んでくる。鬱蒼と生い茂る林の中へと逃げ込むゼロだったが、バキバキと木々をなぎ倒しながら追いかけてくるゲイリー。



「ガーハハハ! 観念しろ! 呼ばれたのは俺だけじゃないぞ! クイーンとヤンもだ!」

「っ! なぜここがわかった!」

「そんなことどうでもいいだろ! 話し合いは終わり、これからは殺し合だ!」


ゲイリーに引く気配はない。うきうきでゼロの息の根を止めようと追いかけてくる。が、急に足が止まるゲイリー。



「おっと! なんだこりゃ!」


ゲイリーの足元は凍り付き、地面に固められていた。



「たく、現場を放棄してやがるから何事かと思ったら、こんな大事だったのかよ」

「ガーハハハ! これはフェンリー! お前は殺しのリストに無いが、そんなこと関係ないよな!」


ゲイリーはいとも簡単に足元の氷を砕く。


「あーもー嫌だぜ。筋肉バカとの戦いは!」


葉っぱをむしりとり、それを凍らせて手裏剣のように投げるフェンリー。


「ガーハハハ! 面白い小細工だ。だが所詮は氷! ふんっ!」


ゲイリーは両手を思い切り前に突き出す。すると真空波のようなものが発生し、氷の手裏剣を粉々に破壊した。


「おいおい、化物か!」

「ガーハハハ! もっと殺す気でこい!」


ゲイリーはそのまま何発も真空波を飛ばしてくる。それを避けるゼロ。標的を失った真空波は小動物に命中し、それを木っ端微塵に破壊する。まともに食らえばただでは済まないだろう。


何とか隙を作ろうと素早く動いて翻弄するゼロだが、ゲイリーはペースを崩さない。なりふり構わず当たり一面を攻撃し続ける。どんどん林は丸裸になっていく。


「逃げるな! それでは勝てんぞ!」

「くそが! 近づけねぇぞ、どうすんだ!?」


フェンリーがいくら氷を飛ばしてもゲイリーに到達する前に破壊されてしまう。そもそも命中したところでダメージを与えられるかどうかも定かではない。


「ひとまず退散だ! 俺が引き付ける、お前は皆に知らせてグリフィーを発て」

「チッ! しょうがねぇ!」


ゼロがゲイリーの上半身に向かって発砲する。


「お、今度はちゃんと狙ってきたか!」


それに応戦すべくゲイリーの注意がゼロに向く。その隙をついてその場を去るフェンリー。が、そのフェンリーの足元に一本の矢が突き刺さる。


「どこへ行く気? 逃げられると思っているの?」

「……クイーン!」


クイーンが木々の間から姿を表す。


「フェンリー、あんたは標的じゃない。私たちに協力するって言うなら助けてあげるわ」


弓をフェンリーに向かって構えながら脅すクイーン。その弓の先にはなにやら怪しい液体が塗られている。


「掠れば猛毒が血管をめぐって体を蝕むぜ。シシシ」


クイーンの隣から小柄な男が姿を表す。ヤンだ。


「手を出すな! そんな駆け引きなぞつまらん! 殺せばいいであろう!」

「うるさいわね。あんたが何考えてるかなんて考えたくもないわ。私は任務を全うするわ」


クイーンとゲイリーが言い争う。


「ふん! 勝手にせい! フェンリーはくれてやる、その代わりゼロは俺がもらうぞ!」

「どうぞご自由に」


クイーン、ヤンと向かい合うフェンリー。ゲイリーと対峙するゼロ。もはや避けて通れない戦い。


「ガーハハハ! 最強と言われたその実力、存分に発揮してくれ! さあ、死合うとしようか! 」

「……仕方がない。だが殺しはしない。その代わりその口が聞けなくなるまで、存分に痛め付けてやろう」


両者の殺意がぶつかり合う。本当の戦いが始まる。



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