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スティールスマイル  作者: ガブ
第三章 もう一人のゼロ
117/621

episode 117 「GQY」

組織のエージェント、クイーンはエクシルから指令を受け、本部のある小島に来ていた。


「相変わらず辛気くさい島」


見た目的にはただの無人島。しかし島の地下には強大な施設が存在している。


「めんどくさいわね」


決められたルートを通っていかなければ施設にまでたどり着けない。


施設のなかではたくさんの工作員たちが仕事をしている。皆クイーンの姿を見ると仕事の手を止め、お辞儀する。


「そういうのいい。仕事して」


エクシルはたくさんのパソコンに囲まれた暗い部屋にいた。


「ん、来たかクイーン」

「ゼロが出たって? 嘘だったら許さないわ」


クイーンはエクシルを睨み付ける。


「嫌ならやめればいいし」

「誰?」


暗闇から小柄な男が現れる。長い前髪から瞳孔の開いた瞳を覗かせる。


「誰こいつ」

「はじめまして。おいらはヤン。あんたがクイーン?」

「そうだけど、なに?」


不気味なヤンを警戒するクイーン。


「仲良くしてくれ。今回の任務は君たち二人とゲイリーで向かってもらうから」

「は?」


クイーンは不満な表情を見せる。


「このちびと一緒? おまけにあの悪趣味なゲイリーまで? 冗談じゃないわ。私一人で行かせて」

「なんだって? おい、今ちびといったか?」


ヤンはポケットから怪しい薬品を取り出す。


「少しでも吸えば一瞬でお花畑にトリップだ。女子はお花好きだろう?」

「あんたモテなそうね」

「やめないか。それをしまえヤン。これは決定事項だ。文句があるなら二人とも処罰する」


今にも争いに発展しそうな二人を止めるエクシル。


「せいぜい私の出世のために命を張って」


ヤンを睨み付けるクイーン。


「生意気な女だな。性格の悪さが顔ににじみ出てやがる。隙を見て薬漬けにしてやるぞ」


ヤンはコートの中から多種多様の薬品をちらつかせる。


「死んで」


冷たくいい放つクイーン。


二人を部屋から追い出し、一息つくエクシル。


「まったく、問題児ばかりだ。もっとも問題児でなければ殺し屋など勤まらないがな」



組織の施設ではエージェントのみが利用できる簡易的な宿泊施設が存在している。ゲイリーが到着するまでここで待機することになる。


ヤンは戦いのため、新たな薬品の調合に挑戦している。クイーンは精神を統一するため座禅を組んでいる。



Qの殺し屋、弓殺クイーン。組織随一の弓使いであり、表の世界でも名の知れた世界女王である。その素性から表だって行動することはほぼない。ほかのエージェントと組まされて主に補佐を担当するのだが、その高慢な性格から一人で行動したがり、度々問題を起こしている。



Yの殺し屋、薬殺ヤン。傷薬から毒薬まで何でも調合する薬品のプロ。ドレクの師匠でもある。ドレクを倒したゼロに少なからず怒りを覚えており、今回の任務には一番乗り気だ。身長の低さがコンプレックスであり、それを指摘されると誰であろうと容赦はしない。



Gの殺し屋、豪殺ゲイリー。組織のエージェントでありながら暗躍を好まず、表の世界でも最重要指名手配されている犯罪者。組織も手を焼いているが実力は確かで、今まで一度も任務を失敗したことがない。これはゲイリーを除けばアーノルトしか成し得ていない功績だ。


本人もとても豪快な男で、クイーンとはうまが合わなかった。




そんな三人が来ることなど知るよしもないゼロたちは、ヒエロを陥れるための計画をねる。


「まずは奴が本当に人身売買をおこなっているのか確かめる必要がある」

「どうすんだ? その辺の奴殺して放置しとくか?」


フェンリーを睨み付けるゼロ。


「冗談だよ……」


「何も死んでいる必要は無いんじゃないかい? 誰かが浮浪者を装い、近づいてみるとか」


ワルターが提案する。


「それも手だ。だが、誰がやる? これはとても危険な賭けだ。奴が本当に悪人でそれなりの筋と繋がっているのだとすれば、その囮役はもう戻ってこれないかもしれない」


ゼロの言葉にしーんとなる宿内。


「じゃあ、私がその辺の男をたぶらかして来ましょうか?」

「……」

「わかったわよっ。じゃあどうするの? 私は嫌よ」


ニコルを睨み付けるゼロ。


「どのみち俺たちは顔が割れている。この作戦は難しいだろう。とりあえず交代で屋敷を見張ろう。まずは俺が行く。そのあとはフェンリー、ワルター、オイゲン、ニコルの順であたる」



「わたくしは?」


自分の名前がでないことに疑問を感じたセシルがゼロに尋ねる。


「お前は留守番だ」


納得いかないセシル。


「またわたくしは仲間外れですの?」

「お嬢様、お気持ちはわかりますがこれは危険な任務です。お嬢様に何かあればご両親に顔向けできません」


オイゲンがたしなめる。


「お前は俺たちのために食事を用意して待っていてくれ。それがお前の任務だ」

「……わかりましたわよ」


早速ゼロはヒエロの屋敷がよく見える林の中に身を潜める。しばらく何の動きも見られなかったが、やがて一人の男が屋敷へと近づいていく。


(……まさか)



「ガーハハハ! ここがヒエロとか言う女の屋敷か! 贅沢だ!」


姿が見えるよりも先に聞き覚えのある豪快な声が聞こえてくる。


「さてさて、裏切り者はどこだ! でてこい! なんてな、ガーハハハ!」


(間違いない……なぜあの男がここに)


男の姿が見えてくる。豪殺ゲイリー。間違いなくその男だった。







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