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スティールスマイル  作者: ガブ
第三章 もう一人のゼロ
110/621

episode 110 「ラティック」

ハウエリスの都市グリフィー。そこの市長、ヒエロには人身売買をしているという噂があった。仲間の死体がヒエロに回収されたのではないかと危惧する一同。奪還作戦を練るため宿をとるが、いてもたってもいられなくなったフェンリーは一人でヒエロの屋敷に殴り込みをかける。

フェンリーが中に突入すると、すぐさま私設軍と思われる兵士たちがフェンリーを取り囲む。


「なんだお前は! ここはヒエロ様の屋敷だぞ!」

「ああ、じゃなきゃ困る」


フェンリーの足元が氷始める。その光景を見て震え上がる兵士たち。


「な、なんだお前は! うわぁぁぁ」


一人、また一人と悲鳴をあげながら氷に飲み込まれていく兵士たち。フェンリーは一切の容赦をせず、突き進んでいく。


「さあ、死にたい奴から前にでな」



ヒエロの書斎。中には二人の人影が。一人はこの屋敷の主、グリフィー市長ヒエロ。そしてもう一人はヒエロ私設軍リーダー、ラティック。


「なんだか騒がしいな。おいラティック、様子を見てこい」

「かしこまりました、ヒエロ様」


フェンリーの暴れる音を聞いて、ヒエロがラティックに指示を出す。


ヒエロの書斎を出た瞬間、ラティックは異様な寒さに身を震わせる。


(なんだコレは)


よく見れば屋敷の所々に氷の塊が。さらによく見るとそれは自分の部下たちだった。


(何があったんだ!)


変わり果てた部下が閉じ込められた氷に触れるラティック。


「よぉ。お前がリーダーか?」


聞き覚えのない声に驚き振り返るラティック。そこには殺気と氷を身にまとったフェンリーが立っていた。


「まさか、人の仕業なのか?」

「俺の仲間を返してもらおうか」


困惑するラティックに襲いかかるフェンリー。慌ててラティックも応戦する。


「何をする! 我々に何の用だ!」

「黙れこのろくでなしども! 俺の仲間を返せってんだよ!」


氷をまとわせた拳でラティックに殴りかかるフェンリー。持っていた盾でガードするラティック。フェンリーの拳は盾に防がれるが、盾に触れた瞬間氷が盾を包み込む。


「どうなってる!」


氷がラティックの体に到達する前に盾を投げ捨てる。


「知らなくていいぜ。あいつらの居場所もお前を倒してヒエロとやらに直接聞くからよ」


その言葉を聞いた瞬間、ラティックの表情が変わる。


「ヒエロ、様だ!」


フェンリーの腹を蹴り飛ばすラティック。腹に仕込んだ氷の鎧ではガードしきれず吹き飛ばされるフェンリー。


「ぐは!」

「なるほどな、皮膚から氷を生成する加護か。触れられれば厄介だが、服の上からの攻撃は防げまい」


ラティックは背中から弓矢を取り出す。


「そして俺の予想では飛び道具を防ぐすべもないだろう」

「チッ!」


弓を放つラティック。フェンリーは足の裏に氷を付着させ、機動力をあげてラティックを翻弄する。


「無駄だ!」


避けはずの弓がフェンリーの背中に突き刺さる。


「なっ……に!」


ラティックのまわりには風が舞っていた。弓矢は宙に浮き、フェンリーに狙いを定めている。


「加護の存在をなぜ俺が知っていると思う? 俺がそうだからだ。覚悟しろ侵入者。偉大なるハウエリスの神、十闘神第七神ホルス様より授かりし我が風の力でお前を屠る」

「たっく、どうして俺の敵はいつもこう異能力者ばかりなのかね!」




風に乗った弓矢がフェンリーに襲いかかる。

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