1
鳥のさえずりが聞こえる。
ここはどこだろう。
私はゆっくりと目を開けた。
ここは何処?
「ア!起キタ!魔王様!客人起キタ!」
額にツノの生えた仔ウサギが跳ねて部屋から出て行く。
いや、まてまてまて、あれは…魔物?
いやいやそれよりも…今人語喋らなかった?しかも魔王って言わなかった?
突然の出来事に困惑していると
「やっと起きたか。」
二人の男性と仔ウサギが部屋に入ってくる。うち一人は昨日の私を助けてくれた赤目の男だ。
私は急いでベッドに腰掛け頭を下げる。
「あのっ!昨日は助けてくれてっ!あ、ああありがとうございます!」
噛んだ。恥ずかしさで顔が熱くなる。だが気にしてはいられない。
「助けて頂いた上に泊めていただいてっ!ありがとうございますっ!」
「ここは俺の家ではない。聞いて驚け!ここは四人の魔王のうちの一人!我らの魔術王の居城である!ところで娘よ。名はなんだ?この魔術王の領地に響くような自己紹介をして貰おうか!」
「バル、テンション上がりすぎ。うるさい。」
魔術王と呼ばれた男に冷たくあしらわれる。
頭の整理が追いつかない。昨日私を助けてくれた人がバルと呼ばれた。この人の名前はバルなのだろう。で、バルさんの隣にいるのが…魔術王⁈
たしかにバルは魔術王と呼んだ。足元には小さいが間違いなく魔物である仔ウサギがいる。
「あなたが…魔術王様?」
ぽつり。と口から疑問が溢れた。
「ああ!そうだ!この方こそがあの伝説に語られる四人の…「うるさい」
「魔王様!ツメタイ!!」
仔ウサギが跳ねて私の膝に座る。かわいいがそれどころではない。
「つまり…あなたは魔術王で…ここは…魔術王の領⁈」
「そうだ。そしてこのうるさいのがバル。俺の補佐?側近?だ。ちなみにここの領地内には魔物だけでなく数百人の人が暮らしている。後で見てくるといい。」
???
魔王の領地に…人が住んでいる⁈ ダメだ。さっきから驚いてばっかりだ。すこし落ち着こう。
「魔王の領地に人が住んでいるんですか?」
「ああそうだ。我らが王は寛大でな。街で死にかけている人や差別されているような人を匿っているのだ!」
「バル。俺は務めに戻る。この娘に城周辺の案内でもして来い。」
「了解です!我が王!」
「では、私はどうなるのでしょう?私も魔術王様の領地で暮らすのですか?」
「それでもよい。今まで通り街で暮らすも良い、それは自分で決めたまえ。」
バルがドアを開け部屋から出て行った。私はどうすればいいのだろう