小太郎 総大将
「小太郎…」
「なんだ母ちゃん」
「具合でも悪いの?」
母ちゃんより早起きした小太郎
まだ朝の5時…
「母ちゃんま〜だ?」
「まだ6時ですよ」
「暇だ…暇だ…暇だ…」
今日は 小太郎年中組秋の遠足
海までバスに乗って行く
小太郎は海を見た事がなかった
「隣の人はいますか?」
「は〜〜い」
「それでは出発します!」
「晶ちゃん海見た事あるの?」
「あるよ」
「いいなぁ」
「太郎ちゃん 初めて?」
「初めてだぞ!」
「んじゃ 楽しみだね」
2時間後 目的地に着く
「おぉ!デケェ!」
どこまでも続く大海原
「いいですか!海には入らないように!わかりましたか?」
「は〜〜い」
「特に 太郎ちゃん!」
「先生 特別扱いすんなよ!」
「…」
場所は 海浜公園
海に面して遊具もある
先生は 砂糖 を持参していた
穏やかな波が 寄せては返す
海に入らない…
みんな 靴を脱ぎ 海に 足だけ浸けている
「先生!あそこ行っていいか?」
小太郎が言ってるのは 砂浜からちょっと離れた磯
「先生の目に届く範囲ならいいよ」
「やった〜!晶ちゃん行こう!」
磯に来た 小太郎と晶ちゃん
「おぉ!魚いっぱい居るぞ!」
「すご〜い!」
磯の窪みに 潮溜まりがいたるところにあり その中には 海の忘れ物のが沢山泳いでいた
「お〜〜い!みんな〜!こっち来て〜!」
小太郎の掛け声でみんな浜から磯へと移る
「スッゲー!」
「綺麗だね〜!」
「先生!ここなら入ってもいいか?」
小太郎は 膝まで潮溜まりに入った状態で 先生に確認する
「太郎ちゃん…すでに入ってるし…いいでしょ!ここならみんな入って遊んでもいいですよ!」
「ヤッター!」
「魚 獲るぞ!」
「私は 貝拾いする〜!」
「先生!水の中に 栗 あるぞ!」
「栗?そんなわけないでしょ!」
「ほらっ!」
小太郎が見せたのは 雲丹
「太郎ちゃん それは 雲丹だよ」
「うに?」
「そう!お寿司屋さんで高いんだから」
先生 つい本音が出る…
「これ高いのか?いっぱいあるぞ!」
「太郎ちゃんどこ!!」
引率の先生達の目付きが変わる
「あ…あそこ…」
先生達は 雲丹獲りに…
「怖かった…」
小太郎の素直な感想…
先生なら知ってると思うが…密漁だぞ…
「デカイ魚居るぞ!」
「本当だ!」
「なんとかして獲れないかなぁ…」
小太郎は 頭をフル回転させる
遊びの事になると 天才的な発想をみせるのだ
「みんな〜!水を入れる物を探すぞ!」
砂浜に落ちている瓶 バケツを拾い磯に戻る
「これで この中の水を汲みあげるぞ!」
窪みの溜まり水を汲みあげようとしている
「ここにみんな並べ!」
ようはバケツリレーをしようとしているのだ
もちろん 小太郎はバケツリレーなんか知ってるわけがない
遊びの時だけ 天才になるのだ
バシャバシャ!
水がどんどん減っていく
「おぉ!水減ったぞ!みんな入るぞ!」
「おぉ〜!」
総大将の掛け声で 足軽達が溜まり水に入っていく
小太郎の獲物は 敵の総大将 溜まり水のヌシ
「やった〜!カニ獲った!」
「貝 こんなに採れた」
みんな 活き活きとした顔をしている
ただ1人 小太郎はまだ ヌシと闘っていた
「チクショ〜!こいつ すばしっこいぞ!」
すでに 小太郎は全身びしょ濡れ
「おっ!タコ!邪魔だ!」
小太郎は鷲掴みにして投げる
「おぉ!タコだ!」
周りにいる 小太郎の足軽達が 総大将が投げる 獲物を拾っていく
雲丹を沢山獲って先生達が戻ってくる
「小太郎くん 後ろ!」
「太郎ちゃん そっち!」
「小太郎くん…!」
「太郎ちゃん…!」
小太郎 対 溜まり水のヌシ!
「太郎ちゃん 何してんの!」
先生の声など届かない小太郎
今 小太郎は 優勝 がかかった闘いをしているのだ
「太郎ちゃん イケ〜!」
晶ちゃんも熱い声援を送っている
「よ〜し!それっ!」
晶ちゃんの声援で小太郎は ヌシ目掛けて 必殺のダイブ!
バシャ!
水しぶきを上げる小太郎
起き上がった小太郎は ヌシを胸に抱えていた!
「ヤッター!獲ったぞ〜!」
「小太郎くん スゲー!」
「太郎ちゃん やったね!」
「全く…太郎ちゃんは…」
そう言う先生の手には 雲丹が沢山…
こうして秋の 収穫祭 をみんな楽しんだ
「隣の人はいますか〜?」
「は〜〜い」
小太郎はすでにぐっすり寝てた
「太郎ちゃん 着いたよ」
「ん…晶ちゃん おはよ」
疲れきっている小太郎
「太郎ちゃん 大丈夫?重くない?」
「大丈夫だ…」
小太郎は手には ヌシを入れた袋
「母ちゃん…ただいま…」
「小太郎 楽しかった…何それ!」
袋を引きずり 破け そこからヌシの頭が…
今日は 秋の遠足…収穫祭?