道消し ①
初めての小説。作文大嫌いな自分です。
小説になっていないかもしれません
何せ、自分、本の小説が読めない特殊能力者なのです
文字がゲシュタルト崩壊するのです。
登場人物も失踪してしまい、誰が誰だか分からなくなるのです…
頭の中にある能力の主人公をうまく伝えたくて、書いてみました。
ありきたりの内容だったらごめんなさい
「先生、今日の依頼はレベル2です」
相棒はそう言う。
「内容は?」
「離婚です」
けだるそうに眼を閉じながら言う、
両手はぶらぶらしている。
「依頼料は?」
「バッチシOKな額です」
親指を突き上げ、グーのサインを何度か上下させている。
「時間は?」
「もう大丈夫です」
グーのサイン
「依頼者は?」
「隣の部屋にて待っています」
人差し指をピーン突き刺し、隣の部屋への扉を指さす。
「じゃ行こう」
椅子から立ち上がり歩き出す。
「どぞ」
ドアを開けてくれる。
ドアが開かれた瞬間、
貧乏ゆすりをしていた相手は、スッと椅子から立ち上がり、
頭を下げたまま動かなくなった。
良いスーツの三十代後半位の男性で、
顔は下を向いているので分からない。
自分も向かいの椅子に座り
「どうぞ、お座りください」と、うながす。
相手も座り、顔が見える
顔は、若いころはイケメン寄りだったろうと思うくらい。
うらやましい。
こんな風に老けて生きたい。
「さて以来の件ですが」
相棒が話を進め始める。
「こちら、佐藤(仮)様は、離婚の危機を迎えております」
「佐藤様は奥様との離婚を望んでおりません」
「奥様は専業主婦37歳、お子様は二人、15歳の女の子と11歳の男の子のお二人」
「離婚理由は奥様によるもので」
「ただ、離婚したいとの事」
「佐藤様は離婚の意思は無く、不倫などの不貞行為はされておりません」
「しかし、このままでは、親権は二人とも奥様に行くと思われます」
佐藤さんはうつむいてしまっている
「これって、弁護士先生とかの方がいいのでは?」
自分の力を使う程の案件に思えなかったので言ってみた。
「異例です」
相棒が耳元でささやく
「あああ、分かりました続けて」
レベル2なのを忘れていた、失敗
「続けます」
「奥様はかたくなに離婚理由を教えてはくれておりません」
「奥様は名家の方で、裁判などでは親権は勝てません」
「先生、佐藤家繁栄の道をよろしくお願いします」
相棒が言い終わり警察の敬礼のように
ビシッと右手をこめかみに当てている
佐藤さんは、よろしくお願いしますと頭を下げている。
「佐藤さん分かりました、善処しますが、少し時間をもらいます」
と言って佐藤さんの足元をじっくり見る。
出来れば、奥さんと子供達の足元も見た方が早いのだが
まあ自分が頑張ればいいやと、もっとじっくり見続ける。
道は自分で作っていく
人が良く言うセリフであり、その通りである。
だが、その道が自分に良い道か悪い道か、決める事は出来ない。
道を選んだ結果で、その道が良かったか悪かったかである。
俺は道を1つ消す事ができる。
消して残った道の保証はしない。
若い人の道は極力消さない事にしている。
あと、なんかかんか制約があるけど、
その人の道を消して、選択肢を消してあげる。
そんな商売を相棒としている。
道なんて人それぞれいっぱいある。
一つの道に代金がかかる。
出来れば一回で終わらせたいし、終わらせてあげたい。
俺はじっと足元を見て道を探る。
まだ子供…大学生位じゃないか…
この子が離婚を解決してくれるのか??
妻とは絶対に別れられない!
子供の事なんてどうでもいい。
妻とだけは何としても別れられない!
あの強力なパイプを切ってはいけない
パイプが切れれば俺は終わる!
終わってしまう‼
しかし、一回の面談で500万だと…
しかも、一回では解決しない事もあるって?
これで解決できなければいくらかかる?
詐欺ではないと泉先生はおっしゃられていたが…
「おい!」
相棒が吠えた!
「はひぃ!」
佐藤さんがビクつく
「先生はテ…佐藤様の為に助かる道を探してらっしゃるのです」
「変なこと考えてねーで、頭の中空っぽにしていて下さいませ」
相棒…言葉が滅茶苦茶になってるよ…
「はい!すみません」
佐藤さんは顔が引きつったまま固まった。
相棒は、人の心が何となく分かってしまう能力を持っている。
戸惑っている佐藤さんを落ち着かせてくれた、
さすが俺の相棒だ、集中しやすいぞ。
佐藤さんには色々な道があった。
普通の人にはない道
地位や人望・名声など
政治家さんか社長さんら系の人の道
奥さんや子供達との道は、あまり見えなく細く下向きだ
このままの道では、佐藤さん一家に良いことは少ないだろう
佐藤さんの足元から目線を顔に向け、話し始める。
「二つの道が見えます」
「1つ、このままギリギリ地方議員」
「2つ、派遣社員」
「ごめんなさい、その両方とも奥様とは別れてしまってます…」
その言葉を聞いて佐藤さんは「はうぁ!」と叫んだ
「どちらになさいます?佐藤様」
相棒がスッと詰める
「どっどちらも正解じゃない!私は妻とは別れないぞっ」
「どうにもできない事がございます。お決めになっていただくしかございません、佐藤様」
グイっと相棒が俺と佐藤さんの間に入る。
「…どちらも選ばなかったら?」
「派遣社員です」
「うううううぅ」
佐藤さんはもう詰んでるんだよなぁ…
何とかしてあげたいのに…
「…奥さんの見たい」
外に出れない決まりを押し切って相棒に言ってみた。
「先生、制限内の外出は本日終了しております」
「明日、学校に奥さんを連れてきてもらえればいいでしょ?」
相棒は考えている。
「ダメです。先生の所在がばれるわけにはまいりません」
ダメだった…
「妻を連れてくればいいのか?」
貧乏ゆすりで汗いっぱいな佐藤さんが言う。
「先生の次の空きスケジュールは半年後です」
相棒…俺にはそんなに休みが無いのか…?
「なんでそんなにギチギチなスケジュールなんだよ!」
って言ってやりたいが、言わない。
「貧乏ゆすり…?」
言葉に出してしまった。
「え?」
佐藤さんは足を止める
「先生?」
「違う道が見えた、待って」
先生は道を歩き出すと深く入ってゆく。
時間は1分かからない時もあれば、1時間以上の時もある。
話しかけても、揺さぶっても、戻っては来ない。
痛みでは戻ってくるがそんなことはしない。
3分、長い方だ
奥様を連れて来れなかった佐藤が憎い!
しかし、私がスケジュールを縛ったせいでもある…
先生はそれほど存在意義のあるお方。
「おわったー」
固まってたせいで関節が痛いや
「おかえりなさいませ」
相棒が何も言わずに、肩をもんでくれる。
「それでは、佐藤さん利き手はどっち?」
「右手と伺っております」
俺が会う前に聞いていたようだ、
仕事が早い。
「じゃ左手出して」
自分の左手を差し出す。
「え?え?」
佐藤さんはよくわからない状況のようだ
「佐藤様、左手をお出しくださいませ」
「あぁはい」
スッと握手をする。
「えっと、奥さんとは別れなくてよくなったけど…」
「先生」
相棒がさえぎる。
「今後の事はわたくが、ご説明いたします」
「先生は戻って休んでいてくださいませ」
「わかった」
「それでは、佐藤さんお体に気を付けてくださいね」
そう言って礼をし、部屋に戻る。
コンコン
ドアが鳴る。
「はいよー」
「失礼します」
相棒が入ってくる。
「お疲れ様です」
「今後の説明はしっかりとしてきました」
「お疲れさまー」
相棒は道を消した後の傾向と対策を、
佐藤さんに説明して来てくれた。
傾向と対策は結構面倒な長い話で、
佐藤さんは分かってくれたか心配だが、
相棒はちゃんと説明してくれただろう。
佐藤は混乱していた。
仲介役のジンと言う男の
今後の傾向と対策が信じようにも信じられていない
実感が全くないのだ。
握手で妻と別れないと言い張った、先生たる存在
さっきまでいたホテル内での密談?占いでさえない、
ただの詐欺な話。
何がなんだか分からないまま、不安なまま家に着いた。
「…ただいま」
「おかえりあなた」
‼いつもと違う妻に驚く
いつもなら返事もなく、部屋から玄関にさえ出てこない
出迎える事のない妻だったのに…
「‼」
テーブルには夕食が並んである…
しまったぁ!
当たり前なので、さっき夕食をホテルで食べてきてしまっている…
「あら、会合で食べてきちゃったの?」
「連絡なかったから、作っちゃたわ」
「ああ、連絡忘れてすまない」
「いいのよ、でも明日のお弁当にしますからね~」
「子供達はもう寝てますよ」
「…ありがとう」
笑顔だ!
妻が笑顔だ…
何故か恐怖すら感じる!
「これからの事はしっかり受け入れてください」
ジンの言葉が、ふとよぎる
ああ、これが道を消すと言う事なのか…
「先生、どのような道を消されたのですか?」
「え?聞くの?」
「今回は佐藤様から、大変喜びのご連絡がありましたので、気になりました」
「佐藤さん良くなったのかーよかったー」
「はい、先生のおかげです」
グーのサイン
「んーヒントはねぇ」
「肺癌には、なりにくくなったかな?だよ」
指二本を口につける
「そうでございますか」
読んでいただきありがとうございました。
自分で書き終わって読み返して
書き方が合っているのか、
伝える事が出来ているのか、心配ですが、
読んでくれて、ありがとうを伝えたいです。