第三話 見えざる手の通り魔
惑星「シーゲン」の5つの
ソンムル大陸・ダートゥム大陸・ドロン大陸・カドー大陸・リウ大陸と
分かれている。どの大陸も「贈り物」を如何に有効に使うかどうかが重要なので
鍔競り合いのように一触即発の状況である。
ソンムル大陸は主に農業や産業等の生産を重点に置く「贈り物」が、
ダートゥム大陸は主に闘技場などの戦いにおいて有利に導く「贈り物」が、
ドロン大陸は情報や取引に関する心理系や強奪系の「贈り物」が、
カドー大陸は宗教やカジノなどの運に絡む・崇める、頼み系の「贈り物」が、
リウ大陸はそれらをまべんなく集める様々な「贈り物」が、
重点に置いている。リウ大陸は中央にある故に他の4つの大陸とも
すべて交流を行うことが出来る。
そういう位置のせいか基本は中立を維持している。
無論誰かがそれを崩壊するようになればそれをした大陸は
ボコ殴りされるぐらい重要な大陸なのだ…。
そのリウ大陸で9人連続殺人事件が起きた。
警察は目撃者や「贈り物」の力を借りて捜査したところ
犯人は殺しを特化させてる「贈り物」『見えざる手』の力を持っていることが
判明した。
ニュースで公開された連続殺人事件で犯人の「見えざる手」の能力を
明らかにした。
それによると「体のどこか」に「見えない手」生み出す力のこと。
これは通常、人を殺めるときは武器など装備する。
が、「見えざる手」は第三の見えない手に武器を持ったら
その武器すらも透明になってしまう。
警察も犯人確保をためらうほど強力な力だった。
だが、代償もあった。「見えざる手」発動している間は
速いペースで体力消耗し、場合によっては「見えざる手」
を使ってる間は身動きすら出来ないほど複雑な攻撃もすると言うこと。
そのためか通り魔的に数分で何の関係の無い人に殺めなければ
つかまる可能性があったのだった。
この犯人の「贈り物」をうまく使ってるので痕跡がほぼ見つからず、
犯人の潜伏先すらも「贈り物」で特定しても既に去った後だった。
こうした報告によりしばらくの間犯人がいると思しきエリアに
警察か警察の関係者しかいなかった。
だが、さらに2日後に事件は急速に終息に向かった。
誰かが知らないが犯人は拘束したまま気絶させられていたのだ。
警察も「おかしいな?いろいろ行くから見つけれなかったというのに
こうもたやすく発見して戦って、なおかつ拘束まで出来る余裕があると。」
「うん、明らかにこの犯人の『見えざる手』を分かった上で
捻じ伏せられたんだ。よほど強かったんだろうな。」
さかのぼること二日前の夜…
通り魔は薄ら笑いを浮かべながらダーゲットを吟味していた。
(へへへッ…この「見えざる手」はマジでいいぜ…何も無いところから
突然食らうんだから避けようがねぇのさ…
しかし警察の感知はすごくて逃げざるを得ないこともあったが
今は殺るには都合のいい日だ…誰にしょうかなぁ…ぐへへ)
前方に青年の後姿があった。距離にして100mぐらいだろうか?
(へっ…警察のニュース発表読まなかったのか?無用心だぜ。
よし!栄えある10人目のダーゲットは貴様にけってーい!)
通り魔は「見えざる手」を発動し、サバイバルナイフらしき物を
「見えざる手」で装備し、透明になったナイフを100m先の青年に向かって
刺した!(殺ったっ!!)
しかし、刺した感触が無かった。それどころかまるで見えてるかのように
「見えざる手」を掴んでいた!
(バ…バカな!な…何故見える!?同じ系統の「贈り物」
出なければ見えない手の存在すら認識できないと言うのに!
この場合「見えざる」力系統出なければまず対抗できないはずなのに!)
うろたえていると目の前に仮面の被った青年がいた。
「うわあああああぁぁぁぁ!!何故手を捕まえることが出来る
アンタは一体何者なんだよ!?」
「僕はただの旅人だよ…君がどんなに強い力持ってたとしても
あらかじめ分かっていたよ。…まぁ君はひどいことしてたみたいだし
ほんのちょっとお寝んねしてな。」
仮面の青年カヒトは通り魔に手刀に首を当て、気絶した。
(…この化け物に目をつけちまった…俺が油断し・て・・た・・・)
倒れた通り魔を二度と抜けないようにこっそり「贈り物」してから
(やはりこういう「贈り物」もあるよなぁ…その手の「贈り物」は
まだまだあるだろうしちょっとやるせないね…)
これからこの手の犯罪もあるという事実が重くのしかかり、少しだけ落ち込んだまま、また流浪の旅に出かけた…
警察は犯人を捕まえた功労者を探そうとしたがついぞ見つからなかった。
通り魔は死刑に決まったが、執行の時までただ怯えて隅っこにうずまいていた。
ある警察の刑事は「いずれ通り魔を気絶した功労者は
どこかでまた出会うだろうな…。これは予感ではなく確信だ。」
刑事の確信は実際そのとおりになり長い間警察とタヒトの関係は続いた…。
「贈り物」紹介その1
「小石収集」…「小石」を「掌」に集める力。「小石」としての認識ならば何でも
集められる。代償は小石から掌までの距離が長ければ長いほど、きつくなる。が、10m未満であれば代償は無い。もう一つ別の力があるようだが…。




