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16:奴隷達を逃がしました

「あ、こんな所にいた〜。この不良賞金稼ぎ」

「まったく、手間掛けさせるなよ〜。この悪辣賞金稼ぎ」


 二人の少年は、声までが同じである。年は、リレイよりも少し下に見えた。


「アーノルドはどこだよ〜」

「アーノルドをさっさと出せよ〜」


 同じ顔の少年達は、二人で交互に捲し立てる。

 そんな彼等を見て、ジンが溜息をついた。


「なんだ、お前らか……アーノルドは入口の木箱の中だ。後は任せた」


 ジンの言葉を聞いた少年達は、素直に元来た道を戻って行く。


「……あの子達は?」

「セドリックの仲間。ああやって、奴隷を回収する係……たまに、勝手に奴隷を間引いちゃうのが傷だけど」

「間引く?」


 リレイの質問に、ジンが頷いてみせる。


「そう。セドリックに引き渡す前に売り飛ばしちゃうの。まあ、俺としては金さえ振り込んでもらえれば文句はないんだけど……セドリックにしてみたら、たまったものではないと思うよ」

「勝手に奴隷になる人間を売り飛ばすの?」

「そう。もっとも、あいつらが売り飛ばすのは人間じゃなくてその中身の方だけれど」

「中身?」

「臓器だよ。需要に合いそうな人間を見繕っては、勝手に体を切り開く困った奴らだ。本業の回収の腕がいいから、今のところ見逃されているけどね」


 ジンは、何でもないことのように笑う。


(類は友を呼ぶのね。この男の知り合いなだけあるわ)


 リレイは、足を怪我して動けない奴隷の男に肩を貸し、立ち上がった。

 他の奴隷達と共に裏口を目指す。


「あいつらなら心配要らないよ。奴隷を回収して自分たちで何とかするさ……ああ見えて、彼等も強いから」


 ジンの言葉に、リレイは頷いた。


(強さ云々は抜きにしても……自分の獲物を失うなんてことを、この男が許す訳ないものね。きっと、なんとかなるのだわ)


 裏口には、奴隷の男の言う通り、見張りの人間が二人立っていた。逞しい体格の、その道のプロと思われる男達だ。

 リレイは、一旦奴隷の男を地面に降ろして懐からナイフを取り出す。


「こいつらは、監獄行き? 奴隷行き?」

「んー……金にならなさそうだから、いらない。殺していいよ」


 外見は儚い少年にしか見えないリレイを、見張りの男達はナメてかかった。両刃の巨大な剣を振り回してリレイを狙う。

 だが、リレイは素早い身のこなしでアッサリとそれを躱すと、男の喉笛に刃を突き立てた。ナイフを抜く勢いを利用してもう一人の男に近づき、そのまま同じ箇所を突き刺す。

 見張りの大男達は、あっさりと地面に崩れ落ちた。


「……アーノルドよりも弱いのに、よく見張りなんてやっていられたわね」

「この辺りのゴロツキの強さは、大体こんなものだよ。リレイちゃんが規格外なの」

「あんたもね」

「まぁ。俺は——だから……」


 小声でジンが口にした言葉は、残念ながらリレイの耳には届かなかった。

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