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睡眠

 冴木は夕焼けの温かい陽射しで目を覚ました。

「……寝てた、のか?」

冴木の体には、毛布がかけられており、冴木は寝た原因を推測する。

睡眠不足?

疲労?

ヒナの反動?

「……いや、睡眠薬か」

冴木は、部屋の中で無くなったものはないか探す。

生徒会長を疑いたくはないが……。

「ヒナ、宮古会長が何したか教えてくれ」

しばらくのち、冴木は久しぶりにある言葉をつぶやく。

「最悪だ」

同時に、魔術士育成学校の方向から光の柱が立ち上がった。


 魔術士育成学校。

宮古は逃げていた。

校舎は今夜に限り、人は一人もいない。

宮古が冴木から拝借した入学書類を開けた瞬間、信じられないことだが、宮古の魔術回路が勝手に発動し、入学書類を媒体に召喚魔術が発動したのだ。

運の悪いことに、魔術発動時の光の柱の影響か、電子機器は使用できず、外部に助けを呼ぶことすら出来ない。

肝心の宮古の魔術回路は、さっきの大規模召喚魔術によりショート寸前でしばらく使えない。

最も運が悪いことは、召喚したのが悪魔だということ。

一般的に召喚というのは自分より上位の存在を呼び出すことを指し、自分より下位の存在の呼び出しは喚起という。

自分より上位の存在を召喚する場合は、あらかじめ場に拘束用の陣を描いておくのだが、宮古の場合はなかった。

だが、例え下等な悪魔でも、魔術回路がショート寸前な宮古には一個師団より強敵だ。

しかも、悪魔は一体ではない。

校庭に出た瞬間、宮古の体力が尽きる。

そんな宮古に襲いかかったのは、巨大なドラゴンにも似た悪魔。

宮古の脳裏をよぎるのは冴木だった。

宮古が初めて自分から会いに行った男性。

だが、まだ眠っているはずだ。

あの睡眠薬は、朝方まで眠る強力なタイプなのだから。

わがままだと知りつつ、つぶやく。

「……助けて、冴木くん」


「了解です。会長」

宮古の付近で何かが空気を揺らす。

同時に、悪魔を巨大なエネルギーが『圧倒的な物量で押し潰す』。

第1種魔術『ヴォイドバースト』。

本来なら、半世紀の準備期間が必要な『国潰し』の魔術が、規模を縮小し再現されていた。

それは、宮古から二百メートルほど後方に設置された紙製のアンチマテリアルライフルから発動されたもので、紙製ゆえなのか排熱で銃身はプスプスと焦げ、先端はバナナのように反り返っている。

「さよなら、魔導書。まあ複製だけど」

冴木が特に意味はないが、炭化した空薬莢を排出する。


魔術回路を使わず、単発のみのミニヴォイドバーストを発生させる装置『アンチマテリアルライフル「ヘカート」冴木チューニング』。

そして、それを作り上げた冴木。


魔術回路を偽装した天才がそこにいた。

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