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魔術士適性
魔術。
それが広く認知されるようになったのは、2010年の吾妻事件後である。
犯人が人質を盾に立て篭もった吾妻事件を、超常の力を用いて警官が解決したのだ。
そこから、世界は一気に魔術研究へと加速した。
その結果、分かったことが幾つかある。
『魔術とは、魔術回路という血管のように体を這う回路が必要である』
『魔術回路のない者には魔術は扱えない』
つまり、魔術とは才能である。
才能なき者に魔術は扱えない。
魔術を扱える者は従来の魔術師と区別し『魔術士』と呼ばれ、魔術士育成の為の学園に入学することが義務付けられた。
魔術回路を持たない者も魔術士育成のカリキュラムは受けられるが、決して魔術を使う魔術士にはなれない。
そんな不平等な世界に、一人の少年が足を踏み入れる。