秋の「火」
秋という字
木のそばに「火」とは
危なかっしいですね
いつか点った
怒りの火
嫉妬の火
苛立ちの火
ぼっ、とついて
炎となって燃え広がるのか
いいえ
秋の火は炎になりません
秋雨に消されるか
秋空のようにコロコロ変わって
忘れてしまうのです
過ぎ去った火を
思い出すのは
どこかでまだ癒えていない
成仏出来ない心が燻っているから
かもしれません
秋だけ火があるのは
心の中にある癒えない火を
あえて引き出して
雨で消しやすいように
秋空に流してしまいやすいように
しているのかもしれません