癒やしの空間
このたびは手記の様なものである。
ハケンを通じて、相模湾に面した某マリンリゾートホテル内のレストランで初めて勤務した。例によりその場所のやり方を覚えるのに苦労し、メモ帳に盛んに走り書きでメモを取ったりもした。主体は夜の部のレストラン宴会であった。ビュッフェスタイルの50人位の二時間宴席であった。
その日は大変天候も良く、空気も澄んで見晴らし絶好の日であり、遠方に富士山も見えた。
聞いた話によると、森繁久彌さんが創設者であり、日産グループ関連のホテルの様であった。
スタッフたちは皆、低姿勢で優しさと穏やかさを備えており、都会から解放された雰囲気を味わえる印象だった。家族的でアットホームな感じの様子を醸し出す、従業員間の職場であった。
調理長は、厨房では勿論真剣勝負だが、我々スタッフに昼食・夜食共こさえてくれる大変面倒見の良い、思いやりのある、人間味のある方だった。
我々ハケンの仕事内容は、勿論ハードではあったが、それでも何だかやり甲斐を感じた職場であった。また行ければと思う。
私有車両を所持していない私は、いつも電車・バスの通勤である。東京湾側と相模湾側で、直線距離は割と近いのであるが、交通機関のアクセスが今一つ整備されていないこともあって、この派遣の仕事に就く前までは殆んど未知の一帯であった。
主に、湘南海岸沿いの海を眺めながらのドライブコースで、そのついでにMorningかLunchかDinnerで立ち寄るお客様の多いホテルレストランであった。
またマリンスポーツをやる人、小型船舶の免許を所持して船やヨットをする人達の集まる場所でもあった。
22時に仕事を終えてバスで帰宅の際に、同じく厨房の調理人と一緒になった。互いに、疲労もあって会話の口数は少なかったが、聞いてみると青森県出身で、長崎など全国各地を、厨房の調理一本で渡り歩いてきたと言う。
皆それぞれに、過去を背負って生きている… トラウマの様なものを引きずって……