プロフェッショナルな脚本家…
ドラマの脚本家に絞って書いてみる。『家政婦のミタ』を創作した男性脚本家がいる。遊川和彦さん、56歳である。
彼が少年の時、父親の経営する工場が倒産し、父は妻と子供4人を置き去りにし、他の女と蒸発してしまったという境遇を持つ。ドラマのADから始め、その合間を縫ってドラマ脚本の執筆活動を続けていたという。
あるチャンスから、彼は脚本家として脚光を浴びるようになる。20年以上もドラマ創作活動を続け、これまで40作以上もの人気作品を手掛けている。落ち目の時期もあり全く書けなくなった時を乗り越え、今や著名な脚本家である。
彼はよく撮影現場に顔を出し、俳優たちに時に厳しく時に優しく声を掛ける。特有の毒舌と言う人もいる。
彼はNHKの新朝ドラ『純と愛』の撮影現場・沖縄に居た。役者のセリフ一言一言を、真剣に見つめる。妥協は一切しない。納得がいくまで一晩中、縦書きの台本の手直しをしたりもする。
純役の新人女優は、三度目にして漸く、何百人の中からのオーディションで選考された夏菜! ホテルウーマンであり、「お客様を笑顔に変えてあげられる仕事がしたい!」と奮闘する。
ある日、撮影の合間、夏菜は上手く演技が出来ない、セリフが上手く言えない自分に苛立ち、悩み抜いて一目を偲んで陰で隠れて泣いていた。遊川和彦は、そんな彼女を優しい視線で見守る。但し言葉はかけない。
この物語は、失われつつある人の心を呼び覚ますようなストーリーである。今後の展開に大いに期待したい!
遊川の信念は、「物語は、自分の中にある」、「創作意欲のあるうちは、ずっと書き続ける」である…。
そしてドラマが人々に共感を与えるのに一番大切なものは、「人間愛」だと言う……。
これまで創作の独自のエッセイを、思いつくがままに順不同にて掲載いたしました。
本作の続編として、別途『閃き(ひらめき)』(連載)もありますので、そちらも是非ご覧ください。




