★らすと
七日目。
任務期間最終日。って、言っても任務はもう終了しているが…
♪♪♪〜
カチャ
「はい、もしもし。」
『あ、タロエル。カニエルだか、お前帰って来ないのか?お前、前帰りたがっていたからてっきり昨日のうちに帰って来ると思ったのに…』
「任務期間は、今日までだから、ゆっくり休養にでもしようかと…」
『つまり、サボリか…。ま、今回は、重大な仕事だったからいいとしよう。ただし、明日からちゃんと仕事しろよ!』
「はーい。」
プッ
電話を強制的に切った。
さてと…
***
俺は、昨日の灰の砂場があった路地裏に来ている。灰は、昨日の強い夜風によって全部飛んでいった。
その路地裏に
「あれ〜、天野君?」
女っぽい男が来た。
「おー、木下。どうした?こんな所で…」
パパァーン
俺は、愛用の片手銃を打っ放した。
「はっ、いきなりだね。」
木下は、さっきの場所から半歩ぐらい動いて躱した。
「まあね。」
「ふふっ。」
木下は、悪魔の羽を出して空へ飛んだ。
「あーあ、始末書書かなくちゃな。」
俺も翼を出し飛んだ。
パパァーン
さっきから、計四発撃ってるけど全然当たらない。速すぎる。この前戦った長身の悪魔も速かったが、木下は、それの倍速い。
木下が、高速で飛んでくる。俺は、それに対応できない。木下の爪が頬にかすりそこから出血した。すごい切れ味…
「なあ、木下。何で坂田を殺した?」
「仕事の邪魔したからよ。」
相変わらずの女口調。気持ち悪いんだよ。
「お前のその速さがあったら桜だけを殺すのも可能だろ。なのに何で…?坂田は、お前らと同じ悪魔だろ!!?」
「やあねぇ、あんな下級悪魔と一緒にしないでちょうだい。あんなのカスも同然よ。」
ふーん。
「そうかいそうかい。お前の気持ちはよーくわかった!もうだめだ、怒りがおさまらねぇ。お前は、ぜってぇ倒してやる!!!」
「その台詞。私のスピードについていってからにしなさい。」
二個目の傷ができる。こいつ、確実に上級悪魔だ。
パァーン
クソッ、全然当たらないし。
三個目の切り傷が付く。
「はあ〜、もう退屈だわ。あなたにはガッカリ。セベーヌを倒したからどんな強い奴かと思ったら、カスじゃない。」
セベーヌ?ああ、あの長身悪魔か…
「わるいけど天野君。もう終わらすわよ。」
木下が、また向かってくる。
ずばっ
グシャ
木下は、俺の銃を持ってる右手を切断しそのまま切断した手で俺の体を突き刺す。
いってー。腹に穴が開いたぞ。この野郎。銃もどっかいったし…
だけど、この時を待っていた。
「グ…、これで俺の攻撃が当たるぜ…」
俺は、残った左手を固く握り締める。その拳の指の全ての間には、“特注”の“弾”が挟まれている。
「死ね、おかま野郎。」
残った最後の力で思いきり顔をぶん殴る。
ガンッ!!!!
バァァン!!
拳が爆発する
「うぎゃああああ!」
うっせえよおかま。木下の顔は、ゾンビみたいな顔になっている。俺の左手も…
木下は、刺さっていた手を抜き遠ざかっていく。
「逃げる気か…」
逃がさねぇよ。俺は、天界では“追跡蛇”の異名でおそられる程しつこいんだ。
「エレメント発動…」
ボロボロになった左手で天を仰ぐように上にあげる。左手の上に野球ボールぐらいの緑色の半透明な球体が現れる。
「喰らえ、“170kmエレメントボール”!!」
逃げる木下に向かって振りかぶって投げる。
スパッ
スピードが、ダメージのせいで落ちている木下は、完全に交わす事は出来なかった。
だが、かするだけで済んだ。
俺は、ダメージを受けすぎてそこで力尽き、意識がとんだ。
「おほほっ、どうにか逃げ切れるわ。じゃあね、天野君。次会ったら殺してあげるわ。」
そう、かするだけで済んだ。と木下は、思っている。
俺のエレメントは、かするだけで十分だ。
「あれ?目まいがしてきたわ。」
俺のエレメントは、天界唯一の属性“毒”。かすっただけも俺の勝ちだ。
うすれゆく意識の中で灰になっていく木下が見えた。
そして、俺も飛ぶ力がなく、落ちていく。