★三日目
三日目の早朝
♪♪♪
携帯が、なった。
ピッ
「はい、もしもしタロエルです。」
『あー、カニエルだが、昨晩は、ご苦労さん。ていうか、お前、処理班には連絡入れといて私に連絡無いのは、何故だ。』
あ、忘れてた。
「あー、すいません。カニ先輩。もう昨日は、戦闘で疲れてて。」
『馬鹿者!!普通、こんなのは、先に私に連絡入れるモノだろうが!!』
「まあまあ、説教は、後にして下さいよ。今日中には帰ってきますから。」
『それがな…。お前まだ帰れないぞ。』
へ?
「えー!何でっすかーっ?!」
『お前が、倒した悪魔、下級悪魔だったか?』
あ、
『それと、お前のクラスメイトだったか?』
あ、あー!!全然知らん奴だった。
『違うだろ。つまり、お前が倒した悪魔はターゲットの悪魔とは、別の奴なんだ。』
「えー!!あんなに頑張ったのにー。」
『と言う訳で、再び任務続行よろしくな。』
プッ ツー ツー ツー
マジかよ。
***
今日から、もう学校に行かなくていいと思い込んでた俺は、当然のように遅刻した。
「転校して、三日目でもう遅刻か?」
坂田が、話しかけてきた。もうこの黒さも見納めだと思ってたのに…
ていうか、また一から悪魔探ししないといけないじゃん。ちょーだりぃ…
「なあ、天野。ちょっと話があるんだけど…」
「ん、何?黒田。」
「坂田だ。お前、わざと名前間違えてるだろ。ま、いいや。ちょっと廊下に出よ。」
俺は、坂田に言われるがままに、廊下に出た。
「なあ、お前、昨日桜と一緒に街に居たよな?」
「うん、いた。」
「お前ら、付き合ってるのか?」
真剣な顔で聞いて来た。ははーん。こいつもしや…
「いや、付き合ってないよ。俺、ここ来てまだ三日目だぜ。それは、無いだろ。」
「そ、そうだよな。」
しばらく沈黙が続く。
「坂田、宮野のコト好きなん?」
「ぶっ!!!」
坂田が、吹き出した。
「な、何で、お、俺が、さ、さ、桜のコト、」
焦りすぎ…
「好きなんだろ?」
「うん。」
素直だな。
「じゃあ、告ればいいじゃん。お前ら仲いいからうまくいくと思うぜ。」
「いや、なんていうか、告れない、というか、まあ、いろいろと理由があるんだよ。」
ビビってるだけだろ。
「じゃあさ、明日、ダブルデートしようぜ。」
「ダブルデート!!!?」
「そ、ダブルデート。学校が終わってから、宮野と坂田と俺と、あと一人はてきとーに連れて来るよ。」
「で、でも俺は…」
「大丈夫、大丈夫。そんな臆病じゃ恋は発展しないぞ。じゃ、決まりな。」
「お、おう。」
ふぅ、恋のキューピットも大変だぜ。これも天使の仕事(キューピット課の)。さ、明日のお相手を探さなくちゃ。
て、俺今、仕事中だったんだ…。
***
学校が、終わり、みんなが帰宅する時間帯。俺は、ストーカ…、違った、追跡調査をしている。
調べてるのは、木下。
宮野が、昨日、悪魔じゃないとわかってから、他に怪しい奴は、もう木下しか残ってない(坂田曰く)。
ていうか、アイツ、ほんとに女っぽい。今日、探りをいれる為に何回か会話したが、しゃべり方も女だし、仕草も女っぽい。ある意味、それだけで、悪魔より怖い。
!?
木下が、人気のない路地裏にはいっていった。
くそ、俺のストーキングに気付いたか。だが、甘い。俺は、天界では“追跡蛇”の異名を持つほどのストーキングの名手だ。その俺から、逃げようなんて、十年早い。
俺は、木下の入った路地裏に入っていった。
いない!?
木下が、路地裏に入ってからまだそれほど経っていないのに、木下の姿は、そこには、なかった。
怪しい…




