★ぷろろーぐ 2
俺は、夢でも見てるんだろうか。
「し、死刑だなんて有り得ませんよ!な、何言ってるんすか、か、カニ先輩!」
やばい、俺、テンパってる。
「そうなんだよ、俺も自分の耳を疑ったよ。これは極めて異例な事なんだ。」
カニ先輩も、少しテンパってる。
「しかも、こんな時に、よりによってお前しかいないなんて…」
え、俺、今かるく馬鹿にされた?
「いいか、タロエル。これはお前の命だけじゃなく、俺のクビもかかってるんだから失敗は許されないぞ。」
明らかに前者の方が重大だ。
「これ、まじ話すか?」
「大マジだ。」
あぁ夢なら覚めて、ドッキリなら早くバラして…
「大丈夫だ。内容は、そんなに難しい仕事ではない。」
顔が、不安そうっすよ、カニ先輩。
「嘘吐かないで下さいよ。簡単な仕事にクビとか、命とかかけないでしょ、普通。」
「下級悪魔一匹だ。」
あー、それはそれは、非常に大変な仕事だ。俺が百人いたって無理…
ん?
下級悪魔一匹?
「思ったより余裕っすね。」
「だろ。なんで天使長が、ソレに俺のクビをかけたのかが、よく分かんないだよ。」
俺の命もね。
「なんか、裏がありそうっすね。」
「ああ、多分あるね。つまり、簡単だけど重大な仕事って訳だ。」
簡単だけど重大な仕事か…。
重大な仕事→成功→出世
しかも、簡単。「カニエル部長。この仕事、私が立派にやり遂げてみせましょう。」
こんなおいしい話はない。
「お、やってくれるか、タロエル。なんか急にやる気出したな…」
「天使として、当然な事ですよ。」
「じゃあ、早速明日から人間界に降りてもらうからな。手続きは、こっちでやっておく。」
「はーい。」
俺は、この時まだ知らない。これから起こる悲しい事を…




