引き金のない世界で
とりあえず思いついた展開を投稿していきます。
短いですが、後々修正していこうかな~という甘い考え。
拠点の修繕が一段落して、ふと手が止まった。
あの夜――狼を思い出す。
あの膂力、あの速度。
槍一本でどうにかなる相手じゃない。
「……もっと、確実なのが要るな」
拾い集めた素材を並べる。
金属片、筒状の部品、バネになりそうなもの。
形は、知っている。
引き金を引けば弾が出る。
手のひらを、素材の上にかざす。
――組み上げる。
――撃てるように。
……何も起きない。
光らない。
熱も、感触もない。
もう一度、今度ははっきりと形を思い描く。
銃身、引き金、銃口。
それでも、沈黙。
視界の端に、短い文字が走った。
――条件不足
――未……
そこで、途切れる。
「未…、なんだよ」
舌打ちして手を下ろす。
素材は、ある。
イメージも、大きくは間違っていないはずだ。
なのに、出来ない。
しばらく考えてから、息を吐いた。
……俺は、撃ち方は知ってる。
だが、中身を知らない。
どうやって弾が送られて、
どうやって火が入り、
何がどこで止まって、動くのか。
そりゃそうだ。ゲームで見ただけだもんな。
全部、曖昧だ。
素材を片付け、別の形を思い浮かべる。
弓。
引いて、放つ。
力の流れが、はっきりしている。
クロスボウなら、どうだろうか。
工作の動画を見たことがあった。
おもちゃ何かでも作っていたのでそこまで複雑じゃないはず。
木材と金属を取り、手をかざす。
――張る。
――固定する。
――真っ直ぐ飛ぶように。
今度は、光が応えた。
素材が噛み合い、
弦が張られ、
機構が一つにまとまる。
完成したクロスボウを手に取る。
引き金を引くと、乾いた音がした。
「……これは出来るのか。構造への理解が足らないとか…?」
今は良いか。
できることで対策を進めていこう。
万能じゃない。
だが、無力でもない。
俺はクロスボウを背負い、銃の材料を見下ろした。
「知れば知るほど強くなれる…。はっ、分かりやすくていい。」
そう呟いて、笑う。
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