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滅びた技術文明に転生した俺は、素材から世界を作り直す  作者: Stellune


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3/5

鉄と肉のあいだで、狼は吠えない

息抜きに始めたシリーズの方がネタを思いつく現象。

「宿題前のお掃除現象」となづけましょう。

炎が、ふっと揺れた。


それだけで、嫌な予感がした。


風じゃない。

熱の揺らぎでもない。


——何かが、近づいている。


廃屋の外。

闇の向こうから、重たい音がした。


カツン。


獣の足音にしては硬すぎる。

だが、金属を引きずるにしては、妙に静かだ。


俺は無言で立ち上がり、壁際に身を寄せた。

カチカチと歯が鳴るのを食いしばって耐える。


次の瞬間、

月明かりを背にして、それは姿を現した。


狼の形をしている。


だが、毛並みのはずの部分は途中で途切れ、

剥き出しの筋肉が赤黒く脈打っていた。


胴の半分は、未知の金属で覆われている。

滑らかでもなく、錆びてもいない、

一見鉄のようにも見えるが、明らかに見覚えのない素材。


顎が開く。


歯列は獣のそれだが、奥には金属製の刃が仕込まれていた。

呼吸に合わせて、肉と器械が軋む音を立てる。


——混ざっている。


生き物と、そうでないものが。


視界の端が、一瞬だけ白く染まった。


【危険度:高】

【認識状態:確認中】


断片的な情報が流れ込み、すぐに消える。

意味を整理する暇はない。


狼は、吠えなかった。


ただ、こちらを見ている。


感情のない目。

だが、獲物を定めるには十分すぎる焦点。



【危険度:極】

【認識状態:有】


情報を認識する次の瞬間、


地面を蹴る音が炸裂した。


「——っ!」


俺は反射的に横へ跳ぶ。

さっきまで立っていた場所に、金属の爪が突き立てられた。


床が砕け、火花が散る。


——速い。


迷いなく、一直線。


俺は距離を取ることだけに集中し、廃屋の裏へ走った。

瓦礫を蹴倒し、崩れかけの柱を倒す。


ガンッ、と鈍い衝撃。


肉と金属がぶつかる、不快な音が響いた。

壁は、辛うじて持ちこたえた。


俺は息を殺し、闇の中で身を低くする。



数秒。


あるいは数分。



狼は、それ以上追ってこなかった。


遠ざかっていく、あの奇妙な足音。


静けさが戻った頃、

俺はゆっくりと息を吐いた。


去り行く巨大な影を確認すると、

視界に、また一瞬だけ情報が滲む。


【危険度:高】

【認識状態:喪失】


声はない。

説明もない。


ただ、この世界には——

ああいう“もの”が、うろついている。


それだけは、はっきりした。


俺は、暗闇の中で手を握る。


——逃げ切れたのは、運が良かっただけだ。


次は、通用しない。


そう直感しながら、

俺は再び、火の燻る廃屋へと戻った。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

評価やブックマークをいただけると、「よし、続きを書こう!」と作者のやる気が跳ね上がります。

応援していただけたら幸いです。

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