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籠城②

~特別攻撃隊の紹介~


【レオンハルト】

辺境の小国、オルドヴィア王国の王子。魔王を討つため、特別攻撃隊を編成した。度が過ぎるほどの生真面目。


【グン】

レオンハルトに育てられたフェンリル(神獣の銀狼)の双子の兄。冷静沈着で自信家。


【カミロ】

騎士。故郷の村を魔族に蹂躙された過去を持つ。陽気で荒っぽい。


【ブリュー】

カミロに育てられたフェンリルの双子の弟。好奇心旺盛で無鉄砲。


【ルカ】

魔法使い。奴隷のように働かされていた採掘場から連れてこられた。温和で仲間思い。


挿絵(By みてみん)


城塞周辺の魔族を文字通り食い尽くし、残党を駆逐し終えた頃、平原には奇妙な静寂が訪れていた。新たな「食糧」の供給が途絶え、訪れたのはあまりに贅沢で、そして研ぎ澄まされた退屈だった。

暇を持て余したカミロが追求し始めたのは「いかにこの籠城生活を快適に過ごすか」であり、一方でレオンハルトが追求したのは「いかに戦術を至高の領域へ昇華させるか」であった。

二人は城塞の屋上に巨大な日除けのテントを張り、そこを前線基地として、新たな鍛錬――通称**「鳥さんごっこ」**を開始した。

「鳥さんごっこ」のルールは至って単純、かつ過酷だ。

まず、空を飛ぶ鳥を見つける。カミロを乗せたブリューが先頭、レオンハルトを乗せたグンがその右斜め後ろという基本陣形を維持したまま、屋上を円形に猛追。遠心力を味方につけて極限まで加速し、その勢いのまま空中へ爆発的なジャンプを敢行する。

空中でカミロが矛先で鳥を「突き刺し」、続くレオンハルトが止まった鳥を矛先で「掠め取る」。

これが成功して初めて「一羽」だ。

しかし、この遊びは一歩間違えれば死に直結する。

二人の乗り手はバイクレーサーのごとく体勢を低くし、コーナリングに合わせて膝が地面を擦るほど体を傾け、凄まじい風圧と遠心力を殺さねばならない。さもなければ、ブリューとグンは最大加速に到達できないからだ。

対するブリューとグンは、景色が一条の筋となって流れる超高速の世界で、標的との距離を正確に捉えねばならない。コーナリングの最中には、自分たちの旋回速度と、視界の外で羽ばたく鳥の相対速度を計算し、未来位置へ正確にジャンプする知能と反射神経が要求された。

訓練は日に日に難易度を増していった。

当初は「そろそろだ」「今だ」と声を掛け合う**「補助あり」から始まったが、やがて呼吸だけで合わせる「補助なし」へ。

屋上という限られた範囲の「クローズド」から、地上に設置した障害物の間を縫うように走る「オープン」へ。

さらに、スタートを共にする「一緒」から、異なる地点から別々のコースを走り、最終ポイントで寸分違わず合流する「はぐれ」**へと進化を遂げた。

その過程で、神獣たちの機動力は物理法則を書き換え始めた。

新開発された必殺技**「Vカット」**。

これは障害物を曲がる際、一切減速せずに鋭角にターンする神速の転回である。上に乗る人間が渾身の力で手綱を引き、自らの体を支点にしなければ、遠心力で外に放り出される。だが、この「Vカット」を成功させるか否かで、計測されるタイムには大きな差が出る。

もはや、鳥を捕まえることも陣形を維持することも、彼らにとっては「できて当然」の極致に達していた。

四人の関心は、獲物そのものではなく「いかに速く、いかに美しくコースを駆け抜けるか」という純粋なタイムアタックへと移行していく。舞台は城内、深い森、断崖絶壁へと広がり、彼らの顔には戦士の険しさではなく、極限の遊びに興じる子供のような狂気的な歓喜が宿り始めていた。

「王子、今のVカットは甘いぜ! グンの爪があと三センチ食い込めたはずだ!」

「黙れカミロ。次の『はぐれ』で、その減らず口を塞いでやる」

グンとブリューが楽しげに吠え、銀色の閃光が城壁を蹴って跳んだ。

遊びの皮を被った、至高の殺人技術の磨き上げ。

四人は笑いながら、己の技術を研ぎ澄まし、地平線の彼方から現れるであろう「援軍の襲来」を待ちわびていた。

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