第31話 告白
間が悪いことにプリンスと、ミィさんが控室に入ってきた。
まさかプリンスのいる前で、美帆ちゃんへの気持ちを伝えなきゃいけなくなるなんて!
でも、今言わないと!
と、再び勇気をふりしぼる!
「美帆ちゃん! あの」
と言い出すと、またプリンスが、
「ディレクターの松本さんがみんなにも話を聞きたいそうだ。
会場に戻ろうか」
と言って、邪魔してくる。
そこで美帆ちゃんが、
「お兄ちゃんは黙ってて! どこかに行って!」
と怒りの声を出すとともに、プリンスをにらみつけた。
すると、プリンスの横にいたミィさんが、
「もー、プリンスゥ、空気読みなよ~」
と甘えた感じで、プリンスにくっいている。
あれっ、この二人って……とか、気になることがあるけど、今はそれどころじゃない!
もうここで言わないと、言えなくなる!
勇気を振り絞れ、僕!
「美帆ちゃん。僕も君が好きです!
付き合ってください!」
と、ついに告白した!
大きく目を見開いた美帆ちゃんが、なにか言葉を言おうとしたその瞬間!
「ゆ、許さーん(怒)!」
と大声を出す、プ、プリンス!?
なんなんだよ、もう(怒)!!!
取り乱した様子で!
「認めなーい! 認めないぞ! 二人が付き合うなんて!」
と叫ぶ、プリンス!
「お兄ちゃん! 邪魔しないで!
いい加減にして(怒)!」
と大声で、プリンスに怒りの声を出す美帆ちゃん!
「ダメだ! 美帆には彼氏なんてまだ早い!」
えーっ! プリンスって、シスコンだったのか!
一方で、美帆ちゃんの怒りも収まらない!
「なに言っているのよ!
自分だって彼女がいるくせに!
私、知ってるよ。ミィさんと付き合っているよね!」
あ、やっぱりそうなんだ!
「な、なにを言い出すんだ、美帆(汗)」
「ミィさんの相談にのってたって話だって、彼女だったからでしょ!
ミッドナイト4をいろいろかばったのも、モルックへのダメージがどうとか言ってたけど、嘘でしょ!
彼女のミィさんを守りたいだけじゃん!」
と言い放つ。
焦り出すプリンスと、うれしそうにしている横のミィさん。
で、苦し紛れか、プリンスが、
「よし、それなら少年、私とモルックで勝負しよう!
私に勝ったら、美帆との交際を認めよう!」
とか、めちゃくちゃなことを言い出す。
え、モルックの勝敗で美帆ちゃんと付き合えるかどうか決めるなんて、絶対に嫌なんだけど!
それに今の僕の実力で、プリンスに勝てるわけないじゃん!
プリンス、やっぱりどうかしてる!
すると、怒りが収まらない美帆ちゃんが。
「瑠衣君が、お兄ちゃんに勝ったら、私たちの交際を認めるのね……」
とか言い出す。
え、美帆ちゃん、待って! それでいいの???
「じゃあ、お兄ちゃん!
瑠衣君が勝ったら、ミィさんと別れて!」
え、美帆ちゃん、何を言い出すの?
「美帆、ミィは関係ないだろう!」
「そうよ、おかしいよ、美帆ちゃん!」
とプリンスとミィさん。
「うるさい!!!
なんで、こっちだけ負けたら付き合えないのよ!
そっちも負けたら、別れなさいよ!
……じゃなきゃ、全部ネットに書くよ。
本当は、ミッドナイト4がお金のことをごまかしていたことも。
それを、お兄ちゃんが握りつぶしたことも。
こっそり、ミィさんと付き合っていることも」
と鬼気迫る様子で、プリンスとミィさんの二人に詰め寄った。
そして、うろたえまくるプリンスとミィさんに、「出てけー!」と言って、二人を控室から追い出してしまった。
ぜーぜー、言っている美帆ちゃん。
ちょっと怖いんだけど……。
それで、呆然としていた僕に涙目の美帆ちゃんが、
「お願い! お兄ちゃんとモルックで勝負して勝って!」
と言ってくる!
「私、お兄ちゃんがミィと付き合っているのが許せないの!
正直、お兄ちゃんがどんな子と付き合おうと、どーでもいいんだけど!!!
万が一、あのおんなと結婚なんかしたら、私と家族になってしまう!
それは絶対に嫌なの!」
「なんで、ミィさんのこと、そこまで嫌っているの?」
「あのおんなは! アユムと付き合っていたのよ!
モルックの番組を見学に行ったときから、周りはみんな知っていたのよ!
なのに、アユムがやばい状況になってるってわかったら、お兄ちゃんに乗り換えたのよ! あのおんな!
私にだって、『プリンスからのお願いだから』とか言って、『アユムに話しかけていろいろと聞き出せ』とか命令してきて!
お兄ちゃんの話を出せば、私がなんでも言うことを聞くって勘違いして、馬鹿じゃないの!」
と怒りの形相で、これまで溜まっていたことを、一気に吐き出す。
「だいたい、昔からお兄ちゃんのせいで『変人の妹』ってからかわれて続けてきたし。
お母さんは『お兄ちゃんがなにかしでかさないか、心配。お願い、美帆、お兄ちゃんを見張ってて』とか言って、お兄ちゃんのことばっかりかまうし。
もー、うんざり!」
そこで、ハッと何かに気づいた表情に変わり、
「だいたい、本当にあのおんなって、被害者なの?
『全部知らなかった』なんて言ってたけど。
どこにも証拠がないじゃない!
アユムとユーマだけが、本当に悪いの?
同じチームで、元カノだったのに?
スキットルの不正は、だいぶ前からやってたはずなのに?
インフルエンサーなのに、ミッドナイト4のお金の流れがわからなかった?
おかしい!
最初から、お兄ちゃんに乗り換えるために相談したんじゃ……」
とか、ぶつぶつ言い出した。
そして、目に大粒の涙を溜めて、
「瑠衣君、お願い!
お兄ちゃんとモルックで勝負して、勝って!
お兄ちゃんを、あの女と別れさせて!」
と、また言ってきた。
「わ、わかりました。
と、とりあえず、落ち着いて!!
いま、わけがわからなくなっているから、それはあとで考えよう」
と言って、美帆ちゃんを落ち着かせる。
それで、美帆ちゃんの目を見て、深呼吸して、もう一度、ちゃんと言う。
「美帆ちゃん、僕は君が好きです。
僕と付き合ってください」
「瑠衣君、私も瑠衣君のことが大好きです!」
うれしい!
大吾と茉莉ちゃんがいても関係ない!
僕たちは、ギューッっと強く抱き締め合った。
心臓のドキドキが止まらない!
「美帆、おめでとう!」
と茉莉ちゃん。
「やれやれ、やっとくっついた。
ほんと、時間かかりすぎだよ!」
と大吾。
そうだ、二人は僕たちのために、陰でいろいろやってくれていたんだ。
ありがとう! 大吾、茉莉ちゃん。
恥ずかしくなって、離れて、顔が真っ赤な僕たちだったけど。
驚くことは、まだまだ続く。




