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第29話 驚きの提案

 悪事がバレて、うなだれるアユムとユーマ。

 その二人に、プリンスから驚きの提案があったんだ。


「僕からの提案は3つある。

 その1、モルックの試合で不正を働いたことを認めて謝罪してもらう。

 その2、賞金100万円は『トーナメントが正しく開催されなかったから』という理由で、僕たちのチームから辞退させてもらう。賞金は払わなくていい。

 その3、クラファンで集めたお金は、フェスで不正を行ったということで、すべて返金してもらう。

 どうかな?」


「『どうかな』って言われても……」

と困惑した表情のアユム。


 プリンスが話を続ける。

「不正を働いて、モルックというスポーツを汚したことは許されることじゃない。 

 それは償ってもらう。

 だけど、これだけ盛り上がったモルック・フェスが、クラファンは失敗、スポンサーもほとんどいない、ウソまみれのものだった、ってことになると、モルック自体へのダメージが大きい。

 今日一日、フェスは盛り上がって、みんなとても楽しそうにしていた。

 それはウソじゃない。その思い出を、こんなことで汚したくない。

 ダメージを最小限にするため、君たちは不正の件だけ認めて、謝罪してくれ。

 そして僕たちのチームが賞金を辞退することで、その分の君たちの負債はなしにするよ。

 そのうえで、クラファンで集めたお金は返金してくれ。

 どうせ全額は集まっていなかったんだし。集まっていないお金を『返金した』ことにすれば、僕はそれでいい」

と言った。


 顔を見合わせたアユムとユーマが、「それで、お金の件が表に出ないのなら」と答える。

 プリンスが、大きくうなずき、

「その上で、だ。

 最後に、もう一つ提案があるんだけど」

と話を続ける。


「こうなったら、アユムとユーマはユーチューバーを続けられないと思うんだけど。

 ミィとマーちゃんだけでチャンネルを続けるのも、ミッドナイト4がイメージダウンした後では難しいと思う。

 だけど、せっかくここまで育ったミッドナイト4のチャンネルを無くすのはもったいないし、モルックにとってもイメージダウンだ。

 だから、このチャンネルを僕にゆずってくれないか」


 え、え、え?

 プリンスは、いったい何を言っているの?

「ゆ、ゆずるって……?」

とアユムも言う。


「ちょうど、自分のボウリングのチャンネルと、モルックのチャンネルを分けたいと思っていたところなんだ。

 賞金100万円の権利を放棄するかわりに、チャネルを正式に僕に譲ってほしい。

 不正の件を公表して、謝罪して、責任をとってミッドナイト4は解散する。

 そして、賞金の代わりにチャンネルを『江戸川プリンスにゆずる』ということにしてほしい」

 ここまでの話で驚きまくったんだけど、プリンスの話は続く。


「そして、チャンネルの裏方として、二人とも僕に協力してくれないか」

とプリンスが、意外なことを言い出した!


「ど、どういうことだよ」

「君たちのアイデアや行動力、チャンネル運営能力は僕にはないものだ。

 だけど、表と裏の両方を担当するのは、荷が重かったんじゃないか?

 表の部分は僕が担うから、裏の部分を君たち二人でプロデュースしてくれないか!

 それで、僕といっしょにモルックを盛り上げようじゃないか!」

と、力強く言って両手を前に出す。


 アユムとユーマも勢いに飲まれたのか、困惑しながらも、なんとなく手を出して、握手する。ニッコリ笑う、プリンス。


「そ、それで今回のことは帳消しにしてくれるのかい?」

「不正があったことは告発させてもらう!

 そして、表舞台からは退場だ!

 だけど、お金に関するトラブルは、クラファンで集めたお金を返金すれば不問にしよう。賞金の100万円もいらない。

 そして、今後は仲間として、僕のボウリング&モルックの活動を支えてほしい!」

と再度、力強く宣言する。


 すると、これまで黙って話を聞いていた美帆ちゃんが、 

「……なに、それっ」

と吐き捨てるようにつぶやいた。


 いろいろあって、アユムとユーマが行った不正のうち、モルックの操作の件は、後日謝罪することになり、お金関係の話は目をつぶることにして、ひとまず解決ということになった(大人って汚いなー!)。

 そして、賞金のかわりにミッドナイト4のチャンネルは江戸川プリンスのチャンネルに生まれ変わることになったんだ。


 ミィさんは、アユムとユーマの行動をだいぶ前から疑っていて、プリンスにいろいろ相談してて仲良くなったそうで、すんなり江戸川プリンスに移籍することになった。

 マーちゃんさんは、ほぼ何も知らなかったそうで、いろいろとショックが大きくて、これを機会にしばらく活動を休止して、今後のことを考えたいらしい。


 それでひとまず、モルック4のメンバーとプリンスで、いまは会場で撤収作業をしながら、ヤキモキしているはずの『モルック魂!』のディレクター、松本さんに事情を話しに行くことになって、部屋を出て行った。

 部屋に残されたのは、僕、美帆ちゃん、大吾、茉莉ちゃんの4人だ。


 これで、一件落着なのかな?

 そうだとすると、僕が疑っていた、ミッドナイト4とプリンス、美帆ちゃん、大吾、茉莉ちゃんがつながってて、なにかを企んでいたといった最悪の事態は避けられたんだけど。


 じゃあ、何のために美帆ちゃんは「番組に応募したら、モルックの道具が当たった」なんて嘘をついて、僕をモルックに誘ったんだろう?

 という、僕がモルックをはじめたときからあった謎は、解明されないままだった。


 それに、美帆ちゃんはプリンスがお兄さんだってなんで僕に黙っていたの?

 単にプリンスがユーチューバーだから、素性を明かさないようにしてただけ?

 それともなにか言えない事情があったの?


 ちょうどいいや、今こそすべての真相を解き明かそう。

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