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第14話 深まる謎

 大智さんが、プリンスの妹だったなんて!


 ノロノロと試合会場に向かって歩きながらも、頭の中はこのことでいっぱいだった。

 大智さんは、背が高くて、顔立ちも整ってて、プリンスに似てなくはないけど……。


 うんっ?


 大智さん。おおとも。おおち。おおぢ。王子で、プリンス! ってことー!?

 気づかなかった!


 あれっ、みんなの前でプリンスのチャンネルの話とか僕しなかったっけ?

 プリンスは、サングラスをかけて髪にメッシュを入れてて、ちょっと正体がわからないようにしているけど。

 知ってる人なら、わかるぐらいの扮装だよ、あれ絶対!

 そうだとすると、親友の谷口さんはこのことを知ってるのかな?

 大吾は、僕と一緒で、プリンスと大智さんが兄妹なのは知らないよね?


 なんて考えて歩いていると、試合会場に着いちゃった!

 もう試合前のウォームアップの時間だ。

 やばい! いろいろ気になるけど、今は試合に集中しないと!

 ウォームアップは、体を動かしてあっためるのと、相手チームの情報を入手する貴重な時間だ。なのにプリンスと大智さんのことが気になって集中できない。


 ウォームアップが終わり、ついに予選リーグの第1試合が始まる。

 相手チームは、「ダイナマイト・モルッカーズ」という名前の社会人チームだ。

 大智さんがじゃんけんで勝って先攻になり、僕が1ターン目のブレイクショットを投げた。


 うわっ! スキットルの手前でモルック棒がバウンドしてしまって、5本しか倒せなかった!

 それに、ほとんど散らばってない!

 後攻の相手はガチャで投げて、10本倒した!

 1ターン目から5本差でのスタートになってしまった!


 この最初のミスショットが影響して、そのまま相手チームに得点を先行されたまま、僕たちは1セット目を落としてしまった。

 先攻で負けて動揺してしまった僕たちは、2セット目もズルズルと負けてしまい、1試合目を落としてしまった。


 しまった、動揺した気持ちでブレイクショットを投げるぐらいなら、一番手を大智さんか大吾にお願いするべきだった。僕の判断ミスだ。

 だけど、そのあとの第2試合、第3試合は実力を発揮できて、なんとかせり勝って、グループ2位で、予選リーグ戦を突破することができた。


 予選リーグの試合終了後に、反省会。

「どうしたんだよ瑠衣。

 今日は、らしくないじゃないか」

「見ている人が多いから、緊張しちゃうよね」

「なんか顔色良くないよ、体調とか大丈夫?」

とみんなに心配されたので、

「実はさっき、とんでもないことが起こって。

 試合どころじゃ無くなってて……」

と、ついさっき自分に起こったことを話すことにした。


「いろいろ、あったんだ。

 まず、会場にプリンスさんがいて、話しかけられて……」

「えっ、プリンスって、瑠衣が中学生のときにボウリングで負けたって人?」

と大吾。

「そう。それで、いつのまにかボウリング系ユーチュバーになってた人。

 最近はモルックもやっているってことは前に話したことあったよね。

 今日は、この大会のゲストとしてシード枠で試合に出場するんだって。

 それで会場にいてさ、さっき出会ったんだ」

「そうなんだ……。知らなかったな」

と大智さん。


「プリンスさんが、僕のことを覚えててくれて。

 で、急になんだけど『仲間にならないか』って言われて(苦笑)」

「えっ、仲間になれって?

 どういうことなの?」

と谷口さん。

「いや、僕もよくわからないんだけど、

 ボウリングとモルックを盛り上げる活動をするから、仲間になってくれないかって」


「ほんと、急な話だな」と大吾。

「そう、あまりに唐突な話過ぎて驚いていたら、

 今度は『ミッドナイト4』のアユムまでやって来て!」

「えー、アユムがいるんだ!」

と、まわりをきょろきょろする、大吾。


「うん。ミッドナイト4もゲストでトーナメントに出場するみたい」

と僕が答えると谷口さんが、

「本当だ! 本戦の2回戦から『シード枠でプリンスとミッドナイト4が参加』って書いてある。

 大会に応募するときに見た記憶がないから、これって、後で追加された情報かな」

と大会のホームページを見て、情報を確認する。


「私、何も知らなかったよ」

と、大智さんが、大吾と谷口さんと目を合わせる。

 大智さん、プリンスと兄妹だったら今日の大会でいっしょになること、聞かされてたんじゃないのかな? 本当に知らなかったの?


 なんか微妙な空気になったので、

「それで、なんと!

 アユムから、『ミッドナイト4のチャンネルに出て』って誘われたんだ!」

とビッグ・ニュースを伝える。


「えっ!俺たちミッドナイト4のチャンネルに出れるの? マジで!」

と喜ぶ大吾。

「なんで私たちが出られるの?」

と聞いてくる谷口さん。

「それが、アユムが、ユハさんがバズった動画のことを知ってて。

 それで、僕のことも知ってて出てくれないかって」


「やったじゃん!

 学校に許可取って、出ようぜ!」

「え、でもへんな目立ち方はしないほうがいいんじゃないかな?」

 と喜ぶ大吾と、対照的に消極的な反応の女子二人。


 僕も出てみたいんだけど……。

 それで、さらに『モルック魂!』のスタッフさんとも出会ったことを手短に話す。

 みんな、番組のファンなのでそっちにも驚いていた。


 ただ、視聴者プレゼントのことと、プリンスが大智さんのお兄さんだって知ったことは黙っていた。

 プリンスと大智さんが秘密にしておきたいことなかもしれないし、いまこのタイミングで言っていいことなのか、わからなかったんだ。

 

 そんな僕の様子を見て、大智さんが、

「大変だったね。

 試合前にそんな驚くことがあったら、調子狂うよね」

と気づかってくれたけど。


「いや、せっかく同好会を作って最初の試合なのに。

 試合前にウォーミングアップもろくにしないで、フラフラしてた僕が悪かったんだ。

 ここから、試合に集中して挽回するから!」

と、宣言する!

 大智さんに聞いてみたいこともあったけど、今はすべて忘れて、次の試合に集中するぞ!


 それで、決勝トーナメントに挑んで、1回戦、2回戦と勝ち進んだけど、3回戦で名前を聞いたことがある大学生チーム「MEIGAKU Mölkky's」と当たって、ここで敗退となった。

 大会に招待された「ミッドナイト4」は準決勝でその大学生チームに接戦で敗れて、決勝は僕たちに勝った大学生チームとプリンスが率いる「江戸川プリンス」が対戦して、プリンスのチームが優勝したのだった。


 優勝した「江戸川プリンス」が表彰されている様子を見ていると、となりでいっしょに見ていた大智さんがふいに、

「香坂君、プリンスの仲間になって同好会をやめたりしないよね?」

と、ちょっと不安げに聞いてくる。


「当たり前じゃないか!」

と力強く答えたけど、プリンスさんに仲間にならないと言われて驚いたけど、ちょっとうれしかった。

 でも、今の僕はあくまでチーム「ホワイト・ウッド」のメンバーだ。


「そうだよね!

 ホワイト・ウッドも同好会も頑張ろうね!」

と嬉しそうな大智さんに、僕は力強くうなづいた。


 後日、本当にミッドナイト4のスタッフの斉藤さんから、「ミッドナイト4のチャンネルに出てほしい」という連絡があった。

 えー。どうしよう!

 僕たち、人気ユーチューブ・チャンネルに出れちゃうんだけど!

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