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第2話 新たな言い伝え

洞窟の外へ出たハクリュウはアリスティアをみて……。

 洞窟の外に出ると、そこには獣人の女性二人が倒れていた。


 一人……どっかでみた気がする?


「おいおい、アリスティアにシャナ……何があった? それにしても、よくここが分かったな?」

「あっ!? クレイマルスさん……居てくれて良かった。と言うかアリスティア! どいてくれませんか? 重いのですが……」

「あっ! すまない。だが、こうなったのも……シャナが悪いんだろ。召喚獣に乗ってクレイマルスを探すって言ったから、こうなったんじゃないか!」


 アリスティア……何処かで……??


「結果的に探すことができたのでは?」


 何処かで聞いた名前だと思い俺は、アリスティアをじっくりみた。


「あっ!? そうだ! 俺を襲った女!!」

「あーあの時の女!? カジノでのカネ返してよね!!」

「すまない! あの時は……クロノア、お前の力が知りたかった。それにハクリュウ、お前の力もな。その上で異世界の者を召喚するか決めようと思っていたんだ」


 じゃあ試したってことか……だけど…………ん?


「ちょっと待て! 俺を襲った時って……まだノエルを召喚してなかったのか?」

「なぜ貴様がノエル様のことを知っている?」

「ノエルが召喚されたことは、クレイマルスさんから聞いた」

「それにノエルは……私たちの知り合いなの」

「なるほど、そういう事か」


 なんでグレイルーズは異世界の者を召喚することに対して慎重だったんだ?


 そう思っていると「中に入って話をするぞ」、そうグロウディスの声が聞こえてきた。

 みんながアジトの中へ入って行くのをみて俺は慌てて追いかける。


 ★☆★☆★


 革命派のアジトの中へと入るなり俺はクロノアとシエルの近くに立った。するとアリスティアとシャナを交え話が進められる。


「あれからグレイルーズのことは探れたのか?」

「クレイマルス……既に知っていることかもしれないが。国の現状は内政が悪化し城の者たちの様子もおかしくなっていた」


 さっきの話と繋がってるな。


「それだけじゃない。貴族の間では変な遊びが流行っていると聞く」

「グレイルーズで、そんなことが起きていたとはな」


 そうグロウディスが言うとアリスティアは頷いた。


「ああ……それに町や村もみてきたが、やはり以前に比べ貧しい者たちが増えている」

「そうなのですね……ワタシの国ホワイトガーデンは、どうだったのでしょう? それほど気にとめてはおらず……」

「すまない……流石に自国ではないホワイトのことまで調べていない。だが他国のことも調べ早急になんとかしたいと思っている。国の者たちや国王もできることなら争わずにすめばとも」


 そもそも……なんで、そんなことが起きてる? まあ、それが分からないから……これから解決しようとしてるんだけどな。


「なるほどな。争わないで……か」


 そう言いグロウディスは腕を組みながらアリスティアをみていた。


「なぜか王は他国の異変も察知していた。そのためグレイルーズでも異世界の者を召喚するか悩んだ。国が抱えている問題に対して異世界の者を召喚してまで成すことなのかと思案し……」


 そういう事か……。


「恐らくホワイトとブラックが異世界の者を召喚する。そう王は予想し……私が二つの国を監視するように命じられたという訳だ。襲ったのも実力を知るため……本当にすまないと思っている」


 そのアリスティアの話を聞いて一瞬だけ考えたが納得する。

 視線をクロノアに向けると何時になく笑みを浮かべ何度も頷いていた。


 ヘェー……クロノアって、こんなに笑顔が可愛いんだな。…………って!? いや違う! 好きとか、そういうんじゃない。


「それはそうと俺は各地域を歩き色々と見聞きしてきたんだが。その一つが奴隷のことだ。あと一つは言い伝えなんだが他にも色々とあった」

「一般に知られている言い伝えとは別にもあるって事なのか?」


 そう俺が聞くとグロウディスは、コクッと頷いた。


「ああ……思った以上にあって驚いたぐらいだ。その中に信じられないような言い伝えが存在していた。これは遥か辺境の地にある名もない村で聞いた話なんだが」


 ……―― 遥か昔のこと。ある若者が狩りをするため茂みを歩いていた。すると茂みの奥で光る物をみつける。それは水晶の玉だ。

 若者は水晶を村に持ちかえり村長に聞いてみる。しかし村長でも分からかった。

 すると村の中で最も魔力の優れていた女性が、あまりにも綺麗だったため水晶に興味を示し触れる。すると水晶は何かを映しだした。そう、これから遠くない未来に起こることをだ。

 それをみた女性は皆に告げる。


『この水晶で私は大変なものをみてしまいました。それは、この世界の危機。みえたものが魔神なのか魔王なのかは分かりません。

 ですが、それは必ず現れる。そして、この世界に恐怖をもたらします。しかし水晶は異世界から勇者を召喚すれば、それを防げるとのこと』


 その言葉を聞いた村の者たちは驚いた。

 そんな中、村長は何かを思い付いたように異世界の勇者を召喚すると言いだす。

 だが村長は、この時あることを考えていた。勇者が召喚できるのであれば魔王も召喚できるのではと。そして村長は水晶に手を翳してみる。

 すると水晶は光り出し村長にその方法を教えた……――……


「と…… このあとは、なんとなく分かると思うが。ここまで、この話を聞いて……どう思った?」

「それって……魔王が異世界から召喚できるかもしれないってことなんじゃ」

「ハクリュウ、その通りだ。そして、その方法は……かなり複雑らしい」


 グロウディスの話してくれた方法……その条件。

 ・異世界から最初に三人召喚する。

 ・国に暗雲をもたらし黒い霧で覆い尽くす。その後、魔王の器になる異世界の者を自分の血を持って召喚する。


 なんか……嫌な予感がする。


「召喚後は、ある決められた土地にて処女を生贄にし魔王を呼び覚ます。その後、魔王の器になる者に憑依させる」

「ちょっと待って! それって、なんか嫌な予感しかしないんですけど……」


 クロノアの言う通りだ。俺もノエルのことが凄く心配になってきた。


「私もノエル様が気がかりです」


 シャナさんか……優しい人だなぁ。


「この話と……今の状況が似ている。それと勇者の召喚についてのことなんだが。異世界の勇者は三人揃って初めて力が解放されるらしい」

「俺たちの力が解放される?」

「ああ、ハクリュウ……そうらしい。三人が揃い、ある場所で何かをしなければいけないとのことだ」

「それって、どんな力なの?」


 俺が聞こうとしたことをクロノアに先に言われた。


「それが、どういう力なのかは人それぞれで分からないらしい。それに……場所と何をするのかもな。あくまで聞いた話で、それらも何処までが本当なのか」

「話を戻すが。もし仮にノエル様が……その生贄になってしまわれた場合。クロノア様とハクリュウ様の勇者としての力はどうなる?」


 アリスティアがそう言うとグロウディスは頷き俺の方へ視線を向けた。


「間違いなく能力を授けてもらえなくなるだろう」

「おいおい! それなら……ここで、こんなことしてる暇なんてないんじゃないのか? こうしてる間にも、あの愛らしいノエルさんが……魔の手にかかろうとしているかもしれない」

「クレイマルスさんって。まさかだけど……ノエルのこと好きなんですか?」

「ああ……勿論だ。ノエルさんを将来、俺の奥さんにと望んでいる」


 クレイマルスがそう言うと俺とクロノアは溜息をついた。


「クレイマルスさん。ノエルを奥さんにすると維持費が大変だと思いますよ」

「俺は最愛の人が喜ぶなら、どんな苦労もしてみせる! それほどに愛おしい」


 M体質なのか?


「ノエル様がなんと言うか……多分あの時の反応を見る限り、アウトだと思うのだがな」

「構わないさ! 何度フラれようが……俺は何回でも、アタックするつもりだ!」


 クレイマルスがそう言うと、みんなは呆れ果て溜息をついている。

 その後このことに関しては、これ以上話をしていても時間の無駄だと判断し話題を変えた。


「今の話を聞いていて、いくつか気になることがある。先ずは……その水晶って本当に存在するのか。もしあるとして何処にある? もし異世界から魔王の器になる存在が召喚されていたとして、それって誰なのかだ」

「ハクリュウの言う通り……私も色々と考えてみたんだけど。三人ともに知ってる存在で、あっちの世界では一番を競うぐらいの実力。そして異世界から召喚されている強い者だっていう事なのよね」

「クロノア……それって魔王の器になる者は俺たちと面識があるヤツってことなのか?」


 そう問いかけるとクロノアは、コクッと頷き俺の方へ視線を向ける。


「それは、あり得ると思う。ただ、それが誰なのかなのよね」

「クロノア……俺たちと面識があって同等の立場か、それ以上の存在……」


 ふと俺は、ある人物のことを思い出した。


「その顔はハクリュウも、あの人のことを思い浮かべたのかな?」

「だけど、まさかな……あの人は確かに強いし統率力も優れていて頭も切れた。ただ咄嗟のできごとには対応しきれなかったけど。いや、そういう事ではなくて。でも一年前に引退してるし……」

「でも私たちに匹敵する人って他にいるのかな?」


 他の人物……いない訳じゃない。でも、あの人は……消息不明だし。


「確かに、あの人しか思いあたらない。しかし戻って来たって云う噂も聞いていなかったしな……」

「今の話を聞いていて思ったのだが。現在、召喚された者たちが知り合いであるなら……もう一人も知り合いの可能性は大いにある。思いあたった者のことを詳しく聞かせてくれないか?」


 そうグロウディスに言われ俺は思考をめぐらせる。


「何から話せばいいかな。その人は一年前まで、あるギルドのマスターだった。それも最強と言われたギルドの……」

「そうだね。私たちは、その最強ギルドにいたんだけど。あの人は……どんな癖のある仲間でも、どんなヤツでも平等に扱ってた」

「なるほどな。そうなると……もし、その者が召喚されていたとしたら厄介かもしれん。ましてや魔王になる器としてとなると……」


 そうあって欲しくない。


「あの人は、かなりのくせ者なので厄介です!」

「あっ! そういえば、あの人にも苦手な人がいたよね」

「あっ、そうか! 確かに、アイツには逆らえない」

「その者とは、この世界に来ているのか?」


 そうグロウディスに聞かれたクロノアは頷いた。


「うん……来てます。多分、大臣に捕まっているなら……」

「そ、それってノエル様なのか?」


 そうアリスティアは問いかけるとクロノアをみている。


「召喚されたのがあの人なら……間違いなくノエルには逆らえない。それにノエルを傷つけるなんて絶対ないと思う」

「それに……もしノエルが、そんな状況になってたら……あ〜!? そっか! もしかして……」


 クロノアが言おうとしてることを俺は理解できた。


「確かにそれならあり得る。前にノエルから聞いた話だと。あの人は家を出たあとも、ノエルがウザくなるぐらいスマホのSNSに連絡して来たらしい」


 だとしても……本当にそうなのか?


「ウザくて放っておいたら、ノエルのことが心配になって大学を休んでまで電車で家に来たって言ってたのよねぇ。今回も連絡がつかなくて心配で覗きに来たとしたら」

「それは、どういう事だ? ノエルさんと、その者は何か関係があるのか? も、もしかして……恋人なんじゃ!?」

「あっ、それはないです。って……いうかね。あの人とノエルは兄妹なの。ただ話だと引退する時に一人でやって行くために家を離れたらしいけど」


 なんか俺の知り合いばかり召喚されている気がする。……待て!? トパーズの町で接触して来たヤツも俺の知り合いなのか? でも、どう考えても思い出せないんだよなぁ。


「ノエル様に、お兄様がいらしゃったのですね」

「そうなると、これからどうするかだよな」

「ハクリュウ、そうだな。このままこうして話をしていても埒があかない。とにかく、そのノエルと大臣を、そして……その水晶のある場所を探さなくてはな」


 グロウディスの言う通りだ。水晶を探さないとな。


「……あっ、そういえば! 確か何年か前に大臣が何処からか水晶らしき物を城の自室に持ち込んでいたのを思い出しました」

「シャナ、それは本当なのか? って、なぜ今頃……」

「アリスティア……そう言われても、その時は大事な物だなんて思わなかったのです」


 やっぱりグレイルーズの大臣が怪しすぎる。


 その後、分担して行動することにし解散する。そして俺たちは洞窟を出て旅立った。

読んで頂きありがとうございます(*^^*)


今回の話は修正箇所少なくてよかったです……( ̄▽ ̄;)


では次話もよろしくお願いします(^O^)

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