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第3話 新しい仲間と城や町を覆う暗雲

シエルの後ろを歩き森の中へ入ったハクリュウは……。

 トパーズの町から旅立った俺とシエルは野宿を避けながら村や町に滞在。数日かけ目的の城の近くまで来ていた。

 周囲には草原が広がって赤、青、黄、ピンク、色々な花々が咲いている。そんな花々の周辺を綺麗な蝶が飛んでいた。

 辺りをみながら、シエルの後ろを歩いている。


 そういえば……この世界に来た時は、もっと髪が短かったよなぁ。数日で、こんなに伸びた。


 そう思い前髪を触る。

 キョロキョロと周囲をみながら長閑な風景を眺め、ふと改めて疑問を抱いた。


 そういえばトパーズの町を出てから、ここまでくる間に何度か魔獣や魔物が出て戦闘になった。だけど……思ったよりも強くなかったんだよなぁ。本当に意味が分からない……。

 それに、この辺には魔物や魔獣の姿がみえないしな。


「なあシエル……旅をしていて思ったんだけど。この世界って思っていたよりも平和だよな。これって……どういう事なんだ?」

「平和では、いけないのですか?」

「あっ! そういう訳じゃない。ここまでくる間に戦った魔物や魔獣も、それほど強くないだろ。それと平和にみえるしさ。それなのに、どうして俺が召喚されたのかって思ったんだ」


 少し歩いてからシエルは戸惑った表情で俺の方へ視線を向ける。


「申し訳ありません。前にも話しました通り……召喚した理由など、ワタシの口からは何も言えないのです。そのことについては領主様に直接、聞いて下さいませ。それと国の範囲内は管理しているため、それほど強い魔物や魔獣が存在しないのです」

「じゃあ国外には強い魔物が沢山いるってことなのか?」

「ワタシも、そのことについては詳しくありません。国外には辺境の地という場所が存在します。そこに向かうにつれて強い魔獣や魔物が出現するとのこと」


 そう言いながらシエルは周囲を見回した。


 国外なら強い魔物や魔獣がいる……そういう事か。


「そうなのか……だけどまあ、ちゃんと国が管理されてるってことだよな」

「はい……平和が一番ですので」


 納得するフリをする。実際、今の俺の頭の中はこんがらがっていた。


 あー……なんか余計、訳が分からなくなった。

 アニメとかなら異世界に召喚されたヤツは必ず、その世界を救う的存在だよなぁ。

 それに……その世界が滅亡寸前だったり、なんらかのトラブルを抱えているとかさ。

 だけど……どうみても、この世界は平和そのものだと思う。でも召喚されたんだから魔物や魔獣などの討伐じゃなくて、トラブル的なことなのかもしれない。

 だけど国外には強い魔物や魔獣がいる。そうなると、やっぱり討伐なのか?

 あ〜……余計に分からなくなってきたぞ! ハァー……これ以上考えたら俺の頭がパンクするだけだ。

 やっぱり、ここはシエルの言う通り王に合って事情を聞くしかないかぁ。


 そう自問自答していたが、ふと気になりシエルの方へと視線を向ける。

 すると視線を感じとったのかシエルは、チラッと俺の顔をみて再び歩き出した。


 まだ着かないのか? 流石にしんどい……。暇で余計なことを考えちゃうしなぁ。


 何時の間にか森の中へと入っている。

 相変わらず殆ど喋らないクールな表情で、シエルは俺の前に居て警戒しながら歩いているようだ。


「キャアァァー!!」


 森の奥から女の悲鳴が聞こえてくる。


「おいっ!? こら待ちやがれ〜!」


 そう言いながら男が、その声の主を追って森から出てきた。


「だっ……誰か助けて〜!」


 そう言いながら女が俺とシエルの前に現れる。

 そして、その女は俺とシエルをみた。


「あっ!! お願いです。スケベじじいに、もう少しで拐われそうに……隙をみて逃げてきました。た、助けて下さい」


 すると、その追手の男が現れる。そして、その女をみるなり怒鳴りつけた。


「このアマァァー!? 逃げるなー待ちやがれっ!!」


 その男は怒鳴りながら、その女を追いかけようとする。

 それをみて俺は男の眼前で剣を抜き突き立てた。

 男は慌てて剣を避ける。だけど近くにあった岩に体当たりしてしまい動けなくなった。

 動けないところを俺は、すかさず持っていた縄で男を縛りあげる。

 だが、なぜか男は泣きそうになっていた。


「これじゃ逃げられちまう。あー……どうしたらいいんだぁ〜」


 その様子をみて俺は、あの女の言っていたことと明らかに違っていると気づき辺りを見渡してみる。すると、あの女は既にいなくなっていた。


「あれ? シエル、さっきの女は?」

「あの方なら、もう既に逃げていかれましたが」


 男は俯き溜息をついている。


「はぁ……あの女はなぁ。俺の全財産を盗んでいきやがったんだよ!!」


 そう言い男は俺を睨んだ。


 これって俺が、その女逃したってことは……絶対マズイ状況だ。


 どうしたらいいのかと思考を巡らせた。


「ホント……泣きたくなる。まぁ俺も、あの女に騙されたのが悪いんだから仕方ねぇ」


 そう言い目の前の男は頭を抱える。


「あの女に言い寄られ……クッ、まさか泥棒だったとはな」


 それを聞き俺は申し訳ない気持ちになりながら男の縄を解いた。


「ごめんなさい。まさかあの女が、そんなことをするようにはみえなかった」

「仕方ねぇ……お前だって、あの女に騙されて俺を捕まえたんだろ?」

「ああ、そうだな。悔しいくらい思いっきり……騙されたぁぁー!!」


 悔しさの余り大声で叫んだ。

 その後、俺はシエルと男へ視線を向ける。


 この状況どうする? シエルは俺をみて何か言いたそうだ。それに目の前の男は俺を睨んでる。っていうか、なんで俺が……こんな目に遭わなきゃいけない。


 空を見上げ頭を搔きむしりながら考えた。

 急に男が立ちあがり、パンパンっと両膝とお尻の汚れを落としている。


「ふぅ〜……俺は一文無しになった。これじゃなぁ……何もできねぇ。ん? 待てよ」


 そう言い男は、パンと両手を叩き何かを思いついたようだ。そして俺とシエルに話しかけてくる。


「俺が金を取り返せなかったのも、お前たちのせいでもある訳だ。なら、その責任をとってもらわねぇとな!」


 少し意地悪そうな顔つきで男が言うと、シエルはクールな感じで話し出した。


「先程から色々と話を聞いていましたが。騙されたハクリュウ様が確かに悪いかもしれません」


 そう言いシエルは俺をみたあと男へと視線を向ける。


「ですが……誘惑され騙されたのは貴方です。そうなると、ハクリュウ様よりも貴方の方が悪いのではないのでしょうか?」


 ちょ、ちょっと……これって逆効果なんじゃないのか? この手の相手って、もう少し穏やかに話し合った方が……。


 そう思い俺は、どうしようかと戸惑った。


「言われてみれば確かにそうだな。さて、そうなると……これからどうするかだ」


 そう言うと男は何かを考え始めたようだ。

 その言葉を聞き俺は安心し胸を撫で下ろした。


「ん〜お前、結構いい物を装備してるじゃねぇか。それに、このねぇちゃんも……なかなか強そうだし。何か訳ありの旅なのか?」


 男は不思議そうに俺とシエルをみる。

 それを聞いたシエルは、なぜか慌てて話題を変えた。


「ハクリュウ様。急がなければ日が暮れてしまいますので、そろそろ行きましょう」


 深刻そうな顔つきで、シエルに言われた俺は空を見上げる。


「確かに……そろそろ、この森を抜けた方が良さそうだ」

「うむ……なるほど、なるほど……人様には言えないような旅な訳か」


 ニヤニヤしながら男は勝手に頷き何かを納得しているようだ。

 何を思ったのか男は、ポンッと俺とシエルの肩を叩いた。


「護衛が必要なんじゃねぇか? 特に追われる身なら!」

「あっ、えっと……別に追われてるわけじゃない。……っていうか、なんでそんな話しになるんだ?」

「まぁ……なんにしろ俺は一文無しだ。そして金が欲しい。だから、お前らがなんだって構わねぇ。目的地までの護衛でいいから、とりあえず雇え!」


 男はそう言い力強い笑みを浮かべる。

 それを聞きシエルは男をみてから俺の方に顔を向けた。


「ハクリュウ様どうしましょう? 多分くるなと言っても、ついてくると思います」

「ん〜、そうだなぁ」

「お金のことは問題ありません。この前のこともありますし。一応、護衛は一人でも多い方が助かるのも事実です」


 目を閉じ俺は考え始める。


 んー……確かに、この前はアリスティアに襲われた。だけど護衛をつけるほど、ここの魔獣が強いとは思えない。

 でも、シエルは何か知っている。だが、そのことについて教えてくれないんだよなぁ。……この世界と、この国で何が起こっているのか。

 今は状況がみえないし、シエルの判断に任せるしかないよな。


 そう考えたあと俺は溜息をつきシエルへ視線を向けた。


「俺は何も分からない。だから判断は悪いけど、シエルがして欲しいんだ」


 そう俺が言うと、シエルは頷き男の方へ顔を向ける。


「それでは、ハクリュウ様が言われた通りに致します。貴方の強さが、どの程度なのか分かりません。ですが、いないよりはマシですので雇うことにします」


 それを聞いて男は両手を胸ぐらいの位置で、グーにし喜び笑みを浮かべた。


「ふぅ〜、ありがてー……これで食いぶちに困ることもなくなった!」


 すると男は何か思い出した様に話し始める。


「あ〜、そうだ! 自己紹介を忘れるとこだった。俺はグロウディスってんだ。歳は三十一で、それと前まで城の騎士団にいた……これでもな!」


 城の騎士団かぁ……って、シエルは知らないのか?


 疑問に思った。だけど人が多くて把握していないだけなのかもしれないと思い追求するのをやめる。

 そして俺とシエルとグロウディスは、この場を離れ城へと向かい歩き出した。


 ★☆★☆★


 あれから俺とシエルは、グロウディスと共に森を抜け近くのルリの村に立ち寄り一晩泊まる。

 翌日ルリ村を出てシンシア草原を通ってルーンバルス城へ向かい歩き進んだ。


「それにしても、なんで今の時期に城なんかに行こうなんて思ったんだ?」

「それは申し訳ありません。今は教えることはできないのです。話す時が来たら……」

「城までは、あと少しなんだよな?」


 そう聞くとシエルは、コクッと頷いた。


「ハクリュウ様。はい、そろそろ橋がみえてくる頃かと……!?」


 周囲を見渡しシエルは立ちどまる。そして、どうしたのか凍りついたように固まっているみたいだ。


「うっすらと橋が……」


 シエルの呟く声が聞こえてきた。この向こう側に城や町があるらしい。その上空に暗雲が立ち込めていた。

 そして城と城下町、全てが黒い霧に覆われみえなくなっている。

 何度か俺とシエルとグロウディスは橋を渡ろうと試みた。だが、なんらかの力により跳ね返され橋を渡ることができない。


「こ、これはいったい……何があったと云うのでしょうか?」

「シエル! あそこに目的の城があるのか?」

「こりゃ……大変なことになった。城で何があったかは知らねぇが。お前らが城に用があったことと関係しているのか?」


 グロウディスが聞くとシエルは少し考えているようだ。


「ワタシも詳しい内容は聞かされてはいないのです。ですが、これはグロウディスさん……貴方にも手伝っていただかなければならなくなりました」

「そうか……俺は構わねぇ。それと事情が国絡みとなると、お金をもらう訳にはいかなくなるな。元、城で働いていた身としてはな」

「名前を聞いた時から気になっていました。グロウディスさんは、あの有名な光速の剣士と言われていたグロウディス・アバロン元聖騎士長さまではないでしょうか?」

「いや〜……バレてしまったか」


 するとグロウディスの顔が真剣な表情に変わった。


「ですが、なぜ……こんな護衛や冒険者まがいのことをされているのですか?」

「なぜかか……城は色々なことがあって追い出されたんだ。……これはお前らが信用できると思い話す。俺は今この国と世界を変えられないかって思い各地を転々とし旅をしている」

「ではグロウディス様は反逆者ということなのですか?」


 そう聞かれてグロウディスは俯き深い溜息をつく。


「言い方を変えればそうなるだろう。だが俺は現状の各国の方針を変えたいと思ってる。そのため革命派という組織を作った」


 なるほど……やっぱり何かありそうだ。


「革命派ですか? それはいったい……」

「シエルも気づいていたとは思うが。特にここ最近、城の貴族や城内の者たちの様子がおかしくなってきている」


 グロウディスはシエルから城の方へと視線を移した。


「そればかりか最近では各地で異変が起こり始めている」

「おかしくなった? そうなのか……でも色々な所をみて来たけど俺が見る限りだと普通だった」

「これが普通? 先程から気になってはいたが。ハクリュウお前は、この世界の人間じゃないな」


 そう問われ俺は返答にこまる。


「……この際ここで何もかも、ワタシが知り得ることを話した方がいいかもしれません。国王の命により、ハクリュウ様を異世界から召喚しました。そして国王様は……」


 ――昨晩夢をみた。それは、この世界の終わりの夢――


「……と言われワタシはその言葉を信じました。王は異世界の白き英雄を召喚し、そしてこの世界に異世界から召喚されるであろう黒き覇王と灰色の守護者と共に世界を救って欲しいと」


 そう言うとシエルは真剣な表情で俺をみている。


「そういう事か……そういえば仲間から聞いた話だが。確かグレイルーズで異世界の灰色の守護者らしき者と逢ったと連絡が入っていたな」


 そう言うとグロウディスは腕を組んだ。


「だとすれば、ブラックレギオンで異世界の黒き覇王が召喚されていてもおかしくない」

「そうなると俺以外にもこの世界に来てるヤツがいるかもしれないのか? どんな人物なんだ……覇王っていうぐらいだから相当、強いんだろうなぁ〜。守護者は、イメージ的に女性だよな。美人かなぁ」


 小声で俺は呟いていた。


「確か仲間の話だと、グレイルーズの異世界から来た者は子供みたいに可愛い女性らしい。それと特徴は……服のセンスと髪型が可愛いのと。喋り方が猫みたいに『にゃ』をつけて喋ると言っていたが」


 それを聞き俺は背筋に悪寒がはしる。それは、ある人物を思い出してしまったからだ。

 逢いたくないNo.1の相手を思わず連想してしまい、どっと疲れがでた。


 まさかな。いくら何でも……ここに、あのノエルが召喚されるって……いやあり得ない! ぜえぇぇーったいに、ありえねぇー!!

 それにアイツとプレイするのはいい。だが何時も、ペースを乱される。人の言う事は滅多に聞かないしな。

 あくまでも自分のペースを貫くヤツだ。でも……そういえばアイツは、いざと云う時だけ役に立ってたなぁ。


「そうなると今は、ブラックレギオンに行く方がいいかもしれませんね。そういえばグロウディス様は、これからどうなされるのですか?」

「そうだな……俺も一緒に行った方がいいだろう。仲間と合流して色々と話したいこともある。それに一緒の方が仲間も、お前達のことを疑わないだろう」


 そん方が確かにいい。


「それで良いと思います」

「ああ……俺も同じ意見だ」


 そしてその後、俺とシエルとグロウディスはブラックレギオン国にある革命派のアジトへ向かった。

読んで頂きありがとうございますo(^▽^)o


この辺はリメイク前と、そんなに変わってないねo(^_-)O

そして序章は、ここまでです!

次話からは第一章となります(*^ω^*)


では次話もよろしくお願いします(o^^o)

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