七十九話
命は十分な準備を終えて世田谷ダンジョン第十階層に挑む。パーティーはアイン、アヴァリス、ブラン、フラウ、バジレウス、十六夜でポータルに触れるとそこは一面の荒野であり身を隠せそうな遮蔽物は一切なく目の前には真紅のドラゴンが寝転がっている。
フレイムドラゴン
スキル
灼熱属性、ハイブレス、龍鱗
しかし、侵入者を察知すると直ぐに起き上がりバジレウスを優に超える巨躯が起き上がりチリチリと口元に火花が散る。
「アース・ウォール!」
瞬間、放たれた強烈なブレスに対して命は何層もの土壁を形成するがその威力を完全に殺し切る事は出来ず、遅れて放たれたバジレウスのブレスよって相殺される。威力を減衰させてやっと打ち消すことが出来るなんて火力が高すぎる。
自由に動かれてはたまったものではないと前衛のアイン、アヴァリス、十六夜を一斉にテレポートさせて攻撃させる。新たに防御貫通の指輪を手に入れた十六夜やアヴァリスの攻撃は高い物理耐性を有しているフレイムドラゴンにも通用しており熟練された剣閃の使い手であるアインの攻撃も物理耐性を貫くもので結構なダメージを与えられていると思ったが思った以上のダメージを与えられていない。
「これが龍鱗か」
成体のドラゴンが持つとされているスキルで高い物理耐性と魔法耐性を齎すスキルでドラゴンがタフな理由はこのスキルにあるとされておりこの龍鱗に加えて他に耐性スキルを有しているのだから並の攻撃ではダメージすら与えられないだろう。防御貫通のスキルを有する三体の攻撃でも大ダメージを与えるには至らなかったので長い戦いになりそうだ。
フレイムドラゴンもされるがままではなく強烈な尾撃で自分に襲い掛かるアイン達を薙ぎ払う。十六夜は当然の様に回避してすれ違いざまに切りつけておりアヴァリスは逆に尾に拳を叩き込んでいる。
大ダメージを与えられなくてもダメージを蓄積させることが重要であり攻撃を続ける。
「フリィー!」
長い詠唱を持ってフレイムドラゴンの頭上に雷雲が形成される。雷魔法の中でも上級魔法に属する魔法であり何条もの雷がフレイムドラゴンに降り注ぐ。
龍鱗に加えて高い魔法耐性を有するドラゴンにも有効であり忌々し気に首を振っており剣吞な瞳がフラウを睨んでいる。フラウほどの魔力であれば時間を掛ければドラゴンにもダメージを与えられるほどの魔法を行使できる。
命も魔力ステータスだけで言えばフラウと同じであるがフラウほど短時間で魔法を上級魔法を行使するのは難しい。
「グラビティ・ランス」
ダメージを与えるのではなくフレイムドラゴンの動きを封じる。かなりの量の魔力が込められた漆黒の槍を発射しフレイムドラゴンに突き刺す。自分の体に絶対の自信を持っているフレイムドラゴンは避けることをせずまともに受けておりその体に凄まじい重力が押しかかる。
「グラビティ・プリズン」
ダメ押しにと重力呪文を重ね掛けして更なる重力を押し付ける。もはや、自立できない位の重力に襲われてフレイムドラゴンは何とか翼をはためかせて強烈な灼熱が重力の檻を破壊するがそれでも押しかかっている重力は残っている。
「カタカタ」
「ギャ!」
「フン!」
絶好の好機と見た、三体が一斉に攻撃を加える。アヴァリスの腰に付けられている氷のベルトが輝き、アヴァリスの筋肉がかつてないほど肥大化し凄まじい筋肉から放たれる拳はまるで砲弾の様であり初めて大きなダメージを与える。
氷巨人のベルトのスキルである超金剛力で筋力を極大化させるスキル効果はアヴァリスに最適なものでその拳に氷河属性が付与されておりフレイムドラゴンの弱点を付いており思った以上のダメージを与えられている。
アヴァリスと十六夜も負けてはおらず神速のスキルによって途轍もない速度でフレイムドラゴンの間合いに入り込み、漆黒と雷を纏った剣閃がフレイムドラゴンの体を切り裂く。十六夜は居合と抜刀術、剣閃を重ね合わせた神速の斬撃によってアインの一閃に重なるように斬撃をお見舞いし十字の傷が痛々しく刻まれている。
「グォォ!」
度重なるダメージを与えられて動けずにいるフレイムドラゴンに向かってバジレウスの紅蓮が放たれる。流石のフレイムドラゴンもその一撃を受けたらただでは済まないと理解したのは無理矢理、重力を振り払って飛翔して紅蓮を回避する。
バジレウスの必殺の攻撃が回避され空中に漂うフレイムドラゴンを見て、空に飛ばれたままだとこちらとしても攻撃手段が乏しいので無理やりにでも地面に叩き落とさなけらばならない。
「追加召喚。ノワール」
「ジャ!」
追加召喚されたのは深刻なバットステータスを付与することが出来て空中戦闘もこなすことも出来るノワールであり戦いは第二幕を迎えることになる。




