第七十四話
確りと情報を得たので命が十分な準備を終わらせて世田谷ダンジョン九階層に挑んでいる。パーティーメンバーはアイン、アヴァリス、フラウ、バジレウス、シャイン、十六夜である。九階層は洞窟でありバジレウスは少し、手狭そうであるが動けるスペースはあるので問題なさそうだ。
深層だけあって魔素も濃く、生えている草も凄い品質であり那須に持って帰ってやろう。魔素が濃ければ濃いほどその場所にいるモンスターや鉱石や草などに魔力が多く内包し積極的に採取しておきたい所であるが深層には強敵が存在しており簡単にはいかない。
「早速、お出ましだな」
ヴァンパイアナイト
スキル
儀礼剣、血の武装、霧化
現れたのは貴族服の様な格好をした青白い肌の人型で情報通り吸血鬼の上位種であるヴァンパイアナイトで背中から蝙蝠の翼を生やして空中を駆けてこちらに向かってくる。迎撃するが自分の体を霧化させてダメージを受けないようにしており厄介な相手だ。
「フリィー」
霧化したとは言え、全てのダメージを無効化できるわけではないので空中を佇む霧化したヴァンパイアナイトをフラウの雷が地面へと叩きつける。しかし、大したダメージを受けていない様で平然とした様子で向かってくるヴァンパイアナイトをシャインが迎撃する。
血の武装で作られた儀礼剣とシャインの細剣がぶつかる。瞬間、シャインの光輪が輝き、体を神聖な光に包まれてヴァンパイアナイトを押し切る。恩寵のスキルを自身に付与した様で神聖さを感じる容姿とは裏腹のとてつもない猛攻を仕掛ける。
「ダークネス・チェーン」
シャインを援護するべく漆黒の鎖がヴァンパイアナイトを捕らえようとするのだがヴァンパイアナイトは体を霧化させて拘束されまいとして瞬時に移動して頭上からシャインに強烈な一撃を与える。
その間にアインが入り込みヴァンパイアナイトの一撃を完璧に受け流しており動きが止まった所をアヴァリスの強烈な一撃が叩き込まれて壁に叩きつけられる。
「グラビティ・ランス」
あれだけで仕留めたとは思っておらず命は容赦なく追撃の手を緩めなかったがヴァンパイアナイトは霧化してその攻撃を回避して滴る血が武器となり命目掛けて飛んでくる。それをアインが簡単に弾き落とすが槍は膨張し爆発しもしも、至近距離で爆発したらただでは済まなかっただろう。
吸血鬼は吸血という相手の体力を吸収して体力を回復するというスキルを有しているので長期戦となればこちらの方が不利なので早めに決着を付けておきたい。
「グラビティ・プリズン」
霧化しても逃れられないようにと広範囲に重力呪文を展開し目論見通りヴァンパイアナイトを重力の檻へと閉じ込める。逃れようとするが広範囲に展開されている檻からは逃れられそうになく完全に足の止まったヴァンパイアナイトに聖なる炎が降り注ぐ。
「ヤ!」
形成された炎は重力の檻を纏めて打ち壊さんばかりの破壊力を発揮して中に居るヴァンパイアナイトは一瞬で炎上し神聖属性と炎属性を有した聖なる炎がアンデットであるヴァンパイアナイトに特攻が入る。
吸血鬼として高い体力を有していたヴァンパイアナイトを一瞬で焼き尽くしてしまうのだから聖炎の火力が凄まじいのが分かる。今回はアンデットに対する特攻が入ったからというのもあるがそれを差し引いても凄まじい。
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
十六夜
鬼神
レベル15→16
「聖炎はバジレウスの紅蓮に比べたら消費は軽いけど結構、魔力を使うのには変わりないからな……」
指輪の魔力をシャインに供給する。一撃で魔力の殆どを消費するバジレウスの紅蓮に比べてシャインの聖炎は連発も可能なコスパの良い物であるがその威力に似合っただけの魔力は消費するので指輪から魔力を供給する。
止めを差すのにバジレウスに紅蓮を放たせようと思ったが魔力の消費が激しすぎるので断念した。ヴァンパイアナイトは結構、タフで霧化を連発してこちらの攻撃を無力化して来るのは厄介極まりない。
こんなのを倒していかなければボスに辿り着けないのは面倒である。
「カタカタ」
突如として道の先から巨大な炎球が飛来してきてアインが大楯で防ぐがあまりの威力にこのままでは命にダメージが行ってしまうと判断して即座に要塞のスキルをしてダメージを無効化する。アインをして完全には防ぎ切れない攻撃とは一体、どんな相手が放った者なのだろうか。
奥から現れるのは漆黒のローブに身を包んだ骸骨であり全身に魔力を迸らせて動物の頭蓋骨らしきものが取り付けられた杖を手にしており唯一の光である赤い瞳を怪しく輝かせている。
エルダーリッチ
スキル
禁呪、死霊魔法、時空魔法
「エルダーリッチ!?出てくるのはリッチの筈だろ!?」
大いなる知恵を持った死者が形を成すというリッチの中でも一際、修練を積み、古代と言えるほどの時間を生き続けた存在で下手なユニークモンスターよりも強大とされているモンスターで深層とはいえこれだけのモンスターが出てくるとは聞いていない。
一手間違えればそのまま死に直結してしまうレベルの強敵であり命はボスを相手するかの如き、覚悟を決める。




