第六十九話
新道寺に連絡をして情報部の実情を聞くと安城の言っていた通り、一週間に一度だけ部活に参加し情報を打ち込むと言うのはその通りであるがその管理も任されているので当番として一人は詰めておかなければならないという事で入部したら一週間に一度の参加と当番が義務付けられているらしい。
それでも他の部活に比べたら拘束時間がないに等しいので命は早速、新道寺に入部したいと言う話を伝えると新道寺は部長に連絡してくれて明日、部室に来て欲しいとのことであり命は良い所が見つかったなと思いながらベットで就寝する。
「ふぁ~、眠い……」
朝起きて必ずするのは珈琲を飲むことであり最近はブラックにハマっておりバトラーが作る挽きたての珈琲を飲んで一日を始める。探索者学校の制服はグレーのブレザーにネクタイであり学年によって色が変わる。一年生は赤、二年生は緑、三年生は青と別れておりネクタイの色でどの学年か見分けられる。
折角だからと久しぶりに登校することにして授業を受ける。情報部には昼休みに顔を出せばいいだろう。
「おっ、久しぶりに見るな」
「システム上、いつ来てもいいだろ?」
「そりゃ、そうだけどさ。折角の学校なんだから授業に出た方がいいだろ?」
宍戸のいう事は尤もであるがダンジョン探索をするのであれば普通に単位を与えると言う大学の様なシステムなので今もちらほらと人が居らずそういう宍戸も毎日、学校に通っているわけではない。学校側は必要最低限の授業に出てくればいいので気楽であり普通の学校の様な期末テストの様なものもこの学校にはない。
じゃあ、授業で何を教えるのかと言うとダンジョンで生きていくための知恵であり教師陣も現役の探索者や経験豊富な元探索者が多いのはそれが理由であり先人の知恵は何物にも勝る。命も出来るだけ授業には出たいが優先度的にはダンジョン探索の方が上である。
黙々と授業を受けて昼休みになると昼食を簡単に済ませて部活棟の一階にあるとのことで情報室の直ぐ近くにある。
「失礼します」
「どうぞ」
ノックすると男の声が聞こえてきて入ってみると情報部の部室というだけあって多くの資料やパソコンが並べられており一番奥の席に座っているのは眼鏡を掛けた知的な男でネクタイの色から三年生である事が分かる。
「こんにちは。話は新道寺くんから聞いているよ。情報部部長の涼宮だ」
「どうも、時間を取らせてしまって申し訳ない……」
「気にしなくていいさ、こちらとしても新入部員は大歓迎だからね」
親しみやすそうな笑みを浮かべており知的な印象とは真逆な明るい人だ。席に座るように促されて座ると腰の負担の少ない確りとした作りであり確りと使うべきところにお金を使っている。
「こちらからしたら大歓迎なんだが、戦闘系の部活じゃなくて良かったのかい?」
「ダンジョン探索を優先しているので、できるだけ拘束時間が少ない方が……」
「そういう事か!なら、うちはピッタリだと思うよ」
命のスカウト争奪戦は涼宮の耳にも入っており多くの部活が彼を入れたがっているのを知っているのでてっきり戦闘系の部活に入るんじゃないかと勝手に思っていたが理由を聞かされて納得する。
「新道寺くんから話は聞いていると思うけど部活動は週に一度のデータ入力と情報室の当番があって持ち回りでやっているから君にもやってもらうことになる」
「それくらいなら」
「それからダンジョン探索を良くしているって話だよね?」
「はい、そうです」
「なら、出来ればで良いんだけどダンジョンで戦ったモンスターの情報を出来るだけでいいから纏めてくれると有難い」
情報部はネットや生徒達に協力してもらって情報を入力しておりどちらかと言うとステータスが恵まれないものが多く、戦える人の生の声は貴重であり出来れば確保したいと言うのが情報部の部長としての涼宮の本音だった。
「手書きで良かったら纏めたのがありますけど」
「それは有難い!できればコピーを取らせて欲しいんだが」
「それは構いませんけど……」
見るからにテンションが高くなっておりアイテムボックスに入れていた本を手渡すと嬉しそうに受け取っている。自分が後で見て楽しむ用に書いていたものが誰かの役に立つことになるなんて思いもしなかった。
涼宮が入部届の紙を持ってきてくれてそれを記入すると判を押してくれてこれで正式に命は情報部の部員という事になりこれで面倒だった勧誘から解放されると考えると肩の荷が下りる。
「それじゃあ、当番の件なんだけど……」
そういって涼宮は命に情報部の詳しい活動について説明してくれており命は出来るだけダンジョン探索を優先したいので当番を金曜日にしてもらうことにして集めた情報をデータ入力するのは土曜日にやるという話なので比較的楽ではある。
情報部はあまり部員との交流もないので気が楽であり新道寺も他の部活とは違うこういう所がいいと思って所属しているのだろうと思い、本当にいい部活だなと教えてくれた安城に改めて礼を言わなければならない。




