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現代ダンジョン サモナーが行く  作者: 金林檎


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六十三話

 文化祭二日目であり一日目に一通り出店を周ったので今日はクラスの出し物を見ることにする。まぁ、一緒に回る相手も居ないのでゆっくり文化祭を堪能しよう。


「随分、数があるな……」


 手渡された冊子にクラスの出し物がずらりと書かれており文化祭の定番と言えるお化け屋敷やメイド喫茶などかなり気合を入れており体育館ではバンド部や吹奏楽部が演奏会をすると書かれておりそれを見ようかなと考えながら友人のやっている出し物を中心に回っていく。


「お帰りなさいませ!ご主人様!」


 かなり気合の入ったメイド服を纏った女子生徒が迎えてくれて席へと案内する。流石に場違いだと思いながらも飯のクオリティが高いと言う話を聞いたので適当にオムライスを注文してセットの珈琲が出されて口にすると文化祭クオリティではなく確りとしたものであった。


 意外にあたりだなと思いながら珈琲を飲みながらオムライスが来るのを待つ。メイド喫茶とは言え、秋葉原にあるような見るからに客に媚びたものではない様で内容も確りとしたものであり落ち着いた雰囲気だ。


「お待たせしました!特製オムライスです!」


 シンプルなオムライスが出されて見た目だけでも美味しそうでありスプーンを手に取って一口食べてみるとケチャップの味がしっかりしたオムライスであり学生の出来とは思えない美味しさであり結構な腕前だ。


 適当に入ったが思った以上の大当たりであり宍戸達にも共有しておこう。宍戸や樋口など部活に所属している者は出店を出しており暇になるのが三日目であり大変な思いをしているであろう彼らの代わりに良さげな店を探しておくのも命の仕事だ。


 メイド喫茶から出て、腹が膨れたのでアトラクション系を探そうとパンフレットを見ながら散策する。気になるのは魔法お化け屋敷があるがジェラシックパークも気になる所でありどちらにしようかと悩みながら練り歩いていると人気なのか結構、対亀裂が出来ている。


「結構、本格的なんだな」


 和風な感じのお化け屋敷であり叫び声が聞こえてきて結構、スリリングらしい。待つほどではないのでスルーして人が空いたらまた来ようかなと思いながらジェラシックパークへと向かう。


 幸い、人は空いており入ってみると中はジャングルを模しており気合の入った造形の恐竜達が出迎えてくれる。結構なクオリティの高さでありただ、一周するだけのアトラクションなのだが子供騙しではなく気合の入った作りとなっている。


 こういうのが好きそうな宍戸は興奮するだろうし気に入るだろう。一人で見るよりも複数人で見た方が楽しそうなアトラクションだ。


「大分、時間が潰せたな。そろそろ体育館に行くか」


 体育館での演奏会の時間が近づいており早くしないと席が埋まってしまう。別に立ち見でもいいが出来れば座って鑑賞したい。


 会場は演奏会の前に劇をやっている様で命は適当な椅子に座って劇を見る。題目は探索者学校らしく高名な探索者の話らしくダンジョン黎明期に活躍しその強さから英雄と言われたヴィクトール・ハルトの人生を演じている様である。


 探索者学校の演劇部はかなりの腕前だと評判であり素人目で見ても熱演である事は分かる。演奏会の前の暇つぶしに考えていたが結構、面白い。


「剣帝ヴィクトールか」


 アメリカの片田舎で生まれたヴィクトールはダンジョンが発生して今までの暮らしを捨てて鉄パイプ一本を手にダンジョンに乗り込んでたった一人でボスを打ち倒し伝説を築き上げた。それからアメリカ政府の支援を受けて幾つものダンジョンを踏破しアメリカに多くの魔石を送り巨万の富を築き上げて死ぬまで現役を貫いた。


 剣帝、不撓不屈の男、ミリオンダラーと多くの呼び名で呼ばれた偉大な探索者をアメリカ政府は国葬を持って厚く遇しヴィクトールの墓は今でも多くの人々が訪れてその恩恵を預かろうと拝んでいく探索者も多い。


 演劇部の演劇が終幕し多くの拍手が行われて少しの休憩時間の後に演奏会が始まる。


「あれ?どこかで見たことがあるような……」


 吹奏楽部の演奏の前にバンド部が演奏を始めて、その男子たちの顔に何処か見覚えがあるのだが思い出せない。無人島で命の作った拠点に入ろうとした者達であるのだがついぞ思い出すことは出来ずのほほんと演奏を聞いている。


 やはりレベルの高いものでありこれが無料で見られるのは結構、お得であり退屈さを感じさせない見事なものだ。バンド後の吹奏楽部の演奏も確りしたもので探索者学校の吹奏楽部は探索者の学校という事もありコンクールには参加しないのだがその実力はコンクールでも通用するものと聞いている。


 あっという間に演奏が終わって命も大満足であり体育館から出ると既に日が沈みかけている時間であり文化祭二日目が終わろうとしており多くの出店が閉店作業をしている。


「時間が流れるのは早いな……金倉は那須と明日から回るようだし俺はどうしようかな」


 一通り文化祭を満喫できたのでやることがなくなってしまいどうしたものかと考えていると一枚のビラが目に映る。生徒会が学校の協力の元、無人島で探索大会をやるとのことであり三日目に大きなイベントがあるとは聞いていたがこんなのだとは聞いていなかった。


「無人島って事は夏季演習みたいなのかな?」


 学校の人間だけでなく外部の人間も大募集していると言う話であり道行く人が明日が楽しみだなと話している。豪華賞品を用意していると書いており生徒会が主催するイベントだから賞品もかなりのものだろう。


 命は早速、申し込みをしておりもう少しで締め切る所だったらしく滑り込みセーフだった。聞けば昼頃から募集していたと言うのだからもっと早く申し込みをしておけばよかった。


 端末で聞くと宍戸や樋口達は既に申し込みを終えているといい命だけが知らなかった。まぁ、ギリギリ申し込みが出来たので恨み言は言わないことにしよう。もしも、申し込みが出来なかったら押しててくれなかった宍戸に地獄を見せていたが。


「明日に備えて早く寝るかな」


 軽めに夕食を済ませて早く眠る。端末に参加者に向けたお知らせが来ており参加者はグラウンドに集合とのことで朝食を簡単に済ませて会場へと向かう。


 グラウンドには転移陣らしき魔法陣が敷かれており会場には生徒だけでなく多くの探索者が居り、皆が装備を着ておりかなり物々しい雰囲気であるが楽しみと言った雰囲気であり物々しさが掻き消されている。


「皆さん、お集りいただき感謝します。イベント主催者の長船です」


 メガホンを持って現れたのは生徒会長の長船であり後ろには生徒会メンバーが控えている。ざわざわと騒がしかった会場が静まり返り長船の言葉を聞いている。これだけの人数の注目を一瞬で集めるとは大したものであり。


「今回のイベントは無人島での宝探しです。端末に情報を転送しましたので詳しい説明はそちらでご覧ください」


 端末にイベントの情報が送られてくる。無人島には大小様々なお宝が置かれておりそれを多く集めたものが優勝となる。しかし、そう簡単にお宝は手に入らずランクの高いお宝にはガーディアンと言われるモンスターがお宝を守護しておりガーディアンを倒さなければお宝が手に入らないようになっている。


 モンスターを倒して高ランクのお宝を手に入れるかガーディアンが守っていないお宝を多く手にするか戦略性が試されるものである。無人島には草原、海岸、森、高地と4つのエリアに分かれておりエリアにはボスが存在しておりエリアボスは相応のお宝を持っているらしい。


「情報を読み込めた様ですので早速、始めさせていただきます」


 長船が指を鳴らすと地面の転移陣が輝き、一斉に転移される。視界が開けた先は深い森の中であり命は瞬時に召喚魔法を行使して移動を優先したブラン、フォボス、フラウ、ノワール、シャイン、フローガを召喚して即座に行動する。


「このイベントは早い者勝ち!急ぐぞ!」


 お宝は魔力を帯びていると言う事であり命は魔力感知を広く展開してフローガに騎乗して森の中を疾走する。向かってくるモンスターは大したことないモンスターばかりなので簡単に一蹴しながら魔力感知で察知したお宝を召喚モンスターに命じて回収させる。


 お宝は予想通り魔石であり最低ランクでもCランク魔石であり売れば結構な値段になり探索者にとっては下手な装備よりも有難いものだろう。フローガに騎乗しながらお宝を集めて結構な量を手に入れることが出来たのでそろそろ森から出ようかなと考えていると殺気を感じる。


「ヒーン!」


 飛来してきた岩をフローガは高く跳んで回避しており背の高い立派な木からドスンと地面を揺らしながらモンスターが降り立つ。全身が毛むくじゃらでオラウータンの様に長い手足を持った猿のモンスターであり纏う魔力から尋常ではない。


 エイプロード

 スキル

 金剛力、投擲、超打撃


「エリアボスか……倒す気では居たがこんなにも早く遭遇するとは」


 エイプロードは地面から土を掘りだして高い筋力でそれを押し固めて岩の様にしてこちらに投擲して来る。腕の長さを利用して砲弾のように飛来する岩は命は目掛けて放たれておりフローガが回避してくれるが連続して放たれる岩を回避しきれない。


 命は演算を済ませて転移魔法を発動し岩を避けてエイプロードの頭上へとフローガごと躍り出る。ついでに重力魔法でフローガに鎧を纏わせて重量まして思いっきり踏みつけようとする。


 エイプロードはそれを脅威と思って木々を伝って回避する。上手くいけば一撃で終わらせられたのに惜しい所であった。


「ヤ!」


「ジャ!」


 ノワールとシャインの巧みなコンビネーションにより木々を伝って移動するエイプロードを地面へと叩き落とす。落ちた先に待ち構えていたのは白刃を構える十六夜でありエイプロードの腕を切り裂き血を流させる。両断するつもりであったが上手く体を動かして刀の軌道を変えると言う器用な事をやってのけて重症を避ける。

 

「全く、一筋縄ではいかんな」

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