第五十八話
文化祭の準備もある程度、終わり手伝いは要らないと言われて命は那須の準備を手伝うことにして那須の工房に行くと那須は忙しそうに準備をしているが意外と纏まっており手伝いは要りそうにない。
「わ、私の所よりも莉音ちゃんの手伝いに行ってあげて」
那須の言葉に従って金倉の元に向かうと色々と頑張った痕跡があり見るからに散らかってしまっている。一体、何があったらこんな状態になるか不思議なくらいであり意外と不器用なのかもしれない。
「命くん。良い所に来たね!」
手伝わせる気、満々な様子で頼まれなくても手伝うつもりではあったがこれを片付けるとなると大変そうで仕方なくアイン、アヴァリス、バトラーを召喚して手伝ってもらう。人手が増えて随分と楽になりあっという間に片づけ終わって金倉の注文通り物を配置する。
「いやぁ、助かったよ!昔から模様替えとか超苦手なんだよねー」
「だろうな」
あの様子を見せられたら嫌でも分かる。命が来ていなかったらどうするつもりだったのだろう。謎は尽きないが部屋のセンス自体は確かなものでこれならば人を招いても問題ないだろうという事は素人目でも分かる。
金倉は文化祭で作った武器の販売をするようであり金倉ほどの実力であれば客がひっきりなしだろうが金倉の数少ない弱点としてその実力に似合った知名度がないというものがあり命も偶然、金倉の装備を手にしなければ出会えなったことを考えると厳しいと思う。
「ちっちー、私には秘策があるんだよ」
工房で待っているだけでなく人が多い校門の前で作った武器の試し斬りをするのを見せると言う。それならば武器の性能を十分に見せられるので知名度の低さも関係ない。見せられれば金倉の装備の凄さも分かるのでいい考えと言えるだろう。
「命くんの所は?」
「魔石展示会だって」
「へー、意外とよさげじゃん」
金倉の手伝いも終わったし時間が出来てしまった。これからダンジョンに潜るには微妙な時間なので今日は寮に戻って休むことにして明日の朝一からダンジョンに潜るとしよう。
確りと休息を取って命は世田谷ダンジョンへと向かう。六階層は雪原でウェンディゴとの戦いの経験から環境に応じた装備を用意しており装備の上に防寒着を着ており靴は雪原でも歩きやすいものにしており金倉が直ぐに拵えてくれた。
「流石にウェンディゴレベルのモンスターは居ないだろうけど警戒しないとな」
レアなフィールド生成スキルを有している化物が居るとは思わないが警戒しておくに越したことはなく進んでいく。六階層に生息しているモンスターはホワイトウルフにスノーゴーレムなど雪原に適応したモンスターばかりであり厄介には違いない。
今回のパーティーはアイン、アヴァリス、ブラン、ノワール、バトラー、ロイドで三段階目のクラスチェンジが出ていないモンスターが中心で時計塔ダンジョンでは流石に出せなかったがここならばレベルを上げられるだろうと考えての事だ。
「……にしても寒いな」
吹雪が吹き荒び、ノクトビジョンを使わなければ何も見えない過酷な環境であり確りと装備を整えて良かったと思う。エンチャントに加えて体温を高めるポーションを飲んでいるのだが、それでも寒く感じるほどの気温でありちゃんと準備していなかったらと考えるとゾッとする。
「来たか」
雪原をかなりの速度で移動するモンスターが居り、こちらに向かってきている。こっちは移動するのも大変だと言うのにスイスイと雪原を駆けており戦闘態勢を取る。数からして十体は超えており面倒そうな相手だ。
ホワイトウルフ
スキル
氷属性、疾走、嚙みつき
現れたのはホワイトウルフの群れでありこちらに向かって物凄い速度で駆けてきてロイドがそれを向かい撃つ。体格はロイドの方が上であり獅子吼によって広範囲にスタンを付与して止まっている所をバトラーの矢が射抜いていきアイン、アヴァリスもホワイトウルフをあっという間に処理していく。
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
バトラー
オートマトン
レベル10→11
ノワール
デーモン
レベル13→14
ロイド
モーントレーヴェ
レベル9→10
結構な経験値でアイン達がレベルアップするには至らなかったがバトラー達にとってはかなりの経験値でレベル上げの効率がいいと見ていいだろう。ドロップアイテムも魔石だけでなく毛皮も落としており美味しい。
「バトラー達のレベル上げには最適だな」
アイン達からしたら少し、物足りない強さであるがバトラー達にとっては強敵であり今回はバトラー達を中心に戦わせて経験値を稼ぐことにしよう。目指せクラスチェンジでありこのレベル効率ならば直ぐにクラスチェンジ出来ると思う。
そうこうしている内にホワイトウルフとスノーゴーレムがこちらに向かっておりロイドの獅子吼によってスタンさせてノワールの呪言によって様々なバットステータスを与えて見るからに動きが悪くなっている。
その隙を逃さずにロイドとノワールが一斉に攻撃し二匹の間を縫うようにバトラーが弓で援護し向かってくるホワイトウルフを槍で貫いており多腕を器用に使っており命だったら頭がパンクしそうであるがバトラーはそんな様子はなく自由自在に操っている
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
バトラー
オートマトン
レベル11→12
ノワール
デーモン
レベル14→15
ロイド
モーントレーヴェ
レベル10→11
「本当、凄い経験値効率だな」
結構な数のモンスターを倒しているとはいえかなりの経験値効率でこの様子ならばボスに辿り着く前にクラスチェンジしそうな勢いでアインとアヴァリスは命の護衛として側に控えておりブランはこの吹雪の中、空でバトラー達を見守っており何時でも介入できるように控えている。
アヴァリスは雷光の指輪で瞬時に移動できるしアインも命が空間魔法で飛ばせば直ぐに戦列に参加できるのでユニークモンスターが現れても問題ない。ボスがユニークモンスターなのは多く目撃されているが道中でユニークモンスターが現れると言うのはあまり聞かない話だが警戒しておいて損はない。
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
バトラー
オートマトン
レベル12→15
ノワール
デーモン
レベル15→18
ロイド
モーントレーヴェ
レベル11→14
「随分、進んだな。ちょっと休憩しよう」
アヴァリス達に雪を集めさせてかまくらを作りその中に避難する。吹雪に晒されることないのでゆっくりできる。バトラーに火を熾してもらい体を温める為に珈琲を淹れてもらう。アヴァリスの筋力で押し固められたかまくらはかなりの密度であり中で火を熾しても問題なくかなり居住性がいい。
湯が沸かしている横で持ってきていた弁当を取り出す。少し、冷めてしまっているがバックパックの中で保温していたので十分美味しそうでありバトラーが前日から仕込んでくれたものであり冷えた体が芯から温まる。
「流石に過酷過ぎるだろ」
階層毎に環境が大きく変わるのが世田谷ダンジョンの特徴であるが火山地帯、坑道ときて雪原とはあまりに変わり過ぎで確りと情報を収集していて正解だった。バトラーが湧いた湯で珈琲を淹れてくれて口にすると簡易的なものだというのに豆から挽いたような味わいであり料理スキルの偉大さが分かる。
自慢したいくらいだがモンスターが作った料理と懐疑的な目で見られるのは目に見えているので命が独占しても問題ないだろう。出先でこれだけの料理を食べられるのは料理スキルを持っているバトラーのお陰でありあの時、料理スキルを選んでおいて正解だった。
「バトラー達のレベルアップも順調だしもう少し、レベル上げをしてからボスに挑むかな」
三段階目のクラスチェンジは今までのクラスチェンジとは大きく異なる程の成長ぶりでありバジレウスが最たる例であり三段階クラスチェンジをしているかしていないかが大きな違いでありバトラー達も良い戦力になってくれるだろう。
珈琲も飲み終えて体が温まった所でかまくらの中から出てレベル上げを再開する。
バトラー
オートマトン
レベル15→20
スキル
槍術→上級槍術、弓術→上級弓術
《クラスチェンジ条件が満たされました。クラスチェンジ先を選択してください》
ノワール
デーモン
レベル18→20
スキル
土属性→大地属性、風属性→雷属性
《クラスチェンジ条件が満たされました。クラスチェンジ先を選択してください》
ロイド
モーントレーヴェ
レベル14→20
スキル
闇属性→暗黒属性、光属性→神聖属性
《クラスチェンジ条件が満たされました。クラスチェンジ先を選択してください》
夥しい量の死体の山の中、一気に三体のクラスチェンジが可能となった。それが可能になるくらいのモンスターを倒しており解体して魔石を取り出すのもかなりの手間であり放置しておきたい気持ちもあるのだが魔石を放置しておくとモンスターがそれを食らい更に強くなり個体によってはユニークモンスターになるという研究結果が出されておりダンジョンで魔石を放置すると厳しい処罰が下る。
そんな事よりもクラスチェンジであり魔石を取りながらであるがステータス画面を操作する。
ガラテアNew!
ステータス
筋力B
体力B
敏捷B
魔力B
スキル
彫刻、物理耐性
アークデーモンNew!
ステータス
筋力A
体力B
敏捷B
魔力A
スキル
呪言→呪詛、浮遊→飛翔、魔力吸収→吸魔
ルナレーヴェNew!
ステータス
筋力A
体力B
敏捷A
魔力B
スキル
空間属性、魔法耐性
「圧巻だな」
ガラテアへとクラスチェンジしたバトラーは中性的だった容姿が女性的なものへと変わり腕も戻せるようになったので普通に見たら人間と見間違うほどでアークデーモンになったノワールは角が捻じれて凶悪さが増しており肌の色も血を思わせるような真っ赤なものとなっている。
一番変わったのがロイドで体毛が白銀に変わり目の色も銀色をしており雪景色に溶け込むようであり新たに空間属性を手に入れたのか少し、浮いており神秘さが増している。
「早速、実力を見せてもらおうか」




