第五十四話
「ふふふ、充実した時間だったよ」
『大魔法使いのローブ』ランクA
防御力60 耐久度50
スキル
空間魔法、並列魔法、灼熱魔法
『大魔法使いの弓』
攻撃力60 耐久度50
スキル
空間魔法、並列魔法、灼熱魔法
『老死霊魔法使いの杖』ランクA
攻撃力60 耐久度50
スキル
死霊魔法、禁呪、魔力制御
『雪精霊の細剣』ランクA
攻撃力60 耐久度50
スキル
銀世界、氷河魔法、金剛力
『二頭狼の革鎧』ランクA
防御力60 耐久度50
スキル
暗黒魔法、毒無効、頑強
「凄い数だな……」
「頑張りましたので!」
ガッツポーズを取って笑顔を見せる。どれもが一級品でありたった一日で作り出せる量ではないのだが、修行の旅で鍛えられたのは本当だったらしい。特に老死霊魔法使いの杖は凄まじいオーラを発しており手にするだけで呪われそうな威圧感を発している。
「いやー、この子は大分、曲者だったよ。一番時間が掛かったんじゃないかな?」
金倉は杖を持って頬擦りしており呪われそうな見た目と快活な金倉のギャップが凄まじい。これ以外にも細かい装備を作ってくれており命は金倉と協力して召喚モンスター達の装備替えを行い、二人掛かりとは言えかなりの時間を要して一番時間が掛かったのはアヴァリスの着付けだった。
まず、装備していた重鎧を外さなければならないので命と金倉だけでは難しかったのでアインにも手伝ってもらって重鎧を外し革鎧を装備させるのは簡単に終わった。
「使わなくなった装備はいつも通りオークションに出すで良い?」
「あぁ、金倉の好きにしてくれていい」
使わなかった装備はオークションに売り出してそれによって得られた金は製作者である金倉が六割で残りの四割を命が貰うという事になっている。金倉の装備は使っている命が太鼓判を押すくらい性能がいい物なのでとんでもない値段になるが欲するものは多いだろう。
少し前に売り出したものは金倉の仕事道具を一新しても余るくらいの売り上げとなりAランク装備であればかなりの値段になることは疑いない。
「夏休みもそろそろ終わりだねー」
「金倉はちゃんと宿題は終わらせたのか?」
「もち!師匠がその辺、厳しいからね。修行の合間に終わらせてるよ」
面倒臭いと放置していそうなのに以外で命も速めに終わらせており英国に行く前には終わらせており探索者コースの生徒は夏休み期間中にダンジョンに潜り、魔石を提出するという宿題があり命は既に学校に送っており問題なく済ませている。
宍戸は座学の宿題が終わっていないと嘆いており手伝ってくれという連絡が来ていたが本人の為にならないと丁重に断った。遊んでばかりいたツケが回ってたのだ。
「夏休みが終わったら文化祭だね。そういえば命くんは部活に入ってたっけ?」
「いや、ダンジョン探索に集中したいから入ってないよ」
文化祭は体育祭に並んで大きなイベントでありクラスや部活ごとに出し物をして多くの客をもてなすと言うものでありそれで得られた収益は部費になるので多くの部活が気合を入れる。因みに部活動が出店をするのがほとんどなのでクラスの出し物は劇や展示と言ったものが多いらしい。
体育祭は探索者の行事ならば文化祭は生産職の為のものといってよく自分の作品を外部の人間に見せる少ない機会であり部活動に負けない気合の入れようで金倉も二学期が始まったら忙しくなるらしい。
「問題は香蓮ちゃんだよねー」
「まぁ、あの性格では接客なんて無理だろうしな」
一流の腕を有している那須であるが人見知りが激しく命も慣れてもらうのにかなり時間が掛かり彼女が開発した新ポーションの売り込みにも同行した位であり那須の開発ポーションは飛ぶように売れておりそれを求めて文化祭ではきっと長蛇の列が築かれるだろう。
「クラスの出し物次第だけど手伝いに行こうか……」
「それがいいと思う。私も人が捌けたら手伝いに行くつもりだし」
そうしないと絶対、大変なことになるのが目に見えている。二学期が始まっても退屈しなさそうである。問題はクラスの出し物であり面倒な者でなければいいのだが。
命は工房から出て金倉と別れてポータルに触れて地元の出雲に戻る。家に戻ると見慣れない女物の靴が置かれており居間の方が騒がしい。
「あら、お帰り。そうそう、ゆうちゃんが来てるわよ!」
「ゆうちゃん?」
「あら、忘れちゃったの?はす向かいに住んでた立花さん所の夕陽ちゃんよ!」
「ど、どうも……」
母親の向かいに小柄な体格の美少女が座っており長い黒髪を三つ編みで結んでいるが野暮ったい印象は持たず可愛い系の子で昔、見た地味な瓶底眼鏡の事はえらい違いであり一瞬、誰だか分からなかった。
「いらっしゃい、立花さん。これ、英国土産だから良かったら食べて」
「ありがとうございます」
「あら!テレビでやってたお店の所じゃないの!直ぐにお茶淹れるわ!」
るんるんと鼻歌を歌いながら台所に行き、命は荷物を下ろそうと部屋に戻ろうとすると立花に呼び止められる。
「命さん、探索者学校に通ってるんですよね?」
「そうだけど」
「あの!ダンジョン探索について教えて欲しいんです!」
「はい?」
彼女は出雲市内の高校に通っており高校生になったことで多くの友人が探索者になるようになり彼女自身はそのつもりはなかったのだが探索者になれば内申点にも影響が出ると説得されて泣く泣く探索者になることになったが彼女の職業が問題だった。
「サモナーか。俺以外で始めて見るな」
「知らない職業だからって誰もパーティーに入れてくれなくて……そんな時、探索者学校の体育祭で命さんの活躍を見て自分もこんな風に戦えたらって」
自分の活躍を見てくれた人も居ると喜ぶ半面、サモナーという職業は命が証明しているように成長すれば十分、ダンジョン探索をやっていけるだろうにこの様子ではかなり困っている様子だった。
「一応、ステータスとスキルを見せてもらっても?」
「はい、これです」
立花夕陽
ステータス
筋力D
体力C
敏捷D
魔力B
スキル
召喚魔法、指揮、弓術
「ステータスやスキルを見る限り、そんなに困るとは思わないけど……召喚モンスターは?」
「ウッドゴーレムとゴブリンです」
「壁役と近接役、それに後衛か……バランスは悪くない」
命の様に初めから魔法が使えるわけではないが弓で後衛を務めることが出来ていいバランスであり困っていると言うよりかは伸び悩んでいるのだろう。
「一応、配信をやってて色々と意見を貰っているんですけどあまり実行できなくて」
「今時って感じだな。配信ドローンって結構な値段がするって話だけど」
「友達のおさがりなんです」
ダンジョン探索配信というのが流行っており彼女も例に漏れずにやっている様で配信者をやるには初期費用が多くかかると言う話だがそれなら納得だ。配信も別に悪いことではなく緊急時に誰かに助けを求めることが出来て救助がスムーズに進んだりといい面もある。
「だったら一緒にダンジョンに潜ってみる?」
「え!いいんですか?」
「夏休みが終わるまでの短い時間だけだけどね」
「ありがとうございます!」
大げさに深々とお辞儀をする。流石に顔見知りをダンジョンで失うのは後味が悪いので面倒を見ることにする。早速、召喚モンスターのステータスやスキル構成を聞いていき方針を決めていく。
「あらあら、仲良しねー」
いつの間にか帰ってきた母親がそう揶揄いながらお茶を置いていって出ていく。少し気恥ずかしそうにしている立花であるが命の話を真剣に聞いており命は幾つか装備を提供することにする。
「そんな!悪いですよ!」
「昔、使ってたお古だけどね。ちょっとサイズが大きいから調整しないと……」
「えっと、話聞いてます?」
がさごそとアタッシュケースの中を探しておりこんな事ならば売りに出さなければ良かったと思いながら昔使っていた装備を引っ張り出す。
「割と真剣にね。いくら盾役が居ても防具の良さで生存率が段違いなんだ。納得できないかもだけど一緒に潜るんだったら指示に従ってもらうよ」
「わ、分かりました……絶対、お返ししますから!」
「倉庫の肥やしになってた奴だから別に貰ってくれていいけど」
「そういう訳にはいきません!」
意外と真面目な様で命はこれまでの立花の戦い方を見る為に過去の配信アーカイブを見せてもらうことにする。以外にも登録者は千人を超えており配信者としてはかなりのものだろう。コメントも頻繁にされておりされているアドバイスも的確なものだった。
「うん、堅実だね。数の利を生かした戦い方をしてる」
「そんなにじっくり見られると恥ずかしいです……」
盾役のウッドゴーレムが鈍重な動きながらも確りと敵の動きを食い止めておりゴブリンも軽快な動きで前衛をこなしてアヴァリスとは違い投石を多用している様で遊撃役として活躍し立花の弓もかなりの腕前であり味方を援護するだけでなくモンスターを仕留めるとどめ役としても機能しており堅実に探索をこなしている。
この調子で成長していけば命の助力がなくとも十分にやっていけるだけのポテンシャルはあると思うがこうして頼まれたのだから全力を挙げて協力しよう。
「二体召喚できてるって事は意外と召喚魔法のレベルが高いんだね。ダンジョンはやっぱり出雲ダンジョン?」
「はい。家も近いですし加護もありますから」
「初心者にとって心強いよね」
出雲ダンジョンが盛況な理由はやはり死に戻りの加護にあり話によれば何度かそれの恩恵を受けたことがあるとのことでモンスターの群れに襲われて対処しきれずにとのことでありフルパーティーが揃わなければサモナーとして真価が発揮できないから仕方ないだろう。
「じゃあ、明日にでもダンジョンに潜ろう」
「良いんですか?帰ってきたばっかりじゃ……」
「一日休めば問題ないさ。それに出雲ダンジョンに潜ろう思っていた所だしね」
そういって命は立花と明日のダンジョン探索の打ち合わせを入念に行い、結局、夕食を一緒に摂るくらい時間が掛かり立花を家まで送り届ける。




