第五十話
「ランク不明?そんなの見たことないぞ」
アイテムや装備の最高位はLでありその下がSでランク不明など見たこともなくスキルも見覚えのないものであった。詳しく見て見なければと鑑定で詳しいスキル情報を表示させる。
【上限解放】
スキルの上限を解放させる。
【魔力貯蓄】
魔力を蓄える。現在0%。
上限解放はスキルの上限を解放させると言うもので表示されたステータス画面で上限解放に触れると上限解放出来るスキルがずらりと並んでおりよくよく考えて選択しなければならず試しに召喚魔法を上限解放してみたらどうなるかと試してみたら。
【召喚魔法】
魔力を消費してモンスターを召喚し使役することが出来る。最大召喚数六体。
「は?」
パーティーの上限を五体から六体までにするというサモナーにとって無視できるものではなく召喚モンスターがもう一体召喚できることがどれだけ戦況に大きく作用するか追加召喚を見れば明らかであり命は迷うことなく召喚魔法を上限解放する。
指輪の宝石が煌めき、スキル画面を確認したら最大召喚数が六体に変わっており今にも試してみたいが流石のこの場で召喚モンスターを召喚するわけにはいかない。
「その顔を見る限り、掘り出し物であったようだね」
「幸運でしたね」
「えぇ、全く」
上限解放に目を取られがちであるが魔力貯蓄は魔力を貯蔵出来る様で貯めておけば戦闘時に魔力が切れた際のマナタンクになる代物で試しに魔力を込めてみたが命の魔力量をして完全には貯め切らずかなりの量の魔力を貯蔵出来る様で絶対に手放せない代物だ。
「いいなー、俺も掘り出し物を見つけたいぜ」
「私も欲しいけど流石にお金が……」
「良かったら気に入った物を買ってあげよう」
「良いんすか!」
「そんな、悪いですよ……」
「子供が遠慮するもんじゃない!」
あまりに太っ腹な提案で宍戸は大興奮で何かいいのが出ないかなーと会場を凝視しており申し訳なさそうだった樋口もカタログを熱心に見つめており命は指輪を手に入れたのでこれ以上、欲張るのは良くないと思って遠慮した。
宍戸は戦獅子の重鎧を落札し樋口は天使のサークレットを落札した。2つともかなり注目を集めていた代物で落札するにはかなりの金銭が飛び交い二人ともあまりの高さに震えながら装備を受け取った。
「思ったよりも安く済んだな。琴乃は何かいらないのか?」
「いい。よさげなのなかったし」
かなりの大金を費やしながらも顔色1つ変えない。流石の資金力でありオークションの出資者をしているというのも納得でありどれだけの資産があるのか気になるが命程度では計り知れない数なのだろう。
結局、獅子王はオークションに出品される全てに興味を示さずマイペースにお菓子を食べているだけであり彼女の実力に似合うだけのアイテムは今回のオークションで出品されなかった。
オークションの最後に出品された世界樹の雫が最高値を更新した。あらゆる病魔を癒し、寿命すら伸ばすとされている最高位のポーションであるエクリサーの材料となるとても貴重なものでオークションにいる誰もが声を上げて会場が揺れるほどの熱気だった。
「エクリサーの素材ね。手に入れたとしてもそれを作れるだけの薬師がどれだけいるか」
「そう、エクリサーの素材は貴重ではあるが出回っていない訳ではない。それでもエクリサーが世に柳津していないのはそれを作れる錬金術師や薬師の絶対数が少ないからだ」
黄金の錬金術師 カリオストロ・サンマルクやエクリサーを死毒の龍門。エクリサーを作った実績のあるものは二人のみで世界中から依頼が殺到する二人にエクリサー製作の依頼を受けてもらうには数年先であろう。
それだけ彼女達の依頼は埋まってしまっておりエクリサーを制作するとなれば莫大な依頼料を請求されるだろう。獅子ギルドにもエクリサーの素材は有しておりカリオストロの依頼に既に依頼しており彼女が手が空くまで待っていると言うのが現状だ。
「さて、オークションも終わったことだし退散するとしますか」
多くの者が出ていく中、VIP席にいた命達はスムーズに外に出ることが出来てリムジンに乗せられる。指輪を手に入れてからずっと魔力を込め続けてそろそろ魔力が尽きそうになって残量を確認すると50%と書かれており命の全ての魔力を込めて50%ならば命が二人分の魔力が込められるという事でありこれからは魔力切れを気にすることなく戦えそうだ。
そして一日が過ぎて、宍戸は樋口と共に新しく手に入れた装備の感触を確かめる為に即席のパーティーを組んでダンジョンに潜るようで命も時計塔ダンジョンの二階層に挑むことにする。
「アークマジシャンレベルのモンスターが出るのは勘弁してほしいけど……」
一階層よりも強敵が現れるのは確かであり警戒して損はないだろう。今回から新たに召喚可能数が増えたので命は古参メンバーに加えてバジレウスを召喚して六体の召喚モンスターが並んでいることになる。
追加召喚も問題なくできる様で短時間であるが七体の召喚モンスターを使役できるようになった訳でとてつもない戦力が向上した。これでも過剰にならないのがAランクダンジョンであり気を抜けば命でも簡単にやられてしまう魔境だ。
「よし、行こう」
ポータルに触れて二階層へと転移する。二階層は一階層とあまり変わっていないように見えるが感じる魔力は一階層とは段違いで早速、モンスターが襲い掛かって来る。
ネクロマンサー
スキル
死霊魔法、魔力暴走、魔力制御
「一階層のボスと同じネクロマンサーが道中のモンスターに出てくるとは!」
流石にロートルレベルではなく使役しているアンデットも五体程であるがそれでも結構な量には変わりない。スケルトンを中心とした面子で全員が武装しており数の利を生かして連携して来る。
バジレウスのブレスは一団を襲い、ボス戦の様に弱点が克服させられている訳ではないのか見るからに動きが悪くなっているのでアインとアヴァリスが蹴散らしていく。フォボスがスケルトンの間を縫って駆け抜けていきネクロマンサーに攻撃する。
「キー」
対応しようとするネクロマンサーの動きをブランが止めて無防備となったネクロマンサーをフォボスが倒す。
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
バジレウス
ファイヤードレイク
レベル15→16
前回のボス戦の経験値が残っていたのかバジレウスのレベルが上がりクラスチェンジまでもう少しでこの階層をクリアする頃にはクラスチェンジが出来るかもしれない。バジレウスがクラスチェンジしたらバトラーやノワール達もレベルを上げてクラスチェンジさせたい。
ネクロマンサーの魔石を拾っていると休む暇もなくモンスターが襲い掛かって来る。
リッチ
スキル
灼熱魔法、氷河魔法、詠唱破棄
デーモン
スキル
暗黒魔法、呪言、魔法耐性
深くローブを纏っているスケルトンに邪悪な笑みを浮かべた悪魔。フラウが即座に神聖魔法を行使するがそれよりも早くリッチの灼熱の熱球が命に向けられて放たれてアインが間に入って防ぐ。翼をはためかせデーモンは高速で飛行し手に持っている三又槍を振るう。
アヴァリスは自慢の筋肉でその攻撃をものともせず単純な物理攻撃は通用しないと察したデーモンは呪言を発動させるがそれをブランが止める。バットステータスの中でも石化を発動させて翼を使えなくさせる。
「魔力暴走。テンペスト・ランス」
石化によって身動きが取れない所を魔力暴走によって威力が跳ね上がった嵐の槍がデーモンも体を貫き、デーモンを倒すことに成功してリッチがこちらに向かって氷河魔法を放ってくるがそれをバジレウスが迎撃する。
僅かな溜めで放つことのできるブレスは詠唱破棄で放たれる魔法にも即座に対応できる。フラウの魔法は確かに強力であるが詠唱による溜めが必要であり即座に魔法行使するのは難しい。
「フリィー」
バジレウスが詠唱の時間を稼いでくれたので重力魔法を放ち、リッチを拘束しようとする。しかし、狡猾なモンスターで灼熱魔法を重力魔法にぶつけて起動させて重力魔法を回避する。
そんな回避方法があるのかと感心しながらも手を緩めず命はリッチの左右に壁を作り出して押し潰そうとする。リッチは地面に氷を作り出してエレベーターの様に空中へと逃れるがそれをブランが待ち構えていて魔法を行使させる暇を与えず強力な爪撃をお見舞いし地面へと叩きつける。
「ギャ!」
地面に叩きつけられたリッチに止めを差したのはアヴァリスでリッチの顔面がとんでもないものになってしまっている。クラスチェンジして更に威力が増しており防御力を貫通するアヴァリスの拳は一撃一撃が必殺級の威力なのだ。
≪召喚モンスターのレベルがアップしました≫
バジレウス
ファイヤードレイク
レベル16→17
流石はAランクのモンスターで経験値が他とは比べ物にならない。この調子ならばボス戦に挑む前にバジレウスのクラスチェンジが出来るかもしれない。連続の戦闘で少し、疲れたが休憩するレベルではないのでこのまま進むことにする。
流石は二階層で一筋縄ではいかぬ相手ばかりで六体いることでかなり楽になっておりオークションで召喚王の指輪を手に入れられたのは僥倖だった。
「あれは?」
命の目の前に鎮座しているのはかつて戦ったトロールよりも巨大な人型で全身が白い毛で覆われた毛むくじゃらな外見であり少し間抜けな顔をしている。モコモコで如何にも強くなさそうに見えるのだが、周囲がざわついている。
『ウェンディゴが出たぞ!離れろ!巻き込まれるぞ!』
そんな声が聞こえて周囲の探索者がこの場から離れていき一体何事なのかとそう思いながら立ち立ち止まっているとウェンディゴと呼ばれたモンスターの顔が歪み狂気を帯びたものとなりその瞳に獰猛な殺意が宿る。腕を大きく広げて戦闘態勢を取る。
次の瞬間、視界が白銀に染まる。
「一体どうなってる!?」
視界がホワイトアウトして即座にノクトビジョンを使い、視界が開けると殺風景だったダンジョンが雪山の様に真っ白に染まり凍てつく吹雪が巻き起こっている。




