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現代ダンジョン サモナーが行く  作者: 金林檎


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第四十八話

 番号が呼ばれて大きな扉の前に立つと独りでに開き、命が中に入るとバタンと勢いよく仕舞っていく。当たり前であるが逃走は許されないという事でありボス部屋の地面には複雑な魔法陣が描かれておりその中央に立っているのは大きな髭を蓄えた老人で貫禄がある。


 ネクロマンサー・ロートル

 スキル

 死霊魔法、禁呪、魔力制御


 ロートルが杖を翳すと漆黒の魔法陣が展開されてそこからスケルトンやゾンビがうようよ現れる。よくよく鑑定してみればかなりの強さのアンデット達で数で言うと十体以上は存在しており即座にフォボスを送還してシャインを召喚する。


「フリィー!」


「ヤ!」


 フラウとシャインの神聖魔法がド派手に放たれ大きなダメージを食らうものの倒しきれては居らずスケルトン達の体を赤いオーラの様なものが纏っておりどんなスキルかは知らないが恐らく禁呪というスキルによって強化されていると見て間違いないだろう。


「フレイム・ストーム」


「グォォ!」


 アンデットの弱点は光や神聖属性だけでなく炎も弱点であり炎の渦とバジレウスの灼熱がアンデットを襲うもアンデットは大したダメージを負っていないようで進む足を止めない。


「炎が効いてない?どういう絡繰りだ……」


 弱点を克服させるスキルなど聞いたことがなく禁呪というスキルはそんなことまでやってのけてしまうのかと考えているとアインとアヴァリスが切り込んでいく。あの二匹をしてアンデットの群れを抜けるには時間が掛かるようでありその戦闘を詳しく観察する。


 やはり普通のアンデットとは違うようで倒したかと思ったら起き上がって攻撃してきたりとまるで不死身の様でありアインが剣閃を纏わせてゾンビの首を切ったら蘇ることなく行動不能になっている所から完全な不死身とはいえない。


「何か、絡繰りがある筈だ。いかにネクロマンサーとはいえこんなのをずっと続けられるわけがない」


 命は最後方でブツブツと呟きながら魔法を維持しているロートルを観察する。動物の頭蓋骨を首にかけており如何にもネクロマンサーと言った辛気臭い風貌でよくよく見てみると手から血が流れているのを見つけてそれを媒介にアンデットを強化しているのだと言うのが分かる。


 完璧な魔法は存在せずこれだけの無茶を続けるにはそれ相応の代償があって然るべき。


「アヴァリス!」


「ギャ!」


 命の指示の元、アヴァリスが雷光と共に最後方のロートルの元へと瞬間移動しその拳を振るう。しかし、それを阻んだのは真紅の瞳を輝かせ貴族服の様なものを纏った金髪のモンスターでアヴァリスの拳を片手で受け止めている。


吸血鬼ヴァンパイア!?そんなのまで隠し持ってたのか!」


 尖った牙に真紅の瞳。高位のアンデットである吸血鬼で凄まじい怪力に霧や蝙蝠へと姿を変える能力に血を吸った者を眷属にしてしまう凶悪なモンスターで纏っているオーラからロートルが強化しているのが分かりアヴァリスと激突する。


 前衛のアヴァリスを失ったことで戦線をアインとシャインが維持しておりフラウも魔法で援護しているがロートルによって強化されたアンデットは非常にタフでアインをして簡単には倒しきれていない。


「フラウ!シャイン!結界を!」


「フリィー!」


「ヤ!」


 モンスターを遠ざける対魔の結界。神聖魔法によって作り出された結界は広範囲に展開されて命の想定した通りアンデットの動きが明らかに悪くなっておりアインのアンデット討伐速度も増している。


 アンデットの最大の弱点である神聖魔法を克服させることは出来ないと踏んでいて結界を張ることで範囲内に居るアンデットを神聖魔法の効果を与えると言うものでロートルも強化を押し上げるがアインが振るう剣は死毒の刃で起き上がろうとするアンデットの体に毒が回り再生することなく倒れていく。


「道が見えてきたな」


 アンデットの数が少なくなってきておりロートルまで後少しであるがロートルは杖を振るいアンデットを追加して来る。あれだけのアンデットを召喚しておきながらまだ、召喚するとは流石はボスモンスターでありアヴァリスの方を見ると吸血鬼はアヴァリスとまともに肉弾戦を繰り広げており一歩も譲らぬ工房で雷撃を纏ったアヴァリスの攻撃を真紅の盾で防いている。


「アヴァリスがあいつに掛かりきりなのは辛いが抑えてくれていると思うか……」


 次々とアンデットが召喚されていき状況が覆されようとしているがこのままやられたままにはいかない。


「追加召喚。ブラン」


「キー!」


 これ以上、ロートルを好き放題させておくわけにはいかないのでアンデットの間を縫いながらブランが高速で飛行しロートルにバットステータスを付与していきアンデットを追加させる手を止めさせる。


「テンペスト・サイクロン+テンペスト・タイフーン」


 竜巻と台風が同時に出現しアンデットを巻き込んでいく。地面から空中へと飛ばされるアンデットに向かってバジレウスのブレスやフラウの雷魔法が追撃しアインは開かれた道を疾走しロートルに剣を振るう。


 しかし、それを受け止めたのは剣でロートルの前に首のない騎士が姿を現してアインの前に立ちふさがる。


「吸血鬼に続いてデュラハン!?どんだけ隠し持ってやがる!」


 吸血鬼と同じ上位のアンデットでありデュラハンを召喚した事で周囲のアンデットの姿が消えており吸血鬼とデュラハンを二体も召喚することは相当負担らしい。神聖魔法の結界の中でも動きが鈍っている様子はなくアインとまともに切りあっている。


 アンデットは状態異常に対して耐性を有している為、状態異常呪文は使えないのでどうしたものかと考えていると戦況が動き出す。


「カタカタ」


『……』


 剣閃を纏った攻撃も器用に回避しており実力は互角と言ったところであり単純な切り合いでは埒が明かない。アインの体が光で包まれて身体強化のスキルを使い、更に鋭い斬撃がデュラハンを襲い大きく後退させる。


「テンペスト・ランス+バリスタ!」


「フリィー!」


 ほとんど鍔迫り合いと言った状態だったので援護ができなったがアインから離れた今がチャンスであり命の嵐の槍が高速で発射されて回避しようとするデュラハンをフラウが重力魔法で地面に縫い付ける。


 回避できなかったのはデュラハンも神聖魔法による結界の影響を少なからず受けていたからでありロートルは慌ててデュラハンを強化するが力ずくで逃れられるようなものではなく地面に倒れるデュラハンをアインが剣で突き刺し劇毒がたっぷりと塗られた刃で再生することなく倒れる。


「後は吸血鬼だけだけど……」


 アヴァリスの方を見ると流石のアヴァリスもボロボロと言った状態であり対する吸血鬼はと言うとかなり消耗している様であるが全然、余裕な様子であり周囲に真紅の槍を幾つも浮かべており吸血鬼が用いる血の武装ブラット・ウェポンなのだろう。


 肉弾戦を得意とするアヴァリスであるが血の武装によって体力を奪われていき消耗しているという所でアインが吸血鬼の前に立ちふさがり強力なシールドバッシュで吸血鬼を弾き飛ばす。


「よくやってくれた」


「フリィー」


 血だらけであったアヴァリスをフラウが神聖魔法で回復させてアヴァリスの筋肉の張りが戻ってやられっぱなしではいられないと吸血鬼に向かっていく。


「あれだけアヴァリスに殴られておきながらあの状態か……流石吸血鬼、タフだな」


 吸血鬼は相手の血を奪うことで体力を回復するという特性に加えて吸血したものを脱力させる能力を有しておりアヴァリスがあれだけ血だらけだったのは吸血鬼に血を奪われていたからで普通はアヴァリスの拳を一撃でも受ければただでは済まないのだが多くの体力を有する吸血鬼はアヴァリスの攻撃を受けながらも体力が減った先から回復したようだ。


 しかし、今度の相手はアインであり血肉を持たないスケルトンで奪う血がないアインは吸血鬼にとって天敵と言える。


『キキキ』


 吸血鬼は血の槍をアインに一斉に放つが大楯で覆われたアインを傷つけることは出来ず吸血によって脱力しないアインは通常のポテンシャルのままじりじりと近づいていき煌めく刃が吸血鬼を襲い悲痛の叫びを上げてこの場から逃れようとする。


「ギャ」


 しかし、逃げた先に居たのはアヴァリスであり筋肉が肥大化しまるで丸太の様な図太い拳が放たれて今度こそ吸血鬼の息の根を止める。


 配下を全て失ってロートルは意気消沈といった様子であり地面に大量の血が流れていることから吸血鬼とデュラハンを強化するのにかなりの命を消費しているらしく瀕死と言った感じでアインがゆっくりと近づきその首を跳ねる。


≪レベルアップ!スキルレベルがアップしました召喚モンスターのレベルがアップしました≫


 柏崎命

 レベル16→17

 スキル

 炎魔法9→10、人魔一体10→11、統率12→13、無言詠唱6→8、詠唱破棄6→8、魔力制御2→3

 アイン

 デス・ジェネラル

 レベル7→8

 フラウ

 フェアリープリンセス

 レベル5→6

 アヴァリス

 オーガロード

 レベル5→6

 バジレウス

 ファイヤードレイク

 レベル12→15

 シャイン

 ドミニオン

 レベル13→11

 

『吸血鬼の指輪』ランクA

 攻撃力60 防御力60 耐久度50

 スキル

 吸血、血の武装、暗黒属性


『首無騎士のブレスレット』ランクA

 攻撃力60 防御力60 耐久度50

 スキル

 儀礼剣術、馬術、暗黒属性

 

 ロートルからドロップ品は魔石だけであったがあれだけのアンデットを使役するほどの魔力を持ったモンスターの魔石は手に入れれたので良しとしよう。それにしても一階層でこれだけのボスならばこれより先のモンスターは一体どれだけの強さなのだろう。


「恐ろしいが楽しみだな」


 恐怖を感じるがそれよりもまだ見ぬ、ダンジョンに挑んでみたいと言う思いが強く新たに思いを固めながら激戦を繰り広げたボス部屋から出ていく。これ以上進むのは流石に厳しいのでポータルに触れてロビーまで戻る。


 時間は日が完全に沈み、深夜に差し掛かろうとする時間でアドレナリンがドバドバ出ていて眠気など一切感じなかったが時間を確認するとどっと疲れが押し寄せてくる。


「よくぞ、ご無事でお戻りくださいました。さ、車を回していますので帰りましょう」


「……ありがとうございます」


 車に乗り込むと襲い来る睡魔に負けてしまい眠ってしまう。

 

「モンスターを連れてとはいえ単独で一階層を踏破するなんて……流石は琴乃様が選んだご友人ね」


 車を走りながら使用人は後部座席で眠ってしまう命をバックミラーで見ながら呟く。時計塔ダンジョンの一階層のボスはアンデットの圧倒的な物量に加えて強力な二体の上位アンデットが襲い掛かり英国を代表するパーティーでも敗北し徹底を余儀なくされるほど凶悪でボスをくりあしたものは数えられるくらいしかいないほど。


 かつて、信二やその妻 理恵と共にダンジョンを駆け抜けていた歴戦の探索者である財前雅は命を再評価する。強いと琴乃に聞いていたがこれほどまでも実力を有しているとは思ってもみなかった。


「もしかしたら坊ちゃんにも届きうるかもしれないわね」

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