第五話
ゴブリンロードからドロップしたDランクの魔石を売却すると5万円になり今までの探索の分と合わせると20万近くになりゴブリンロードのベルトがあるから防具はいいとして新しい階層に行くのに武器を新調したいと思い学校に併設されている武器屋に顔を出すことにする。
武器屋には多くの生徒が買い物をしており丁寧にショーケースに入れられて保管されておりどれもが一級品であるのが分かる物ばかりでその値段も相応。
「やっぱり高いな……もうちょっと、貯めてから来るべきだったか」
今の予算では買えないものばかりで来るのは早かったと思いながら店内を見渡しているといきなり価格が落ち、命でも手が出せそうなものが並んでおり一体、何が違うのかと見比べてみたが価格の高いものよりも劣っているとは思えなかった。
「それは契約している鍛冶師のものではなく生徒が作ったものなんですよ。出来は問題ないのですが如何せん、実績のない生徒のものですからお安くなっているのです」
ぴっしりとスーツを身に着けた店員が命に話しかけてくれる。探索者育成高校は戦闘職だけでなく生産職の者のサポートも行っており生産職専用の授業もしていると聞いたことがありネームプレートには製作者である生徒の名前が刻まれており店員の言う通り出来栄えが問題ないのならば迷うことはない。
「ご丁寧にありがとうございます」
「いえいえ、これが私の仕事ですので。ごゆっくりお選びください」
そう言って店員は丁寧にお辞儀をしてその場を後にする。そうと決まれば目的のものを見つける為に店内を隈なく見て回る。生徒の作品でも学年が上がることに値段が跳ね上がるので取り敢えず買うことが出来るのは一年生の作品でその中でも命に合いそうなものを厳選する。
「これが丁度いいな」
『岩蠍の杖』ランクE 製作者金倉莉音
攻撃力30 耐久度50
土属性を帯びた杖。土魔法の使用を助ける。
今持っている杖よりも性能が高いうえに命のメインウエポンである土魔法に特化した杖だというのだから買うしかない。持ってきた金の全てが消し飛んだが必要経費だと思おう。減った分はダンジョンでまた稼げばいいのだから。
こういう考えのものが多いから探索者の殆どは金欠なのだろうと思いながら今度は防具も買いたいなと思いながら武器屋を後にしようとすると入口の方に見覚えのある青年の姿がある。
「これとこれとこれ、全部寄こせ」
命が真っ先に諦めた高級品を無造作に買い漁っているのは小林であり何時ものように取り巻きを連れておらずたった一人で店員と話しており何時もの傲岸不遜な感じではなくピリピリとした切れる刃物のような雰囲気をしている。
あの様子だと彼もダンジョンに潜るのだろう。買った装備を早速装備しており足早に去っていく。
「サモン!」
「ギャギャ!」
アヴァリス
レベル1
ステータス
筋力E
体力E
敏捷E
魔力G
スキル
投石、打撃
強欲と名付けたゴブリンではっきり言ってステータスだけを見たらレベル1の頃のアインよりも弱いが先日のゴブリンロードの戦いぶりを見てあれだけのモンスターに成長するのではないかという期待を込めて新たなメンバーとして迎え入れたのだ。実力不足はアイン達、先達にカバーしてもらうとしてこれからの成長に期待だ。
ポータルで第二階層に入ると薄暗かった第一階層とは対照的で同じ炭鉱風の作りだが壁には幾つも松明が置かれており明りが確保されていてランタンをバックパックに仕舞う。
ブランが偵察役として先行ししばらく進んでいると何体かモンスターを連れてきて取り敢えず鑑定する。
コボルト
ステータス
???
スキル
棍棒、???
《スキルレベルがアップしました》
柏崎命
スキル
鑑定4→5
モンスターのステータスは分からなかったが一部のスキルは知ることが出来て鑑定のスキルも上がっている。戻ってきたブランを加えて戦闘態勢に入る。
「アース・バレット!」
相手はゴブリンよりも大きな犬面のモンスターで手には棍棒を持っており感じられる魔力からゴブリンよりもレベルが上で出し惜しみはしない。コボルトの行く手をアインが塞ぎ、シールドバッシュで弾かれたコボルトをブランとアヴァリスが追撃する。ブランは鋭い爪でアヴァリスは固く握られた拳でコボルトを攻撃しフラウはそんな二体を支援する。
《レベルアップ!召喚モンスターのレベルがアップしました》
柏崎命
レベル10→11
フラウ
レベル3→4
スキル
風魔法New!
アヴァリス
レベル1→2
思ったよりもアヴァリスの戦いぶりが満足いくもので相手の息の根が止まるまで攻撃を止めない凶暴性は評価に値する。命の指揮とフラウの支援があれば二階層のモンスターを相手でも戦えることが証明されてこのまま成長してもらおう。
「にしても風魔法か。俺も土魔法以外の魔法を覚えたら戦略の幅が広がるんだが……」
言っても仕方ないことでレベルアップで覚えられる事を祈りながらダンジョンを進んでいく。
《レベルアップ!スキルレベルがアップしました。召喚モンスターのレベルがアップしました》
柏崎命
レベル11→12
スキル
連携7→8、指揮6→7、魔法強化1→2
アイン
レベル9→10
スキル
挑発New!
《クラスチェンジ条件が満たされました。クラスチェンジ先を選択してください》
ブラン
レベル7→8
フラウ
レベル4→5
アヴァリス
レベル3→4
スキル
格闘New!
情報が渋滞しておりまず処理するべきはアインのクラスチェンジでありテイマーが使役しているモンスターがレベルアップでクラスチェンジをしたという話を聞いたことがありあまり驚いていないが今でも十分強いアインがクラスチェンジしたらどれほど強くなるのか気になる
スケルトン・ソルジャー
ステータス
筋力C
体力D
敏捷D
魔力F
スキル
剣術、剛腕、闇属性、物理抵抗、剛撃
スケルトン・レンジャー
ステータス
筋力D
体力D
敏捷C
魔力F
スキル
弓術、瞬足、物理抵抗、風属性、闇属性
スケルトン・マジシャン
ステータス
筋力E
体力D
敏捷D
魔力C
スキル
杖術、火魔法、氷魔法、魔力ブースト、魔法強化
スケルトン・ナイト
ステータス
筋力D
体力C
敏捷D
魔力F
スキル
剣術、盾術、鉄壁、物理耐性、挑発
それぞれ得意不得意が存在しておりステータスからしてもどれを選んでも後悔しなさそうであるがじっくりと考える。今、パーティーに必要なのはどういった役割なのかを考えると自ずと答えは見えてくる。
「よし、決めた」
ステータス画面を押すとアインの姿が変わる。装備させていた剣は重厚なものになり盾は大きさを増してカイトシールドのように変わり裸のままだった体には軽鎧が纏われて物々しい雰囲気に変わっており怪しく光る赤い瞳が更に光を増している。
「これからもよろしくな」
「カタカタ」
甲高く骨を鳴らして答える。
それからのアインの活躍ぶりは今までとは比べ物にならないものだった。挑発によってモンスターのヘイトを集中させてモンスターからの攻撃を高い防御力で受け止めて攻勢に転じてモンスターをあっという間に蹴散らしている。今までとは全く違う戦い方でアインがモンスターを引き受けてくれるお陰でとても戦いやすくなった。これは他のモンスター達のクラスチェンジも楽しみだ。
《召喚モンスターのレベルがアップしました》
アヴァリス
レベル4→5
新たに近接攻撃の威力を強化する格闘のスキルを得たアヴァリスの暴れ振りは凄まじく原型が残らないほどのダメージを与えており立派なDPSとして成長しておりかなり頼れるモンスターに成長してくれている。
問題は倒し終えた後のモンスターの死体も執拗に攻撃しているということであり闘争心があるのは結構だがもしも、魔石を壊されたら稼ぎがゼロになるので気が気ではない。アインがそこら辺を理解しているのかアヴァリスを制止してくれるのが有難い。
二階層を進んでいくと一階層と同様に突き当りに重厚な扉が存在しており十中八九、ボス部屋で間違いない。果たして今の自分達で二階層のボスと戦うことが出来るのだろうか。命は扉を僅かに開いてボスを確認する。
コボルトキング
ステータス
???
スキル
???
謎だらけであるがゴブリンロードよりも遥かに強敵であることは理解できる。発している威圧感も纏っている魔力も別格で内のパーティーではクラスチェンジしたアインしかまともに相手取れないであろうことが実感できてまだ、そのステージには立てないとボス部屋の扉をそっと閉める。
ボス部屋に入りさえしなければ戦闘にはならず命は流れていた冷や汗を拭い、今日はこの位にするかとポータルに手を翳しダンジョンの入口に転移する。
「柏崎くん?」
「そうだけど。獅子王さん」
声を掛けられて振り返るとそこには制服の上に銀の羽織を纏い銀の細剣を腰に佩刀している獅子王の姿がありこれからダンジョンに潜るのであろうがまるで散歩に行くかのような身軽さで彼女でなければ考え直せと止めている所だが彼女の実力を目の当たりにしている身としてはそんな気は起きない。
「先に行ってるから」
そう言い残して彼女はポータルを起動させて転移する。彼女は二階層を突破するだろうと確信のようなものがありその背中はとても小さいはずなのにとても大きく感じてあれが先を行くものの背中なのかと実感させられる。
「武器屋に行くか」
二階層の稼ぎは一階層のものとは比べ物にならないレベルであり1回の探索で20万は軽く集めることが出来て見送っていた防具にも手が出せそうだ。
武器屋は相変わらず盛況で前回の時に目星は付けていたので迷うことなく商品の元に向かっていると作業着を着た少女が店員と話しているのが目に入る。
「あたしの杖が売れたって本当ですか!?」
「えぇ、先ほど購入されましたよ」
「やったー!」
何とも微笑ましい光景でありその初々しい姿から命と同じ一年生であると思う。そんな光景を横目に目的の商品の前に立ち、改めて確認する。
『濡鼠のコート』ランクE 製作者金倉莉音
防御力35 耐久度30
色々、見てきた中で性能もデザインも申し分なく一目惚れしたと言ってもいい感じで売れないかと冷や冷やしていて製作者を見ると今持っている杖を同じ人の作品でこんな偶然があるんだなと思いながら店員に話しかけて購入する。
「えぇー!また、売れたの!?一体、どうなってるわけ!」




