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現代ダンジョン サモナーが行く  作者: 金林檎


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第三十九話

 量が量だからと暫く時間が掛かるようで命は装備が出来上がるのを待って帰省する事にする。郵送してもらうと言う手もあるが折角、作ってもらっているのだから最低限の礼儀としてきちんと受け取りたい。

 七日間、過酷な環境に居たのだから休息が必要で思ったよりも疲れてたのか思ったよりも自堕落な生活を送っておりそれが数日続くとやっと装備が完成したと言う知らせを受けて金倉の工房に向かう。


「ふっふっふ……モノがいいから随分と装備を作る手が止まらなかったよ!」


『帝王獅子の腰当』ランクB+

 防御力55 耐久度50

 スキル

 疾走、雷耐性


『幽鬼の魔杖』ランクA 

 攻撃力60 耐久度50

 スキル

 防御貫通、闇属性、弱点把握


『幽鬼の細剣』ランクA

 攻撃力60 耐久度50

 スキル

 防御貫通、闇属性、弱点把握


『嵐精霊の弓』ランクA

 攻撃力60 耐久度50

 スキル

 嵐属性、雷鳴、魔法耐性


『嵐精霊の長槍』

 攻撃力60 耐久度50

 スキル

 嵐属性、雷鳴、物理耐性


『氷竜の魔杖』ランクA

 攻撃力60 耐久度50

 スキル

 氷属性、氷華、魔力軽減


『氷竜の重鎧』ランクA

 防御力60 耐久度50

 スキル

 氷属性、ブレス耐性、魔法耐性

 

『氷竜のロングコート』ランクA

 防御力60 耐久度50

 氷属性、ブレス耐性、魔法耐性

 

『多頭竜の魔杖』ランクA

 攻撃力60 耐久度50

 スキル

 ブレス、水属性、瞑想


 信じられない量の装備の数でありこれを一週間程度で作り上げるのだから金倉の優秀さが伺える。これだけの腕を持ちながら全然、装備が売れていなかったと言うのだから驚きであり本人曰く、実績のない職人の装備は敬遠されるとのことでどれだけ腕が良かろうと確かな実績がなければ買い手は付かないという事らしい。


 作り上げられた装備を召喚モンスター達に装備させて送還する。残ったのは命の装備だけでありこれ位ならばバックパックの中に入れれる。無人島では武器以外持ち込み禁止だったから極力攻撃を受けないようにと慎重になっておりアイスワイバーンの魔石で作られた防具を身に着ければ結構なダメージは軽減できるはずである。


「あ、あとこれ……」


 そういって那須が取り出したのは通常の緑のポーションではなく青色のポーションでありポーションに対してそんなに詳しくない命でもこれがハイポーションであることが分かる。生産職の中でも作れるのは一握りだと言う代物であり幾らAランク素材があったとしても作れるだけの技量がなければ意味がない。


「い、いい素材を扱えたから結構スキルレベルが上がった」


「香蓮ちゃんもそうなの?いやぁ、私もそうでさー」


 和気藹々と話している。やはりAランクの素材というものは生産職にとって大きな経験値を与えてくれるものの様で二人とも喜んで作業してくれている。これだけ喜んでくれるならお土産として色々と持ってきて正解だった。


「金倉と那須は夏休みどうするんだ?」


「んー、私は師匠に連れられて修行の旅かなー」


「わ、私は実家に帰る」


 皆、ちゃんと予定があるようで色々と雑談してから金倉の工房から出て取り敢えず帰省に向けて色々と準備しなくてはならない。帰省の為の荷造りは終わっているので後はバックパックに装備を入れて持って帰るだけでこのまま背負って持って帰るのは面倒なので郵送してもらうことにする。


「この豪華な部屋とも暫くお別れか」

 一か月ほど学校には戻らないのでこの豪華すぎる部屋ともお別れて名残惜しくはあるがこの部屋に慣れすぎると言うのも良くない気がするので直ぐに出ていく。ここから出雲まではかなり掛かるのだが今では転移魔法が確立されており直ぐに移動できるようになっており東京には地方に行くためのポータルが幾つも存在する。


「東京に来る時もこれ使ったけ」


 ポータルに触れると一瞬で視界が変わり少し涼しい風を感じる。建物から出ると昔ながらの街並みが広がっており帰って来たのだと実感する。


「おかえり。もうちょっと、早く来るって聞いてたけど」


「ただいま、母さん。ちょっと予定があってね」


 わざわざ迎えに来てくれたようで母親が乗ってきた車に乗って移動する。実家は少し郊外にあり車でそこそこ走った場所にある。


「どう、学校は?友達は出来たの?」


「高校生にもなって子ども扱いしないでよ。心配しなくても友達は出来たよ」


「あら、親にとっては子供はいつまでも子供なのよ」


 そんな他愛のない話をしながら車を走らせると人気の少ない郊外へと着き実家に到着する。昔ながらの木造建築の家で建築家であった祖父が建てたものだと聞いておりかなり年季が入っている。

 

 久しぶりの実家で全く変わっていない。どこか安心している自分がいる。

 

「おー、帰ったか」


「ただいま。父さん」


 新聞を広げて居間で寛いでいる父親。普通の会社員で係長という役職に付いている一般人で母親は専業主婦でパートに出ている。ダンジョン探索で得た金の殆どを実家に仕送りしており働かなくても暮らせるくらいの金はあるのだが息子の金だと手を出そうとせず今でも仕事を続けている。


 命が探索者になりたいと言った時も反対することなく応援してくれて理解のある両親と言える。久しぶりに自分の部屋に行くと丁寧に掃除されていて命がいない間にも掃除されていたようで命が住んでいた時よりも綺麗だった。

 

 本棚には大量のノートが積まれて、命が探索者を目指すために集めた情報が山積みとなっている。


「懐かしいな……」


 ノートに書き始めたのは小学生の頃からで拙いながらも必死に書き連ねている。探索者になった今でも子供の頃から収集していた情報は役に立っており努力が報われたと言える。


「命ー。ご飯だから降りてらっしゃい!」


「今、行くよー!」


 荷物を下ろして居間に向かうとこの家では珍しく豪勢な食事で命が帰ってきたことで奮発してくれたらしい。学校ではこれ以上の豪華な食事を食べているが実家の飯は安心するというか心が穏やかになる。


「体育祭中継で見てたけど惜しかったなー」


「ねー、てっきりアンタが優勝するかと思ったの獅子王さん?だったかしら?あの人が搔っ攫って言ったわよね」


「獅子王は一年生の中でも飛びぬけてるから」


 無人島での生活で随分と成長したと思っているがそれでも獅子王にはまだ、届きそうにないと言うのが命の本音であり召喚モンスター全員で掛かれば勝機が見出せるかといった感じであるが戦いたいとは思わない。


 そもそも探索者同士の私闘は禁止されておりどちらがつよいかなど分かったものではない。しかし、来年の体育祭は負けてやるつもりはないと心に決めている。


 食事を食べ終わって久しぶりに家族と団欒して部屋へと戻る。


「ダンジョン探索は明日からかな……下調べもしないといけないし」


 地元のダンジョンという事で情報は集めていたが如何せん昔のものなので最新のものにアップデートしなくてはならない。パソコンを開いて出雲ダンジョンについて調べる。


 出雲ダンジョンは十階層まである大規模なダンジョンであり出現するモンスターはアンデットから獣モンスターと幅広く通常と同じで階層を下るごとにモンスターのレベルも強くなるが五階層からはレベルが違い多くの探索者が攻略を断念していると言う話であり初心ダンジョンに似ているなと感じる。


「出雲ダンジョンには神の加護が受けれる場所があるのかー。不思議なもんだな」


 出雲は神の集まる地として知られており神の影響が色濃く残っておりダンジョン前には社があるらしく神の加護を受けれるとのことでステータスの上昇に加えて一度だけ死をなかったことにするという破格のスキルが与えられるとのことで多くの探索者が殺到するわけだ。


「便利だけどあんまり気が乗らないな……」


 やり直せると知りながら進むという事はどこか安心して探索に臨むとのことであり緊張感も薄れていくあまりいいこととは思えず命は加護を受けようとは思わない。命には頼りなる召喚モンスターもいることだしそれでもし、命を落とすことになったら自分はその程度の人間だったという事で悔いはない。


 もしもの事があれば財産は家族に行き渡るようになっているし後悔なく探索者として活動できる。


「やっぱ実家は安心するな」


 ベットに横たわって見慣れた天井を見る。寮の豪華すぎるベットもいいがやっぱり質素な実家のベットの方が安心する。どうせだからと家から出て近所を散歩する。


 町中から少し離れた郊外に位置する実家にはコンビニが少し離れた場所にあるくらいで他には何もなくただの田園風景が広がっており現代社会では珍しい自然の光景が広がっている。東京のコンクリートジャングルで生活していたのでこういった自然は久しぶりで最近まで無人島で生活していたがやはり故郷の自然の方が安心する。


「柏崎じゃね?」


「お、マジじゃん!東京行ったんじゃなかったの?」


「体育祭見てたぜー、惜しかったよな!」


 話しかけてきたのは中学の同級生で皆、私服姿であり夏休みを満喫している様だ。


「夏休みだから帰省してるんだよ」


「そっか!元気そうでよかったぜ!」


「東京の話、聞かせてくれよ!」


 興味津々といった様子の元クラスメイト達の質問に答えながら学生の溜まり場となっている駄菓子屋へと向かい東京での日々を話す。


「立派に探索者やってんだ。良いよなー、うちは両親が猛反対したから探索者になれなかったからな」


「うちも同じだな。出雲の方で普通に高校生やってる」


「柏崎が羨ましいぜ!」


 普通の家庭では探索者なんて命の危険のある危ない職業に付くことは反対する。命の両親は理解があっただけで普通の家庭ではそんなもので探索者業界というものは才能の世界で才能のないものには冷たい業界であり命はサモナーという稀有な職業に付くことが出来て今では探索者として生活できているがこれが普通の職業だったらと考えるとぞっとする。


「奢って貰ってサンキューな!また、話そうぜ!」


「またなー!」


「ばいばい」


 クラスメイト達と別れて歩きながら氷菓子を食べる。夏らしい暑い日差しが差し込むが火山地帯で探索していた命にとってはむしろ涼しいくらいだ。

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