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現代ダンジョン サモナーが行く  作者: 金林檎


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第二十九話

 もう少し、レベル上げに勤しみたかったがボス部屋に到達してノワール達を送還してブラン、フラウ、フォボスを召喚する。ボス戦は何時ものベストメンバーで部屋を開け放つと中央には真っ白なミノタウロスの姿があり今までのミノタウロスとは毛色が違い両手に戦斧を持っている。


 アステリオス

 スキル

 閃光、上級斧術、憤怒、暴走


「ユニークモンスター……」


 種族の中でも僅かしか存在しないモンスターでありその強さは下手な上位種よりも格上でユニークモンスターは決まってユニークスキルという特殊なスキルを有しており強さが跳ね上がる。探索者を続けていれば何時かは出会うと思っていたがこんなに早くとは思わなかった。


「ブモォォォ!」


 雄たけびを上げてこちらに突進してくる。その動きはミノタウロスの様に鈍重なものではなく体に光が灯ったかと思ったら命の目の前に瞬間移動でもしたかのような速度で間合いを詰めて命に斧を振り下ろすがアインがそれを防ぐ。


「カタカタ」


 骨の音が響き、アインの防御をもってしても完全には威力を殺しきれず反撃に移れない。少しでも命から距離を放そうとアヴァリスが自慢の筋力でアステリオスの腕を掴み吹き飛ばす。アインが間に入っていなければやられていた所であり強い緊張で体がこわばるがそんな場合ではなく気持ちを入れ替える。


「ダークネスブラインド、ダークネスチェーン」


 好きに動かれたら溜まったものではなく暗黒魔法で視界を奪い拘束を行う。そんなに長い時間拘束できるものではないが今のアステリオスは前後不覚でダメ押しにとブランがバットステータスを与えてフラウも瞑想を行い魔法攻撃の威力を上げる準備をしている。


「フレイム・ランス+フレイム・バリスタ」


 抜群の破壊力を誇る、炎魔法の多重魔法で拘束しながらの魔法行使はかなり神経を使い頭が可笑しくなりそうな演算能力を必要とするがこの機会を逃すわけにはいかない。


「フリィー!」


 命が魔法を放つと同時に瞑想によって強化された魔力で放たれた渾身の雷はアステリオスの体に突き刺さり悲痛な叫びを上げる。かなりのダメージを与えてこのまま畳みかけようとするとアステリオスの瞳が赤く染まり魔力が膨れ上がる。


「ち、暴走か」


 これを使わせないように立ち回っていたのだが発動してしまっては止められず拘束していた鎖も引きちぎられて再び、体に光が灯る。先程の瞬間移動じみたスキルであり来ると分かっているのならば対処のしようはある。


「マッド・フィールド」


 地面が沼地へと早変わりで閃光の如き移動力もこの足場では上手く機能せず立ち止まったアステリオスの足を沼が絡めとる。この沼地は命の魔力によって作られたもので操作するのはお手の物だがアステリオスほどのモンスターを押さえつけるのは苦労する。

 

 厄介なのがアインの攻撃を脅威に思っているのかアインを近づけさせようとしない行動をとっているという事で劇毒を打ち込む隙を与えてくれず何時もの様な戦い方が出来ない。そうなってくると単純な実力が勝敗を分かち簡単にはいかない。


「ギャ!」


 そうなってくるとアステリオスを真っ向からやりあえるアヴァリスの存在が重要であり金剛力によって強化された攻撃力はアステリオスを大きく上回っており受けに回っている。そんなアヴァリスを援護するようにブランは空中を駆けながら攻撃を与えており鬱陶しそうにしておりフォボスも自慢の機動力で足を削っている。


「ガルァ!」


 フォボスの氷のブレスが沼地ごとアステリオスの下半身を凍り付かせる。フォボスは強力なブレスを攻撃に使うのではなく相手を拘束することに使うことが多く遊撃手ではあるがサポートよりの戦い方をする。フォボスのお陰でアステリオスの足が止まりアヴァリスが眼前に迫る。


「ギャ!」


 アヴァリスの筋肉が膨張し拳が固く握られる。金剛力によって極大化された攻撃力を無拍子と掛け合わせて放ち、一切の抵抗を許さない必殺の一撃でその拳はアステリオスの胸に深く突き刺さるがアステリオスは瀕死の状態であるが倒れる様子はない。恐るべき生命力でユニークモンスターも恐ろしさを感じる。体が光り、またあのスキルを使おうとしており拘束から逃れる気だ。


「カタカタ」


 それを許すアインではなく今までひっそりと身を潜めて機会を伺っていて漆黒に染まった剣閃がアステリオスの首を落とす。


《レベルアップ!スキルレベルがアップしました。召喚モンスターのレベルがアップしました》


 柏崎命

 レベル4→5

 スキル

 召喚魔法27→28、大地魔法15→16、暗黒魔法5→6、炎魔法5→6、魔力操作24→25


 アイン

 デス・ナイト

 レベル11→12


 ブラン

 ハンターオウル

 レベル7→9


 フラウ

 ハイピクシー

 レベル7→9


 アヴァリス

 レッドオーガ

 レベル10→11


 フォボス

 フロストウルフ

 レベル7→9


『雷光の指輪』ランクB+

 攻撃力55 防御力55 耐久度50

 スキル

 閃光、雷撃、雷耐性


 長い戦いが終わり強敵だったと実感する。特に瞬間移動の様なスキルは見たことがなくユニークモンスターが持つユニークスキルだろうと思いアステリオスからドロップした指輪から見慣れないスキルがありユニークスキルであることが分かる。緊急脱出用に命が持っていてもいいのだがそれよりも前衛のアインやアヴァリスに渡した方が有効活用してくれるだろう。


「好き放題動かしてたらやられてたな」


 あの速度で好き放題に動かれていたら如何にアインと言えどもカバーしきれず命の命が危なかっただろう。そう思い至りゾッとする。得るものが大きかった戦いではあるがもう一度やりたいとは思わない。命は雷光の指輪をアヴァリスに渡して装備させるとモンスター達を送還してポータルに触れる。


 外に出ると既に日は沈んでいて時間を確認するとかなりの時間潜って居たことが分かりこんな時間に学校に帰るのは流石に厳しい。


「ホテルでも取るかな……」


 態々、地方からダンジョンに遠征しに来るものも少なくなくダンジョンの近くには宿泊施設が多く点在しており探索者をメイン層に据えているため探索者に対して割引が存在している所も少なくない。今日は取り敢えず寝れればいいので適当なホテルに入り軽くシャワーを浴びて眠る。


 意外と疲れてしまっており朝までぐっすりで探索者の中では死の恐怖から眠れぬものも居り睡眠薬を使っている者も少なくないと言う話でありきちんと休息できるものは長生きすると言うジンクスがある。


 「朝飯は学校で取るか。朝飯付きのプランにしてないし」


 一応、ダンジョン探索が長丁場になったことも考えて食材を持ち込んでいるのでバトラーに作らせるでもいいのだがホテルには寝るだけなので早めにチェックアウトして学校に戻るとしよう。


 ユニークモンスターの魔石を手にしたのだから金倉もきっと喜ぶだろう。ある程度、モンスターの装備はできているからアインの装備を更新することにしよう。今回の様な目にも留まらぬ速さの相手をするには一撃の強力さがどうしても必要でアインもそれが分かっていたから止めをさせるまで潜んでいたのだろう。


「指輪はアインにやるべきだったかな……でも、アインには蛮族大王の指輪を与えてるしなー」


 当然だが指輪と言った装飾品のアイテムは同時に装備できる数が限られており全ての指に指輪を付けることは不可能でその最大数は五つと言われている。それ以上はアイテムの効果が発揮しないという話でアインには攻撃力を底上げするスキルを持つ蛮族大王の指輪に加えて武器のスキルの劇毒もあり対するアヴァリスには毒蜘蛛女王のブローチによる猛毒のスキルがあるものの決定打にはならず雷光の指輪の雷撃は大きな武器となるだろう。


「アインが強くなればそれだけパーティーが安定するからな。夏季演習の時までに仕上げてもらわないと」


 幸いなことに金倉は命以外の顧客は抱えていないようで仕事がない時は那須の手伝いをしていると言う話であり時間には余裕がある。


「ユニークモンスターの魔石!?すごーい!」


 案の定、大喜びでアステリオスの魔石を穴が開くんじゃないかと思うくらい凝視している。ユニークモンスターは出現数が限られており長年探索者をしているものでも一度も遭遇したことがないと言われるほど希少でそれがボスモンスターを務めているなんて確率はさらに低く通常のユニークモンスターならばあんな苦労はさせられなかった。


「随分と雷属性が高いねー。良い武器になりそう」


 雷光の指輪もそうだがアステリオスはかなりの雷属性を有していて戦っている時はそんな素振りは見せず何もさせないことを徹底していたのが功を奏したようだ。


 あの巨体と速度に強力な雷を自由自在に使われてはあれ以上の激戦になっていたに違いなく本当に好き放題させていなくて良かったと実感する。それだけ雷は脅威でそれは雷魔法を使うフラウがいるからよく分かっており破壊力では炎魔法が軍配が上がるが雷魔法の恐ろしさはその速さで目にも留まらぬ高速さでそれが連射できるのだから厄介なのだ。


「やっぱり骸骨くんの装備に使う?」


「あぁ、夏季演習も近いからな」


「もう、そんな時期か」


 生産職の金倉は命達、戦闘職とは違う夏季演習があり無人島に行くのではなく高名な生産職の教官を招いてスキルアップに努めると言う話であり楽しみだと金倉が語っていた。命も無人島でサバイバル訓練をするのではなくそっちの方がいいと思ったが夏季演習は得るものが多いと聞いているので納得することにする。


「魔杖の使い心地はどう?」


「凄い使いやすいよ。手になじむっていうか前から使ってるみたいな感触」


「ふふ、私の自信作だからね!」


 それだけ魔杖の出来は凄まじく今までとは比べ物にならない魔法行使のしやすさに驚かされた。流石は金倉の自信作で今までの武器も良かったが格段に上だ。


「凄いのになりそー!」


 興奮して作業に没頭しておりユニークモンスターの魔石を扱えると言う嬉しさからかなりご機嫌な様子で作業の速度も速くもう、出来上がりそうだ。


『雷光の長剣』ランクA

 攻撃力60 耐久度50

 スキル

 雷撃、劇毒、雷属性


 『雷光の大楯』ランクA

 防御力60 耐久度70

 スキル

 雷耐性、城壁、ブレス耐性


 金色に輝く長剣と大楯で光り輝いている。アインが手にすると金色の剣と盾は漆黒に染まるが金のラインが走っており豪華さを演出している。


「おー、偉い変わりようだけどカッコイイ!」


 金倉も満足そうでアインはぶんぶんと剣を振り魔力を流すと剣に雷が纏い、スキルも上手く作用している様だ。

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