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現代ダンジョン サモナーが行く  作者: 金林檎


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第二十五話

「ふふ、こんなの初めて作ったよ!」


『水蛇君主の魔杖』ランクA

 攻撃力60 耐久度60

 スキル

 水魔法、瞑想、水耐性


 『水宝玉の指輪』ランクB

 防御力50 耐久度50

 スキル

 水耐性、水棲


 サファイアの様に美しい蒼の魔石に美しい装飾が施された儀礼に使うような神聖さを帯びている杖で最高位であるS級の1つ下のランクとは言え一級の武器であることは確かであり魔法が使える武器は限られており物凄い高価で取引されているらしい。凄い装備になるとは思っていたがここまでの武器に仕上がるとは流石に予想していなかった。


「つ、ついでにこんなのも出来た」


『回復持続ポーション』ランクB


 何時もの様に金倉の工房にいる那須からポーションを手渡される。それは水蛇の宝石を使って作った新しいポーションらしく通常のポーションとは違い回復が持続するという画期的なものでありこれならば何回もポーションを飲む手間が省けると言うものでまた、新しいポーションを作ったことで世間を騒がせるんじゃないかと心配したが素材が高価すぎて作るのが簡単じゃないと言う。


 つまり素材を用意できる上位ギルドならば問題ないという事であり命は那須に一角獣ギルドを紹介する。


「む、無理無理!私なんかが一角獣ギルドの人なんかと話せない!」


「香蓮ちゃん……」


 生産職にとって大きなパトロンを得られるチャンスであるが案の定、那須は拒絶反応を示しており長く彼女を知る金倉は相変わらずの事に呆れてしまう。


「勿論、俺が矢面に立つよ。そういった事が得意な知り合いもいるし」


「柏崎くん……!」


 那須には随分と世話になっており彼女が栄達の道を進むのに手助けできるのであれば手助けしたい。那須は目をウルウルとさせており感激している様子で差し当たり安城に連絡をとって責任者に繋いでもらうのが先決であり命は二人に断りを入れて安城に連絡すると喜んで繋いでくれるという事で交渉は任せてくださいと気合が入っている。


「これで良し……安心してくれ。安城先輩に任せておけば悪いようにはならないだろう」


「安城先輩っていうと新聞部の部長さん?命くん、凄い大物と知り合いなんだね」


「まぁ、色々と縁があってね」


 何故、命に良くしてくれるか分からないが使えるものは親でも使えと言うし遠慮なく頼らせてもらう。安城にとっても悪い話ではなく新たにポーションを作る那須を一角獣ギルドに紹介するという事は紹介した安城の評価も上がり双方ともに良い話で一角獣ギルドにも繋がりを持っているだろう安城は良く取り図ってくれるだろう。


 それから安城はあっという間に交渉を終わらせて命は那須と共に一角獣ギルドの本部に行くことになりブルブルと震える那須を宥めながら受付に案内してもらう。かなりしっかりとした応接室でそこには如何にもキャリアウーマンと言った女性が立っており鋭い目つきに那須も命の後ろに隠れる。


東野颯とうのはやてと申します。本日はよろしくお願いいたします」


 名刺を渡してくれて早速、話に移る。一角獣ギルドとしては直ぐにでも那須のレシピを買い取りたいと言う話であり那須が高価だと思う素材も一角獣ギルドにとっては問題なく賄えるものであり問題は制作の難易度で幾らレシピを買い取っても作れなければ意味がない。


「不躾なお願いではありますが制作の様子を見せていただきたいのです」


 幾ら素材があっても作れなければ意味がなく、何しろ初めてのポーションだから一角獣ギルドお抱えの生産職でも作れない可能性がある。


「那須、どうだ?」


「み、見られるのはちょっと緊張するけど……問題ない」


 かなり人見知りをするとは言え那須は薬師でありポーションのエキスパート。普通は手の内をさらすと言うのはよろしくないことである為、東野も下手に出ており那須の返答に安心したのか胸を撫で下ろしている。


 東野に工房に案内されて工房には多くの人が居りそれぞれ作業をこなしている。皆、那須に注目しており多くの視線に晒されて那須は命の後ろから出ようとしない。


「俺が工房長の小宮竜二こみやりゅうじだ。嬢ちゃんが噂の薬師か」


「こ、こんにちは……」


 生産職とは思えない筋骨隆々の大男で人の良い笑みを浮かべるが極度の人見知りの那須は命の後ろに隠れながら対応する。小宮は那須の対応になんとも思ってもいないようで早速、作業場に案内する。しっかりとした設備で那須の工房に行ったことがあるが学校の設備よりも凄いもので流石は一角獣ギルドと言える。


「じ、じゃあ、始めます」


 手袋を付けて作業を始めると那須の顔が職人のものへと変わる。命達の声が聞こえていない集中力でその手際の良さは工房長を務めている小宮を唸らせるほどだ。命は知る由もないが一角獣ギルドが用意した素材は扱いが難しいことで有名で職人もあまり使いたがないものでありそれを確かな技術力でポーションを作り上げていく。


「……本当に学生か?」


 那須の技量は工房の中で一番の腕を持つ小宮も凄いと認めるもので学生の域を超えている。副ギルド長の秘書をしている東野に新たなポーションのレシピを作った人がいると聞いてやってきたがそんな大したものではないだろうと高を括っていたが予想を超える腕前で作られたポーションの品質は高く今すぐにでもギルド長に渡せるほどのものだった。


「スゲェな!嬢ちゃん!」


 小宮も生産職の端くれであり那須が作り出したポーションの凄さを理解している。話を聞いた時は眉唾物と思っていたがこれは探索者業界に衝撃を与えることになるだろう。これによって築かれる資産は前回のものとは比べ物にならないほどだろう。これはそれだけの代物であり、他の

ギルドに先を越されたなかったことを心底安心する。


「小宮さん、どうですか?うちでも作れそうでしょうか」


「ちぃと面倒な作業は必要になるが……うちの連中でも作れるだろうな」


 流石は天下の一角獣ギルドで抱えている生産職のレベルも他とは比べ物にならない。制作場面をこれだけじっくり見せて貰えたのだから工房で作ることは可能でその言葉に東野は納得して命達を元の応接室へと案内する。


「レシピがこちらでも作成可能であると確認できましたので金額の交渉を致しましょう」


 一角獣ギルドとしてはレシピの買い取りとは別に那須に特許料を支払うという事で提示された金額は目が飛び出るほどで生産職とはこんなに稼げるのかと驚きながらも安城から前もってこの位になるだろうと聞いていたので驚きは少ない。案の定、那須は使い物にならずこれは金倉も苦労しただろうなと思いながら矢面に立つ。


「金額はそれで構いませんが1つだけお願いが」


「伺いましょう」


「那須に素材を提供してくれませんか?知っての通り那須はまだ一年生ですから得られる素材が限られてまして、提供してくだされば今回の様に新たなレシピを作り出すかもしれません」


「成程……」


 一角獣ギルドにも旨味のある話であり那須も生産職として色々の素材を触ってみたいと話していたのを覚えておりこの機会を逃すわけにはいかない。


「こちらとしてもお断りする理由はございません。では、そのように取り計らいましょう」


 そうして交渉は締結して契約がされる。東野はわざわざ出口まで見送ってくれて命と那須は帰りの電車に揺られている。


「か、柏崎くん。色々とありがとう」


「気にしなくてもいいよ。那須には随分と世話になってるんだから」


 ダンジョン探索に向かう時には必ず那須の作ったポーションを持参しており役立っており那須のポーションは市販のものとは比べ物にならないほど品質が良く金倉に紹介してくれたことを感謝しなければならないと常々、思っていた所だ。


「それでもお礼を言わせて。ありがとう」


 普段のオドオドした感じではなく自然体な笑顔でそんな綺麗な笑顔を向けられて気恥ずかしくなりながら素直に受け止める。普段からこんな感じならばいいのにと思うのは命だけだろうか。金倉も那須は素材がいいのだから着飾らないとと言っていたのを思い出した。


 学校に帰り見知らぬ人に会って心底疲れていると言った様子の那須を寮へと送り届けて命は訓練場に向かう。広々とした空間で日課となる魔力操作を終わらせてからアインを召喚する。


「カタカタ」


 見るだけで怖気づいてしまいそうな迫力でアインが新しく手に入れたスキルである剣閃の熟練度を上げるための訓練であり覚えたばかりで熟練度が低くそれを磨くためで命は魔法をアインに向けてはなっていきアインはそれを剣閃で切り裂いていく。魔法耐性があるとはいえ命の魔法はかなりの威力であり剣閃を維持し続けるのも難しいのだがアインは何時もの様に機械的にこなしていく。


《スキルレベルがアップしました》

 

 柏崎命

 スキル

 炎魔法1→2


 数時間に及ぶ訓練でアインの剣閃もかなり磨きがかかり、訓練の甲斐があった。剣閃はこれからのダンジョン探索で大きな武器となるはずであり鍛えておいて損はない。金倉が作ってくれた魔杖もいい感じであり使い心地もばっちりで手になじむ。


「柏崎じゃねえか!久しぶりだな!」


「宍戸。久しぶり」


 重そうな鎧に大きな斧を担いだ姿で命と同じように訓練に来たようだ。宍戸と会うのは一週間ぶりでこの一週間で宍戸もかなり成長したようで顔つきが前とは違い精悍なものとなっており立ち振る舞いも隙のないものとなっている。余程、いい経験をしたのだろう。


「良いギルド見学だっだぜ!ギルド長の松山さんが随分と気にかけてくれてさ!」


「それは良かったな」


 松山というと蒼刃の名で知られる高名な探索者で宍戸と同じ斧を扱う人物であると聞いたことがありそんな人物に師事したとなればこれだけの成長ぶりも納得というものだ。


「これが噂のモンスターか!手合わせでもしねえか?」


「構わないけど……」


「よし!決まりだ!」


 やる気満々の宍戸を止めることは出来ずなし崩し的にアインと手合わせをすることになった。両者は訓練場の中央で相対し片や体力自慢の宍戸に堅固な防御を得意とするアイン。どっちに転ぶか予想が付かず戦いが始まる。


 宍戸の大斧が勢いよく振り下ろされてアインが大楯でそれを防ぎ、長剣が振るわれすんでの所で避ける。重そうな大斧を軽々と振るう宍戸の筋力に感心しながらそんな重そうな攻撃を受けきっているアインの防御も凄い。


「あの弱っちそうなスケルトンが此処まで強くなるんなんてな!」


 宍戸は親友である命の事をよく見ておりアインが彼が最初に召喚したモンスターであることやスケルトン時代の頃も知っておりそんなスケルトンが自分を倒しかねない存在にまで成長していることに驚きを隠せない。機械の様な正確さで宍戸に長剣を振るい隙を見せれば直ぐにやられてしまうだろう。大楯を持っているとは思えない俊敏さでこちらの攻撃も応えているとは思えない。


「ギア上げていくぞ!」


 宍戸の体が赤く輝く。戦士職が持つ身体強化のスキルを使ったのだろう。ギアを上げるとはよく言ったもので先程までとは動きが違い振るわれる大斧の威力も上がっているようでアインも威力を殺しきれず後ずさりしている。


「カタカタ」


「マジか!」


 しかし、やられたままのアインではなく長剣に青白い光が灯り宍戸は思わず距離を取る。戦士職の中でも限られた者しか扱えないスキルであり当然、宍戸も持ってはいないがその威力は良く知っている。師匠と仰ぐ松山が存分に見せてくれたからだ。これは本腰を入れなければやられるのは自分の方だと察した宍戸は気合を入れ直す。


「剛撃!」


 強化された一撃はアインを大きく後退させて追撃にと間合いを詰めるがアインの剣閃が斬撃を飛ばし近づかせない。一進一退の攻防で勝敗はどちらに転ぶか分からずアインは剣閃を研ぎ澄ませ重装備の宍戸もあれをまともに食らってはただ事では済まない。


「カタカタ」


 今度はアインから動いて強烈なシールドバッシュが宍戸を襲い、長剣での攻撃が来ると待ち構えていた宍戸は予想が外れてまともに受けてしまい体勢を崩してしまう。地面に倒れる宍戸に青く光る長剣が付きつけられ勝敗は決する。


「勝負ありだな」


「あー!負けちまった!」


 斧を手放して地面に落として大の字となる。負けたと言うのにその顔は爽やかで如何にも宍戸らしい。命が水を渡すとごくごくと飲み干して立ち上がる。


「強いとは思ってたけどこれ程とはな……予想だけどまだ、手札を隠してそうだったし俺の完敗かな」


 メインウエポンとも言える劇毒を使わなかったことを察している様だ。命はあえて答えずアインを送還する。


「飯行こうぜ!負けたし俺が奢るぜ」


「じゃあ、高いの頼もうかな」


「あんま高すぎんのは勘弁してくれよ?」

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